公益法人Civic ForceがNPO法人ピースウィンズ・ジャパンに貸した3億円の謎~内閣府公益認定委が「調査・審議の途中」

1、「不開示」決定の理由を読む

 内閣府公益認定等委員会事務局から行政文書不開示決定通知書が届きました。

 公益社団法人Civic Force(シビックフォース、東京都渋谷区、大西健丞代表理事)が、同じ代表者の認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ、広島県神石高原町、大西健丞代表理事)に対し、手持ち財産の大半に相当する3億円をPWJの2018年度(2019年1月期)末時点で貸し付けた経緯等について調査を求めた外部からの情報提供を、内閣府がどのように扱ったかを示す行政文書の開示を求めてみたのです。

 結果は「不開示」でしたが、大きな収穫がありました。不開示理由の中に「その内容について当委員会(事務局)において調査・審議等の途中」であるとの説明があったのです。

2、経過・結果は原則非公開

 内閣府は以下の通り、公益社団法人、公益財団法人などの活動について一般からも情報提供を受け付けています。

・公益法人等の違法行為などに関する情報の提供を受け付けています。個別のトラブル処理や調査等の依頼につきましては対応しておりません。

・なお、情報に対する調査・検査等の経過又は結果についてのお問い合わせには原則としてお答えしておりません

 内閣府に限らず、どの官庁もそうですが、不正などに関する情報提供を受けてもそれをどう扱うかの説明はしません。

 しかし、今回、内閣府公益認定等委員会事務局は行政文書そのものは不開示としつつ、外部からの通報の内容について「調査・審議等の途中」だと認めたのです。

 情報提供はあながち的外れな分析、考慮に値しない情報という扱いは受けなかったようです。一歩前進です。

3、note記事を内閣府に

 私は、Civic Forceからの借り入れを示すPWJの財務資料を、情報公開制度を利用して所轄官庁である広島県から入手し、私なりに分析した結果を記事にし、noteで公表するとともに、Civic Forceにも融資の目的や手続きについて問い合わせました。

 Civic Force理事会の議事録を入手できませんので、融資目的などは相手の説明に期待するほかないのですが、事務局には何度催促しても回答をもらえません。

 そこで、公益社団法人Civic Forceの所轄庁である内閣府公益認定等委員会の情報提供サイトを通じて、私の分析結果と疑問を伝えました。開示請求にあたっては、PWJに3億円を貸し付けた会計操作に関する情報提供を含む行政文書と指定しましたので、今回不開示決定は私からの情報提供に関する対応状況に関するものとみてよいでしょう。

4、「公益目的事業」に限定

 背景を少し詳しく説明します。

 Civic Forceには、2011年の東日本大震災のあと全国から巨額の寄付が集まり、それを財源に復興支援や奨学事業などを行ってきていました。いまも4億円弱の資産が残っていて、公益目的に使うお金として銀行に預けられています。現在は奨学事業をやめて災害支援に事業を集約しているようです。

 財産目録をみると、2019年度(2019年8月期)末時点で、総資産3億9977万円の86%に相当する3億4318万円は、「固定資産」のうちの特定資産「災害支援引当資産」として、「三井住友銀行青山支店」と「ゆうちょ銀行」に預けられています。

 そのお金の使用目的は「公益目的事業に使用する目的で保有している普通預金」とはっきり書かれています。財産目録には、PWJへの貸し付けを思わせる資産はありません。

5、「法人会計」に利息収入

 しかし、「頭隠して尻隠さず」です。損益計算書に相当する正味財産増減計算書の内訳を開いてみると、受取利息460万円という記載があります。災害支援事業など「公益目的事業会計」部門とは異なる「法人会計」部門の収益として記録されていました。

 三井住友銀行や郵貯への期末預金残高は、当座のやりくりに使う「運転資金」を含めても3億8811億円です。460万円という利息収入は逆算すると年利1.2%に相当し、実質ゼロ金利、最近では0.002%(三井住友銀行、2020年6月30日現在)という普通預金からの利息収入ではあり得ません。

 Civic Forceの期末貸借対照表からPWJへの資金貸し付けは隠れているのですが、利息収入から逆に銀行に実は預けていなかったということがわかるのです。

 なんらかの事情があって、「公益目的事業」に使うための「固定資産」として銀行に預けておくべきお金から3億円を引き出し、同じ大西健丞氏が代表者を務める広島県の認定NPO法人(PWJ)に、年1%台の利息でほぼ年間を通じて貸し付けていたという推測が成り立ちます。

 会計処理を見る限り、Civic Forceは「公益目的事業」の会計に使うべき大切なお金を、「法人会計」を通じてPWJ向けの貸し付けに使っているわけです。

6、実質は長期貸し付け?

 Civic Forceの期末貸借対照表に銀行預金として計上されているのは、Civic Forceの決算期末だけPWJが一時的に返済しているからだと推定できますが、これも不自然な会計操作です。

 広島県が開示したPWJの2019年度の決算関係書類を見ると、2020年1月期末もCivic Forceからの借り入れは2億5千万円ありますので、Civic Forceが新年度に入った2019年9月以降、PWJは再びCivic Forceからお金を借りているのです。

 実質的にはCivic ForceからPWJに対する長期貸付なのに、Civic Forceが公表するバランスシートでは見せたくない事情があるように思えるのです。

 私が懸念しているのは、利息収入のところで説明したように、PWJ向け貸し付けがCivic Forceの「公益目的事業会計」以外で行われていて、資金が目的外に使われてしまっていると思われる点です。

 公益法人としてそのようなお金の使い方が適切なのでしょうか?

 また、寄付した人たちが、目的がはっきりわからないPWJ向け融資を知ったらどのように思うでしょうか?

7、利益相反のリスク

 貸付金を確実に回収するための担保や保証などの措置がとられているかどうかも確認ができません。

 貸し手も借り手も同じ代表者(大西健丞氏)というお金の貸し借りは利益相反を生じるため、本来なら避けるべき危険な取引です。

 Civic Force監事の建築家・荒木洋氏からは先日、Civic ForceからPWJへの貸し付けは、Civic Force理事会の承認のもとに行われているとの回答がありました。

 しかし、その貸し付けの目的や担保等の有無については「事務局に聞いて欲しい」ということでした。Civic Forceの事務局からの回答は残念ながら今日(6月30日)までありません。 

8、代表は広島、事務局長は佐賀

 事務局の運営体制はいったいどうなっているのでしょう?内閣府への届け出では、大西健丞氏はCivic Forceに週3日以上勤務する常勤の代表理事のはずですが、事務局の電話に出たスタッフに、ふだんはPWJの本部がある広島県神石高原町に住んでいて、東京都渋谷区にあるCivic Forceに「いつくるかはわからない」といわれたことがあります。

 また、根木佳織Civic Force事務局長は佐賀県にあるNPOの事務局長として佐賀に住んでいるということです。私が東京のCivic Force事務局に電話をしても、残念ながらこの2人が事務所にいたことはありません。

 ひと頃より財産は減ったとはいえ、4億円近いお金を扱う組織の運営体制が少しばかり心配になります。

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経済ジャーナリスト 日本記者クラブ会員 ウォーターサイドラボラトリー代表社員 早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社でシンガポール、大分、千葉の各支局長及び編集委員、日経グローカル研究員など。国際開発高等教育機構リーダーシップアカデミー修了 広島県尾道市出身

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