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岡山県開示文書で読むピースワンコの諸問題③高梁市では「最大50頭~60頭」という触れ込みでシェルター建設

 認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ、広島県神石高原町、大西健丞代表理事)が岡山県高梁市に作った西山犬舎での事業を第二種動物取扱業として岡山県に届け出たのは2017年8月30日のことです。

 届出書によると、「保護犬の飼育と被災犬の保管」で業種としては譲渡し、保管が該当するそうです。約600平方メートルの敷地、延べ床面積382平方メートルの木造施設のうち、2頭の犬舎(各112平方メートル)とドッグラン(158平方メートル)を使って、最大50頭の犬を飼うという計画でした。

高梁市議会の議事録(2017年3月8日、一般質問)で確かめてみると、西山犬舎が出来た場所は市有地でキャンプ場などレジャー施設用地の南半分にあたり、2015年12月議会でその部分は「用途廃止」が決議されていました。

 その土地を地元の西山観光振興組合が2016年3月から借り、保護犬(ピースワンコ)事業の場所としてPWJが利用するという共同事業の体裁をとっていました。

 当時の高梁市役所の小野和博市民生活部長の説明では「PWJから年間で約300万円程度にはなろうかと思いますけれども、これはそれ以降組合のほうで草刈りであったり、エリアの清掃、また周囲の住民の皆さんへのいろいろな対応というようなことも含めた協力金という形で納められている」という具合です。

 犬舎の工事はその年の4月から始まる予定でしたが、この質疑が行われた時点では、すでに施設内のコテージに管理者が1人着任して、犬も9頭飼っていたようです。

「将来何頭ぐらい西山で飼育されるようになるのでしょうか」という石部誠議員の質問に、小野市民生活部長は「具体的な計画書などを我々は拝見したものではありませんけれども、伺う話の中では50頭から60頭程度の飼育をするというふうに伺っております」と答えていました。

 PWJから動物取扱業の届出が岡山県に提出されたのは、市議会での質疑からおよそ半年後の8月30日です。届出と同じ日の午前11時過ぎ、岡山県動物愛護センターは職員2人を現地に派遣し、立ち入り検査を実施しています。

 ピースワンコの説明によると、土地は市有地で指定管理者から賃貸契約を結んで借りているもので、その上に建つ犬舎2棟はPWJが新設したということでした。2棟の中間に浄化槽も設置しています。
 
 犬舎で発生したゴミは、ピースワンコ本部のある広島県神石高原町に運んで「事業ゴミ」として処理しているということでした。施設の清掃、消毒は毎日実施していて、ハイターを消毒液として使用していました。

 立ち入り検査時点では、1棟15頭、合計で30頭が収容されていて、すべて神石高原町の施設で感染症検査や各種ワクチン接種を済ませ、犬の登録とマイクロチップ装着を終えた犬のみ、とピースワンコは説明したそうです。

 職員は常時2人と午前中勤務のパートで管理をしていて、夜8時以降は不在となるものの、監視カメラで常時監視し、調子の悪い犬がいるときは職員も泊まり込むということです。

 PWJは岡山県に対し、神石高原町の施設に獣医師が3人常駐し、定期的に巡回していると説明したようです。

 そうした説明を受けて、県動物愛護センターの文書では、「施設は清潔に保たれ、悪臭は感じられなかった」「周辺に民家もないため、鳴き声等による苦情は問題ないと考えられる」と比較的好意的なコメントが続きます。

 しかし、楽観的な見方はほどなく裏切られることになります。50頭はあくまで最初の施設での飼養計画に過ぎなかったのです。(続く)

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