完全遮光と99.99%遮光と99.9%遮光は違うのか?

最初に確認しておくのは完全遮光生地と99.99%遮光生地は同じ性能だという事です。

これは単に同じ生地を調べた時にどう表記するかという問題です。検出すべきものがある時に、検出精度をどんどん上げていってもそれが出てこなかったとしましょう。その時にはその検査では「検出すべきものが零でした。完全に防いでいますので完全遮光です」と評することも出来ますし、「最大限努力しましたが検出すべきものを見つけることが出来ませんでした。将来もっと検出精度が高い検査方法が見つかったら検出されるかも知れませんから99.99%遮光と表記します」と考えることも出来ます。

ですからこの二つの表記において両者は同じ性能であると言えます。

次に、遮光率100%の生地と99.9%の生地の違いについてはどうでしょうか?
結論から申し上げますと、100%と90%であればそこそこ違いがあると言えるが、100%と99.9%であれば誤差の範囲なので、どちらの傘生地を使用した日傘も同一性能としてみなしてよいという事です。

日傘が室内ではなく外で使う道具である以上、直射日光以外に乱反射して人体に届く光は防ぐことが出来ません。そしてこの乱反射光の影響と直射日光の0.1%の影響を比べるわけですから、両者の違いは誤差の範囲だと言い切れます。

真っ暗な空間において光が全く通らないものとわずかに通す物の差の話なら別です。

遮光率が100%だ、99%だというのは遮光カーテンの話であれば論ずるに値するわけではありますが、傘の生地が100%光を通さないことに何の意味があると主張するのでしょうか?窓が一つしかない部屋につける遮光カーテンと外の明るい日差しの中で使用する日傘を同列に比べるというのはナンセンスであり、意図して前提をうやむやにして相手を間違った結論に導くのは悪意があるとすら言えます。

もし、この主張をする人の話に騙されたくないとお考えでしたら、物体を対象としたシンプルな想像をしていただけると分かりやすいかと思います。人間に日が当たると考えるから分かりにくいと思うので、写真を焼き付ける感光紙を使うと想定してみましょう。

屋内の暗室で感光紙を用いる際に使う暗幕と同程度の能力を発揮する日傘があるとしたらどうでしょうか?そして昼間の屋外において感光紙を完全遮光の素晴らしい傘で守る事と、少々劣るが光はあまり通さない傘で守る事の2つの状況を想定します。さて、この間に差があるかどうか。考えるまでもないですよね。
重要なのは「直射日光を完全に遮る傘(0)」と「ほぼ遮る傘(1)」の間にある差ではなくて、「周囲から回り込んでくる光の量(平均200前後)」と「ほぼ光を遮る傘が透過してしまう光の量(1)」の差なのです。回り込んでくる光が平均200前後ある中で、1を防いだかどうかなんて意味が無いのは言うまでもありません。

この手の話は詭弁論理の話を少しでも理解できていれば、簡単にはだまされないはずでありますが、なかなかどうして多くの人がこの手の詭弁にひっかかるのだから、だます方としては面白くてたまらないところでしょう。同様に「誤差の範囲でも差があるのだから順位付けを認めろ」的な話をすることも無理筋と言えます。理論上では差があるはずと想定できたとしても、実際に検出できない差に意味は無いのです。

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