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クロマグロ「船主引き取り分」は魚市場の「報告対象外」と気仙沼漁協回答

 大目流し網漁船が混獲したクロマグロを宮城県の気仙沼市魚市場での計量後に漁船に持ち帰り、解体処理して消費している事実について市場を運営している気仙沼漁業協同組合に問い合わせたところ、市場でクロマグロを計量した後に漁船が持ち帰ることを認めていることを明らかにしたうえで、「お卸売業者は、漁獲報告を代行しているのではなく、水揚げ販売したものを報告しています」とし、船主引き取り分は魚市場での水揚げ報告に計上していないことを明らかにしました。

 魚市場は漁船の水揚げ状況を必要に応じて国や県、漁船が所属する漁業団体に報告しています。持ち帰りを認める理由を尋ねると、「委託者(荷主)はあらかじめ指値をすることができますが、入札により指値に達しない場合が想定されます」という回答でした。

 気仙沼魚市場ではクロマグロに限らず荷主持ち帰りは幅広い魚種、漁業で行われているそうですが、決して一般的ではなく「稀」だということです。気仙沼漁協は「卸売業者の報告はあくまで水揚げ販売されたものです。漁獲報告は、荷主さんが関係団体並びに行政に対し行うものであり、卸売業者が漁獲報告の指導等をおこなうことはありません」としています。つまり、漁獲未報告があったとしてもそれは漁船側の責任であって、魚市場、卸売業者は一切関係がない、とする立場のようです。

 魚市場で計量後、売れ残りまたは売れ残る可能性があるクロマグロ、もしくは漁船に認められた漁獲量の上限を超えてしまったクロマグロを漁船が持ち帰る場合、その後を国や県はどのように追跡すればいいのでしょう?

 近海はえ縄漁船の関係者に尋ねてみても、気仙沼漁港に限らず、こうした荷主持ち帰りが行われている港はほかにもあり、船主、船頭、乗組員が余剰分を分けて消費することはよくあるそうです。

 漁獲量の大きい大臣許可漁船には第三者をオブザーバーとして乗船させること、船主や乗組員が操作できない監視カメラを設置することが必要になるかもしれません。そこまで大がかりなことをしたくない、ということであれば、水産庁や都道府県は魚市場に対し、荷主持ち帰りの状況を日々報告してもらって、その後のクロマグロの行方を追跡する仕組みを作るべきでしょう。



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