多間の傘

傘袋、ネームバンドの話と続きましたので、本日は多間の傘の話です。
「どういった繋がり?」と不思議に思われる方もいらっしゃるかも知れません。多間の傘は傘を閉じるだけで特に傘袋におさめたりネームバンドで巻き取ったりしなくても、ほとんど傘生地が中棒に近いところに集まって邪魔になりにくいという特性があります。

もちろん少しでも傘生地が広がっているのは嫌だという人にお勧めできる訳ではないのですが、多間の傘、特に親骨16本以上の傘はほぼ問題なく傘を畳んだだけでまとまりがつきます。もちろん、そのような多間の傘にもネームバンドはついていることが大半で、それで巻けば出来上がりなのですが、8本骨の傘に比べてとにかく簡単に巻き取ることが可能です。

ちなみに、この多間の骨の傘の巻き取りやすさは、傘生地がある程度厚い方がきれいに巻き取れるので、ただ骨が16本ある傘と言うだけではあまり実感できないかもしれません。骨が16本以上あってさらに傘生地の厚みがある傘が最適なので、ちょっとお高めの多間の傘を見かけることがありましたら、一度手に取って試してみたらわかっていただけるかと思います。購入しなくてもいいので、ぜひ売り場で試しててください。実際に見ていただけたら多間の傘の快適さが分かっていただけるかなと思います。

さて、現在、傘を閉じるだけでネームバンドなしに傘がまとまる機構を持った傘という物も販売されています。そのような傘と16本骨以上の多間の傘の使い勝手はだいたい同じになります。あとは傘を閉じたときの見た目のどちらが好みかという話ですのでここで優劣を書くつもりはないのですが、一つだけ違いを上げるとすればそれは強度という事になります。

多間の骨は基本的に強度が高いです。もっとも親骨一本一本の部材が安価な劣悪品であればその限りではありませんが、ある程度まともなものであれば、8本骨よりも16本骨の方が強度は高いのです。ですから強いて言うならば特殊な巻き取り機構を搭載した新種の傘よりも、多間の傘の方をお勧めする感じになるでしょうか。

せっかくの新種の傘をお勧めできないのはちょっと残念な事ではあります。現状、傘はなかなか進化していかないもので、一定間隔で面白い機構が開発されるものの、中々「市民権を得る」ものは少ないのが現実です。最近で一番できの良かった「市民権を得た」傘が、四半世紀ほど前に開発されたWジャンプ折り畳み傘までさかのぼるのですから、本当に傘の進化は難しいのだなと感じております。

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