(試行版)ぼくらは、それを見逃さない。⑧上島町で「海の駅」の管理も受託、PWJ、一時は離島ヘリ診療も

 豊島(とよしま)から上島町全体に目を向けると、NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ、広島県神石高原町、大西健丞代表理事)は、「海の駅」の管理業務やヘリコプターによる出張診療業務などの委託も町役場から受けていることがわかりました。

 町役場はいくらくらい支出しているのでしょう。

 「ゆげ海の駅舎管理業務委託」は年額383万6千円です。

画像1

 ヘリコプター使用による診療業務の「魚島国民健康保険診療所及び高井神へき地出張診療所診療業務委託」は、2018年5月から常勤医師を採用できているため、現在は行われていませんが、支払い実績は2018年度150万円、2017年度1450万円でした。

 こうした活動は地元でどのように受け止められているのでしょう?

 2018年12月14日の愛媛県上島町議会質疑の様子を紹介します。

 地方の議会議事録を読んでいると、PWJの活動を最も熱心に応援するのは「犬猫殺処分ゼロ」を提唱している公明党、一方で批判的・懐疑的なのは共産党という印象を受けます。保守系・無所属は人それぞれでしょうか。

 PWJが上島町の行政サービスに関わりを深めていることを懐疑的にみている寺下議員も共産党所属の町議です。(読みやすくするため公開されている議事録を多少編集しています)

Q寺下満憲議員

 「私が一番するのは、豊島の建物を契約どおりに物事を進めて行っていない、いうことを皮切りに今回の神石高原町の問題、美術館の招待、そういった諸々のことが一つひとつ正式な手続きを踏みながら来ているのかどうか。仲介者がどうも宮脇町政の政的応援団ではないか、このように映ってくるんですね。こういった人たちがあまりにも行政に入り込みきているのではないか。本来なら議会で相談したり、論議したりしていかなくてはならないことが、もうどこかで決まってそれが行われている」

 「海の駅舎のフラットにしても、『あそこに本当に誰がどうして管理監督して、誰が雇われて、事業計画がちゃんと上がってますか』言うても、前の9月議会でも事業計画を出してこない。一つひとつ何をとってみても、神石高原で(は)忙しいから狂犬病の注射してないんです。国の法律でも定められとる。忙しいから守らんのです」

 「ここのピース(ウィンズ)・ジャパンがピースワンコかなんかやってること、今回諸々、週刊誌で書かれていること読んでみたら、町長は『海外で協力隊、協力的にいろんな活動してますから』言うけれども、実際我々の身近で起きていることはどうなのか、それでいいのかと私は思うんですね」

 「そして、グローバル高校を作るんです、言って、ふるさと納税をそちらに回していく。神石郡でも犬殺処分をなくする、ゼロにするという形で、ふるさと納税5億円もその組織に行っとんですよ。本当にそれが活かされていってるのか。そういうこと考えると、豊島の建物についても、それは町の重荷になっても、そういう団体と結びついて行くのが、私はどうかと思っていますね。町長の答弁をいただいたらと思います」

A 宮脇馨町長

 「狂犬病の予防注射については、いろいろな経緯があったことは聞いておりますが、日本の法令を遵守しなければならないというそういう立場から言うと、これは明らかにピースウィンズ・ジャパンの、その犬の部門の落ち度だとは認識しております。ただ、私共は、ピースウィンズ・ジャパンとどういうふうに向き合うかという話であると思いますが、私自身は、これまでのいろんなお話を、例えばヘリコプターの分ですとか、いろんな場面で協議をさしていただいておりますが、その中でヘリコプターの運営もそうなんですが、言ったことはきちんと守っていただけるし、豊島の美術館についても、素晴らしい物だと思いますし、それを今後活用していただけるのであれば、客観的に見て、これは上島町にとって素晴らしいプランになると、そのように認識しております」

 「NGOとかNPOとか、そういった団体に対するいろんなそういう評価の仕方はあろうかと思いますが、現時点での私の評価は、そういったところでございますし、上島町にとって、この団体のこういうアートの面でありますとか、そういう医療の救済の面でありますとか、そういう面においては、こちらの要望をまあ、こなしてくれる、約束は果たしていただけるものだと思っております」

 「今、魚島で五嶋先生がやっていただいておりますが、もし、船等、救急挺等が充分出ないときとか、それらが、難しいとき、そういった時にも、ヘリコプターであれば可能な余程の強風でない限りは、そういう対応もしていただけるという応援協定は、結んでおります。これまでのヘリポートの活用とか、そういったとこを見て、『これだったらいつでも行けますよ』ということで提案をいただいておりますので、上島町にとって有益と言いますか、そういう活動はこれからもさしてほしいという、そういう提案は受けておりますので、それは、真摯に受け止め評価したいと思っております」

 海の駅というのは、「道の駅」のように国土交通省が普及させようとしているネットワークで、誰でも利用できるトイレなどを整えて、各地のマリーナや漁港が登録しています。PWJはそんな施設の管理業務も請け負って収益源にしているのです。

 寺下議員がいう「グローバル高校」って一体何のことなのでしょう?次回は、上島町と「ふるさと納税」とPWJ/SAPFの関係を取り上げます。

 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?