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「殺処分ゼロ」のこれから〜背伸びは長くは続かないという現実

 広島と徳島で動物愛護センターを3つ訪ねてきました。犬猫適正飼養のための数値規制案が決まり、ペット業界には1年、愛護団体にはなんと2年もの適用除外期間が設けられますが、スタッフの数によって収容できる犬猫の数に上限が設定されます。

 動物愛護センターでの「殺処分ゼロ」を実現すると言って、ピースワンコ(神石高原町)が犬、犬猫みなしご救援隊(広島市)が「ネコ」を県内の愛護センターから全頭引き取りを始めたのは2016年のことですが、ピースワンコは2年前に全頭引き取りをコッソリ断念していたことがわかっています。

 犬猫みなしご救援隊はどうなのでしょう?

 広島県動物愛護センターはこのところ猫の収容を断るケースが多発していて統計上も収容が激減しているのですが、それは「犬猫みなしご救援隊の収容が限界に来ているからではないか」という見方をする人もいるようです。

 そこで救援隊を監督する広島市動物管理センターに情報公開請求をしたところ、救援隊は第二種動物取扱業なので、収容頭数の報告を求めておらず、把握していないから収容頭数を記載したする文書は存在しない、という回答が来ました。



 県や市の職員が救援隊を調査や視察で訪問した記録もあるはずなので、それを開示するよう請求もしていますが、救援隊はどう答えるでしょう。



 広島市の郊外にある救援隊本部を訪ねてみました。あいにく中谷代表は出張中でしたので、職員が教えてくれた電話番号にかけて代表に尋ねましたが、県や市が公開しない頭数情報は自分からも言わないほうがいいというお考えのようでした。

 県愛護センターと市管理センターの所長さん達にあって、ピースワンコや救援隊が数値規制にどのように対応するのか、いまから収容頭数の正確な把握に努めて、過剰頭数、過少スタッフという状況であれば改善していくための計画づくりを指導してほしいと申し入れてきました。

 2つの団体が「殺処分ゼロ」に挑んでいることはよく知られていますが、収容の実態はどうなっているのか、外部にもしっかり公開してもらえないものでしょうね? 

 「全頭引き取り」を中止したのに、ピースワンコはその理由を一般の寄付者にわかるように目立つ場所で詳しく説明しようとしません。ピースワンコはそれでも収容頭数を大雑把ながら公表していて、人手不足、過剰収容の実態を推定できますが、救援隊の場合はさっぱりわかりません。

 徳島県動物愛護センターを訪ねたとき、里親に引き取られた保護犬をセラピー犬として訓練したその成果をテストするイベントの真っ最中でした。

 ここは譲渡活動を広げるため寄付を募ったり、広島県よりはセンター自身がたくさんの工夫をしているようでした。「崖っぷち犬」りんりんも大切に扱われています。

 犬猫問題にはさまざまな論点があって、立場による違いから論争や罵り合いもしょっちゅう起きているようです。流通する情報の量や内容にも問題があるかもしれません。

 わたしも長く犬をペットとして飼っていますし、子供の頃はいまだ全国的にもまれなくらい野良犬天国であるらしい地域に育ちました。アツくなってケンカする人も多いようですが、出来るだけ事実、データに即して問題を解決する方法を、ボランティアの1人として考えてみようと思っています。

(関連記事は原則無料公開していますが、問題提起に賛同していただける方は、活動へのサポートもよろしくお願いします)

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