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【海のナンジャラホイ-3】昆虫がいない!

昆虫がいない!


私は仙台に住んで10年以上になりますが、この街でゴキブリを見たことがありません。ゴキが苦手な私には、仙台は快適な都市です。
そういえば、海にもゴキブリはいません。
それどころか「海の中」には、昆虫自体が全くいません。「海の中」と限定したのは、沿岸部にはウミユスリカとかハネカクシとかハサミムシとかの海岸性の昆虫類がいるし、海の表面にはウミアメンボたちがいるからです。

それでも、地球の表面の3分の2を覆う「海の中」に全く昆虫がいないというのは、なんだか不思議に思うのです。昆虫は、陸上ではこんなに繁栄しているのにね。
実際のところ、海以外の水の中、川や湖などの淡水には昆虫が住んでいるのです。淡水に住む「水生昆虫」たちはうまく水の中の生活に適応しています。タイコウチみたいに長い管で空気を取り込んだり、ゲンゴロウやマツモムシみたいに空気を溜め込んだり抱えたりして水に潜ったり。

水生昆虫にこんなふうに水の中に住む能力があるのなら、広い「海の中」を住みかにする「海生昆虫」は、どうして進化していないのかな?
昆虫類のルーツはエビやカニなどの仲間である甲殻類だと言われています。陸上に満ちあふれている昆虫類が、少しは海に出戻ったって良さそうですよね。哺乳類ではイルカやクジラ、植物ではアマモ類は出戻りチームで、祖先は陸上で暮らしていたのに、いまは海に住んでいるのですから。
でも、海の中には大小さまざまな甲殻類たちが隅々まで満ち満ちています。だから、昆虫たちは、海に出戻る隙間がなかったのかもしれませんね。

鳥は空の魚、魚は海の鳥

「鳥は空の魚、魚は海の鳥」なんて言われることがあります。鳥と魚は、陸と海でお互いが果たす役割がなんとなく似ているからですよね。
昆虫は鳥の良い餌になっています。では、魚の餌は? イワシみたいにプランクトンを濾し取って食べている魚もありますし、アイゴみたいに海藻を食べる魚もいます。でも、メバルやカサゴやベラなどの沿岸に住む魚には、小さな甲殻類を目で探して食べるものが多いのです。魚たちに最もよく食べられている小型の甲殻類の主なものがヨコエビ類やワレカラ類です。

磯釣りをする人たちは、釣った魚をさばく時に内臓を取り除きますが、ちょっと待った! 生ゴミとして捨てる前に、胃袋や腸を取り出して中身を見てください(ちょっと臭いますけどね)。中にはヨコエビやワレカラがぎっしり・・・ということが多いです。

「魚が何を食べているか?」というテーマは、子供達の自由研究にも使えるかも! ぜひお試しください。

○o。○o。 このブログを書いている人
青木優和(あおきまさかず)
東北大学農学部 海洋生物科学コース


*海のナンジャコリャーズ絵本シリーズの第1弾は「われから」です。
ぜひ読んでみてくださいね!

**今回は、いろいろな生物の名前が出てきました。ぜひネット検索などで、どんな姿の生物なのかを、確かめてみてくださいね。

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