PWJへのイヌ譲渡を制限、起訴・登録取り消し回避狙う 広島県開示文書から

◇その15、PWJ書類送検に係る副知事説明(2018年11月21日、広島県食品生活衛生課作成)
 
 広島県がNPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)の大西健丞代表理事ら5人を狂犬病予防法違反の疑いで書類送検したのは2018年11月20日でした。

その翌朝8時45分、広島県庁の副知事室にPWJ代表ら書類送検を伝える新聞記事をもって動物愛護問題を担当する健康福祉局食品生活衛生課職員らが駆け込みました。

「11月15日に動物愛護センターが立ち入り調査を実施し、現在(筆者補足:違反状態は解消されて)指摘された違反の事実はないことを確認している。そのため、県としては、引き続きPWJへの譲渡を継続する」

「違反が確定し、罰金刑以上の刑に処せられると、第一種動物取扱業の登録を取り消すことができることとなっている」

担当課はそう説明しました。

副知事は、環境省が「各自治体と関係団体が適切な関係を築く必要がある」としていることを念頭に県が行おうとしている対策や団体との関係を整理していくことを指示しました。

県の対策とは、次の3つの柱からなっています。

・一時的には収容が増えることになることを覚悟して野良犬の捕獲を強化して、野良の子犬が生まれないようにすること

・PWJ以外の団体や個人譲渡を促進し、PWJには譲渡不適格な犬の譲渡に限定する

・譲渡促進のために新しい動物愛護センターの建設を進める

2018年11月21日に作成された「PWJ書類送検に係る副知事説明」は、以上のようなやり取りを記録したメモです。わずか15分程度の打ち合わせですが、重要なことばかりが確認されています。

広島県の開示資料によると、2018年10月4日時点で動物愛護センターの団体等譲渡施設として一覧表に掲載されているのは犬猫合わせて29団体でした(一覧表の日付は5月14日となっていますが、それは27団体目が登録された日で、その後、5月28日と10月4日に各1団体が追加登録されていて、表は日付更新を忘れているのだと思います。誰にでも間違いはありますが、広島県動物愛護センターの書類にはこうした不備がとても目立ちます)

そのうち最も大きな団体がPWJでイヌの収容能力が「1066頭」となっています。広島県に以前問い合わせたところ、1066頭は成犬の収容能力で、これが子犬換算だと3倍3千頭余り収容できる施設ということです。

PWJは動物愛護管理法に基づく第一種動物取扱業として登録されていて、業種も販売、保管、貸出、訓練、展示、譲受飼養を扱うとなっています。動物愛護センターが開示した登録簿によると、保管は「2600頭」、他の業種はすべて「1066頭」となっています。

この登録取り消しは、PWJの捨て犬シェルターをはじめとするピースワンコ事業そのものの終わりを意味します。

広島県とPWJが2017年12月末以来、狂犬病予防法違反への対応について何度も話し合いを重ねてきたのは、両者にとって最悪のシナリオである起訴、そして登録取り消しを避けるためだったのでしょう。

思い起こすのは、県動物愛護センターから狂犬病予防注射と登録の徹底を口頭で指導された直後にPWJスタッフが県部長に送った直訴メールです。

再度紹介します。

「最近、ある人が『ピースワンコが狂犬病予防法に違反している』と、あちこちの自治体や愛護センター、警察などに電話をしているようです。保護犬1頭1頭に鑑札や注射済み票がついていない、という指摘です」

「引き取り数が相変わらず多く、その世話に必死の状況で、登録や注射が追い付いていないのは事実です」

「できれば年明けに一度お時間をいただき、上記のことを含めた連携の方策などについてお話ができたらと考えています。ご多忙とは思いますが、ご検討いただければ幸いです」

2017年12月29日午前9時22分に発信されたメールでは、こんなことが書かれていました。

受け取った田中剛・医療がん対策部長(当時)は動物愛護センターを管轄する県食品生活衛生課長の上司です。PWJを指導・監督するのは県動物愛護センター指導課のスタッフですから、2年前の年末、PWJスタッフは、センターの課長とその上司である所長、本庁課長の3つを飛び越えていきなり部長に相談を持ち込んだわけです。

そしてその田中氏は現在、健康福祉局長です。国から出向した感染症対策のプロで、内閣官房で企画官をしている頃からPWJ理事らと付き合いがあります。PWJ側として相談を持ち込むに最も頼りになる存在だったに違いありません。

その後、県とPWJは事態正常化のための協議を積み重ねていきます。次の回で、その雰囲気がわかる会議録をご紹介します。

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