宮城県産和牛の遺伝子不一致、獣医師以外の名も

でたらめな授精記録による和牛の親子の遺伝子不一致(父子矛盾)が多数表面化している宮城県で、県から授精記録の適正化を指導されている獣医師とは別の家畜人工授精師による授精記録からも遺伝子不一致が確認されていたことがわかりました。

 和牛の血統を証明する機関である全国和牛登録協会の宮城県支部は、2018年10月に秋田県内で宮城県産の和牛がDNA鑑定の結果、授精記録の父牛と遺伝子が不一致(父子矛盾)だったとの連絡を受け、その牛と同じ開業獣医師が授精に関わった疑わしい牛の検査を進めています。

筆者は、昨年10月以降、獣医師以外の授精記録からも調査が必要なケースが出ているとの情報を得て、疑わしい牛のDNA鑑定を引き受けている全国和牛登録協会宮城県支部に事実かどうか、そして事実であった場合、その牛の血統の更正や先代、後代の牛への追加調査を行うかどうかを問い合わせました。

8月2日夜に届いた全国和牛登録協会宮城県支部からの書面回答は「事実です。必要な調査は実施しています」というものでした。

 全国和牛登録協会宮城県支部の説明によると、管内では年間約2400頭のDNA鑑定を実施しています。従来から遺伝子不一致の判定が出ることもありましたが、「概ね0.1%」にとどまるということです。

 7月26日の公表時点で、調査対象149頭のうち17頭、実に遺伝子不一致の割合が11.4%にものぼっていた特定の獣医師が人工授精を担当した和牛は今も対象を増やして検査を継続中です。
 
 宮城県は8月1日から県内の家畜人工授精師を対象に授精記録を記した台帳などの緊急検査を開始しています。疑わしい和牛のDNA鑑定が進む中、どのような事情で別の人工授精師の記録から遺伝子不一致が確認されたのか、原因は作業のミス等によるものなのかどうか、人工授精業務を監督・指導する宮城県の調査が注目されます。

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