小泉農政改革の源流を遡る

前農林水産事務次官の奥原正明さんが書いた「農政改革」(日本経済新聞出版社)は、地味で少し難解なテーマを扱った本ですが、あの小泉進次郎農林部会長(当時)が2年間、日本全国の農村を走り回り、若い世代や女性、そして抵抗勢力と言われた農協のリーダーたちと熱い議論を戦わせた改革の背景と意義を解き明かしています。

そこに至るまでの長く、曲がりくねった道のりを知ったとき、農政改革が農協つぶしどころか、本来の姿に戻し、強化することも狙っていることがよく理解できるでしょう。

行政に携わる公務員の心構えにも触れています。政治家でもなく、業界団体でもなく、行政機構の中で公共政策の立案や実行に関わってみたいと思っている若者たちにも是非読んでほしい本です。

7月末の発売後すぐに増刷が決まって、古巣の日経にその出版を働きかけた私もひと安心です。霞が関のすぐ脇にある日比谷公園の真ん中、レストラン「松本楼」に8月22日夕、三重県からおいでいただいた奥野長衛・前全国農協中央会(JA全中)会長をはじめ全国各地から90人近くの農林漁業やメディア、金融の関係者が集まって、その出版を祝いました。

出席者はみなプロ中のプロ。官僚の世界では極めて異例と思える技術会議、消費安全、経営という3つの局長、特に農地や就農者育成、農業組織など農業経営の根幹を鍛える経営局長を5年務めた奥原氏と議論を交わしたり、小泉進次郎代議士が農業との格闘で揉まれて政治家として大きく育つ様子を生で目撃してきた人たちです。

新婚早々の小泉進次郎さんは地元横須賀から電報でお祝いメッセージを送ってくれました。賑やかに、和やかに、農業のこれから、日本のこれからを語る夕べでした。孫文ゆかりの松本楼で、友人の歌手aminも「海を越えるバトン」を熱唱して、和気あいあいムードを盛り上げてくれました。

遠くに住んでいたり、お互い忙しかったりでふだん顔を合わせる機会が少ない人も多く、終了後も会場のあちらこちらで記念写真を撮る人たちの姿が見られました。

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