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【詩】New world

助けてと声をあげる

誰もいない

報われない

腹の底から迫り上がる絶望は

吐き出したいのに

喉元までしか浮かばれない


夢を数える

夜見る夢を

パラレルワールド


鼻に管の入っている祖母は

元気に退院してきて

日常の些事をこなし

笑顔でひ孫たちを迎え出てくれる

たまごアレルギーの治りたての息子に届いた

アレルギー対応のお菓子たち

そして

泣き出したくなるような日々だった

寮生活はパラレルワールドでも

爪弾きで孤独だ


夕方の空の紫とオレンジの間に指を入れる

指先からするすると引きずりこまれNew world

誰も彼も優しくない

少し見て全て見たような顔をしている

やれることはやったと矜持している

それはどこの世界でも同じだった

おそらく私も

朝焼けの朱色と水色の間にも指を入れてみる

今度はどこに行けるかな?

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