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ピースウィンズ・ジャパン「現代アートセンター計画」への疑念広がる~愛媛県上島町④CCA北九州「ディレクター個人による協力」と回答


 認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ、広島県神石高原町、大西健丞代表理事)が愛媛県上島町に開設する「豊島現代アートセンター」の事業パートナーとして、北九州市の任意団体、「現代美術センターCCA北九州」の名前を紹介していることについて、CCA北九州事務局は25日、筆者の質問に対し、①中村信夫ディレクター個人が資料を提供しており、その内容を団体としては把握していない②事業パートナーになることを同意しているわけではない、と書面で回答しました。

 PWJは、2023年開館予定の豊島現代アートセンターについて、「CCA北九州が所蔵・管理している作品集などを開架展示する」「CCA北九州との連携により世界のアーティストを招聘し、滞在しながら作品を制作する場を提供する」などと説明していました。

 2023年春開業を目指し、企業から2億円程度の寄付を募って2020年末から工事に取りかかる計画でしたが、PWJは資金不足を理由に工事を延期しています。

 CCA北九州からの回答は、PWJが昨年、町有地払い下げを受けるため上島町役場に提出した事業計画の信ぴょう性を疑わせるもので、建設資金不足による工事着手の遅れとあわせ、PWJは計画の内容や現況について町役場や議会にあらためて説明することが求められています。

 以下、CCA北九州事務局からの回答を全文紹介します。事務局幹部がCCA北九州の創設者であり、運営責任者である中村信夫ディレクターに確認してまとめた回答です。

問 CCA北九州が豊島現代アートセンターの事業パートナーになることを同意していますか?(団体としての意思決定はどのように行いましたか?)

答 CCA北九州としては同意しているものではなく、中村ディレクターの個人的なつながりで協力をしているということで聞いております。

問 NPO側に提供された資料は、どのようなものでしょうか?(CCA北九州の事業に活用されていたものですか?)

答 中村ディレクター個人の資料であるとのことなので、団体としては把握しておりません。

問 CCA北九州の2020年度活動状況(予定を含む)を教えてください。

答 今年度は新型コロナの影響でキャンセルが多いため、活動実績は例年より少なくなる予定です。過去の活動はホームページをご参照ください。
 ①フェローシップ・プログラム受講者数 →0名(最終選考3名 ※コロナで中止)
 ②招聘した教授・講師数 →1名
 ③展覧会開催数・来場者数 →4回(予定含む)・約450名(12月末現在)
 ④公開セミナー開催数・来場者数 →1回(CCA単独分)・61名
 ⑤他都市(市町村)の事業への協力状況 →国際交流基金へのキュレーターミーティング協力1件(※コロナで中止)

問 日本を代表する現代美術作家・杉本博司氏らもメンバーになっているCCA北九州のインターナショナル・コミッティーの運営への関与について

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答 中村ディレクターとともにCCAを作り上げてきたメンバーであり、現在会議などは行っていないが、現在も中村ディレクターがコンタクトをとりアドバイスを受けているとのことです。

 以上です。

 CCA北九州の運営資金は、北九市役所からの助成金でまかなわれており、1996年度以降、累計で14億円余りを北九州市役所から受け取っています。2021年度も「引き続き予算措置を行う方向で調整している」(文化企画課)といいます。「CCA北九州を事業パートナーとするNPOの事業計画の訂正を求めるべきではないか」と問うたら、北九州市は「当事者であるCCA北九州が判断・対応すべきもの」(同)と答えました。

 個人による協力と、団体による協力とではまったく異なります。その点について、PWJは改めて上島町役場に説明する必要がありそうです。町議会ではPWJへの建設用地の売却の解消を求める声もあがっていて、上村俊之町長は土地売却経過やPWJとCCA北九州の取り決めの内容について検証を進めています。

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