金属製の傘骨

地球に多く含まれる金属の上位にアルミニウムと鉄があり、この2つは非常に使いがっての良い金属です。ただアルミニウムは製錬するために大量の電気を使う関係上、鉄に比べて若干SDGs向きとは言い難いので、やはり現状は鉄が環境負荷の一番少ない金属だと言えそうではあります。

もちろん、アルミニウムはリサイクルもしやすいものですから、強化プラスチックなどに比べると圧倒的に環境負荷が小さい状況を創り出しやすいです。また軽さも魅力的で鉄の缶ジュースはほとんどがアルミ缶に置き換わってしまったところを見ても、用途によってはアルミニウムの方が上回ることは多いものと考えます。
ただ、傘骨に関しての話になりますと、傘骨にとって重要なのは剛性と柔性であり、風を受けて傘が曲がったまま元に戻らない状況にならないためにはどうしても骨には剛性が必要になります。この点、アルミニウムは鉄と比べて一歩引けを取ってしまいます。

とはいっても鉄はそのままでは剛性のある堅い金属とは言えません。石炭と共に鍛錬した鉄鋼になってはじめて硬さを手に入れることになります。アイアンではなくスチールというわけです。傘の骨に使われている鉄は基本的にはスチールで、このためにある程度の風を受けても曲がったままにはならないわけです。
鉄骨は同時に柔性も重要で、ピアノ線のような硬すぎる鉄鋼では傘の骨には適しません。というのも、傘は生地がある程度の弾力を持って張られることでその展開性とおわん型の形状を同時に維持しているわけですが、骨が硬すぎて生地によって骨がある程度たわんでくれないと、傘は平らになってしまい、おわん型の形状にならないのです。

後は、柔剛兼ね備えた中で重さをどうするのかが、鉄の傘骨の重要な部分です。先述したように単純な軽さではアルミニウムには勝てないわけですが、ある程度強さを犠牲にして軽さを伸ばしていくことでアルミニウムほどは軽くはならないが、アルミニウムよりも強い骨を作ることが出来ます。そして、どうしても強度の重要なパーツにはアルミニウムは使用できないので、傘骨の先骨はアルミニウムでは作れないのです。

以上が金属製の傘骨に関する概略となります。
次回は強化プラスチックの骨について書きたいと思います。

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