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地元有力販売業者が集荷し、販路を開拓か~気仙沼でクロマグロ不正漁獲②

 宮城県気仙沼市内の大目流し網漁業者による太平洋クロマグロの不正漁獲を気仙沼海上保安署が捜査していることを地元気仙沼の「三陸新報」紙が18日、一面トップで大きく取り上げました。筆者がおよそ一週間前、12日にこのnoteでお伝えした内容を確認した内容です。

 繰り返しになりますが、この漁業者は市内在住で唐桑半島の小さな港(小鯖漁港)でクロマグロを船から持ち出していたもようです。

 大型トラックに次々積み込んで運んだ先も既に特定されていて、気仙沼魚市場を運営する気仙沼漁業協同組合の運営にも影響を及ぼし得る有力な販売業者だとみられています。

 昨年2月、青森県警が大間マグロの不正漁獲を摘発した際は、違法漁獲物を漁業者から買い集めた出荷業者2社の代表が逮捕されています。気仙沼でも出荷業者の責任が問われることになるのでしょうか?

 筆者が海上保安庁気仙沼海上保安署に確認したところ「(昨年、不正漁獲物を漁業者から集荷した出荷業者が逮捕された)青森県と同様に買い取り業者が捜査対象になることはあるが、捜査中なので本件についての回答は控える」とのコメントが返ってきました。

 ここは推測ですが、おそらく販売業者に対する捜査も始まっているのではないでしょうか?この販売業者は当然、今回不正漁獲が見つかった大目流し網漁業者以外の漁業者とも取引がありますから、関係先にも調査が及ぶのは必至とみられます。

 気仙沼漁協で扱われる正規のクロマグロを装って不正マグロが販売される恐れも大きいわけで、気仙沼漁協が本当に不正流通を根絶させたいのなら、海上保安庁との捜査に関わりなく、関わったとされる販売業者から直接、どのような理由、方法でこのような不正漁獲物を扱ったのか、詳しく説明を求めるべきだと思います。

 気仙沼魚市場をめぐっては、同じ宮城県塩釜市の塩釜魚市場と同じように過去数年、クロマグロの不正流通を指摘する噂が数多く流され、筆者のもとには、大目流し網のほか、近海はえ縄、大中型まき網漁船に関する疑義情報が寄せられていました。

 今回、捜査対象になっている大目流し網漁船は知事許可を受けた漁船で、宮城県によると同じような漁船は県内に27隻あるそうです。一部の漁船は大臣許可も合わせて取得していて、太平洋側でかなり広域に操業しています。

 大目流し網は網にかかった漁獲物を何でもからめとる漁法で、船上に揚げても網から漁獲物を外すのに時間がかかり、鮮度劣化が大きな問題といわれています。地元の事情通によると、気仙沼では、大目流し網による鮮度の悪いマグロ類が水揚げされると、安い値段しかつかず資源の無駄遣いになるとして、近海はえ縄漁業者と長い間、敵対関係が続いてきたということです。



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