携帯性について
傘を傘足らしめている要素として重要なのが携帯性です。
ここまで解説してきたほとんどすべての上から降り注ぐ不快なものは、家の屋根や車の屋根でガードするのが最適なものばかりです。
江戸の昔、日本人は雨の日はよほどの用事がない限りは家を出ないという対処をしていたというぐらい、家の防御は強いものです。
しかし、人間が生活する中で、よほどの用事というものはそれなりに発生します。
そこで屋根の次に便利であるのが傘と言うわけなのです。
もちろん江戸の昔であれば笠と蓑というセットでもいけたわけですが、地方ではない江戸や大阪において番傘は大流行していたようです。
やはり、外を歩き続けるためではなく、屋根から屋根を渡り歩く時に、番傘の携帯性は極めて優れたものだったという事なのだと思います。
これは現代に関しても同じことであり、家を出て駅までや、近くの商店やアーケード街までという用途には携帯できる傘は車よりも優れていると言えるかもしれません。
もちろん、本体価格や移動に伴うコストも加味しての事ではありますが。
また、番傘の時点で付加されていた重要な機能に展開性があります。これは携帯性を優れたものにするために必須ともいえる事ですが、折りたたんである程度小さくできるという事は、持ち運びという事と相関性が強いです。
せっかく屋根のあるところまで移動できたのに傘を広げたままで持って歩かなくてはならないのであれば、そこまで便利な道具であるとは言えません。必要がないところでは最小化できるというのが傘を傘足らしむ魅力的な機能なのです。
半面、強度は犠牲にしているのですけど、あまりある効果が得られるために、傘は操作性、展開性を重視しています。
なお、このことは台風や激しい突風があった後には痛感するのですが、すぐに忘れ去られてしまうのかそんな中で傘を使ってしまう人も多く、結果的には傘を壊してしまったりとあまり良い結果にはならないので、ご注意いただければと思います。
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