ピースウィンズ・ジャパン、公益社団法人から3億円借り入れ、代表を大西健丞氏が兼務

 公益社団法人からNPOへ、そこからまた別のNPOへ。

 代表はすべて大西健丞氏という不思議なお金の貸し借りが起きています。

 かつて大西氏は愛媛県の離島での豪華ヴィラ事業に失敗し、運営会社の役員から退任させられたことがあります。

 NPOや公益社団法人の運営でそんな過ち、経営の失敗が起きないことを願うばかりです。

 NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ、広島県神石高原町、大西健丞代表理事)が、災害支援活動に取り組んでいる公益社団法人Civic Force(東京都渋谷区、大西健丞代表理事)から2019年1月期末時点で3億円を借り入れていることが、広島県が公開した行政文書で明らかになりました。

 Civic Forceは2008年に、大西健丞氏が投資家村上世彰氏から資金援助を受けて設立した団体です。 国際人道支援から始まったPWJの国内版とでも考えておけばいいでしょう。

 以前にも紹介しましたが、大西氏の著書「世界が、それを許さない。」によると、中越沖地震への対応の経験から「国内災害にきちんと対応できるプラットフォームが必要だ」と考えていたころ、証券取引法違反への贖罪のためか、NPOへの寄付を始めつつあった村上氏から協力の申し出がなされたようです。

 PWJの借入金残高は前期末(2019年1月期末)11億6952万円にも膨らんでいます。 ホームページ上などで公表している事業報告書では、借入先は金融機関以外は「その他」として伏せられています。

 しかし、情報公開制度に基づく筆者の請求に応じて広島県が開示した行政文書(特定非営利活動促進法第54条第2項第3号に定める事項を記載した書類)では、借入先がより詳しく記載されていました。

 その一つが公益社団法人Civic Forceからの3億円であり、もう一つが旧村上ファンド系の株式会社C&I HOLDINGS からの9千万円なのです。 いずれも村上世彰氏が資金を支えている法人です。

 ここでもまだ4億4千万円は「その他」扱いとして伏せられたままですが、資産家であることを隠そうとしないシンガポール在住の元経産官僚、村上世彰氏の資金力にPWJが依存していることがよくわかります。

 PWJの借入金が膨らんだのはなぜでしょう?

 事業報告書をみると、愛媛県上島町などで展開している地域創生事業は赤字が大きくて、PWJの財務内容を悪化させる要因になっているようです。

 犬保護事業(ピースワンコ )による寄付金がたくさん集まっても、そうした赤字事業の穴埋めには使うことはできません。

 ピースワンコ部門が毎期大きな余剰金を残しても、それとは別に地域創生の赤字を埋めるために借入金を増やしてしのいでいるものとみられます。

 PWJはドイツ現代アート作家のゲルハルト・リヒターから寄贈された作品の評価額(4億5千万円)を前期末決算に計上して債務超過を免れています。

 お金を借り入れるには、それに見合った資産や担保もしくは支払い能力のある個人や法人の保証を求められる場合が多いので、ピースワンコ の余剰金やリヒター作品はPWJの会計上、救世主になっていると思われます。

 それにしても金融機関でも投資会社でもない公益社団法人Civic Force が、どうして3億円をPWJに貸し付けなければならなかったのでしょう。

 最近は国内も災害続きです。Civic Forceは活動資金がいくらあっても足りないくらい忙しく活動しなければならない時期であるはずです。

 3億円の貸し借りの裏に一体どんな事情があったのでしょう?

 PWJやCivic Force は善意の寄付を寄せた個人やスポンサー企業に説明する必要がありそうです。

 お金の貸し借りは、そればかりではありません。

 PWJはリヒター作品の維持管理や公開を事業の一つにしているNPO法人瀬戸内アートプラットフォーム(SAPF、神石高原町、大西健丞理事長)へも資金を貸し付けています。

 大西氏が運営に関わる法人やその役員の間で、お金を貸したり借りたり複雑で目的のわからない取引が目立つのです。

 NPOを所管する県や公認会計士らのチェックが十分に行き届いていれば良いのですが。

 

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