傘という言葉が指し示す物

さて、この場所ではこれから色々な傘の話を書き連ねていく予定ですが、そもそも傘(日傘)の明確な定義は何だと思いますか?

「ほとんどの家の玄関付近にあって、夏の暑い日や雨の日にさす物のことでしょう?」そのような答えを想像する方が多いかもしれませんね。
そして、ここで答えはこれであるとお話しできれば良いのですが、実のところ「傘(日傘)」というものをきちんと定義した資料にはなかなかお目にかかれません。

試しに検索サイトにかけてもらうと分かるのですが、「雨や日差しを防ぐために差し掛けるもの。例えば用途に応じて蛇の目傘、日傘、唐傘などがある」のように、すぐに具体例を書いてあるものがほとんどで、結局のところ現実にある傘を見て、これが傘というものですと書かれているに過ぎないものとなっています。

逆に言えば傘はそれだけ生活に密着した雑貨であり、いまさら再定義するようなものではないという認識が、多くの人々の中にあるからなのかも知れません。

なお検索記事を読んでみたときに、傘の定義+実例形式で書かれているものが大部分である理由は、「日光や雨を遮る道具」ぐらいの定義ですと車や家、カーテンやすだれ、帽子、服、サングラス、など様々なものと存在意義がかぶる事になるので、例を出してあいまいさを回避しているという事もあるのだと思います。分かりやすさを優先しているためだとも言えるでしょうか。

さて、「傘全集」スタッフ間においては傘を以下のように定義しています。

「太陽から地球に到達する様々な太陽光線」や「大気から水滴となり落下する雨等」の頭上からの直接的な暴露から人体を守るために使用する多様な障壁のうち、携帯性を担保するために、頭上に配置するための生地を親骨と中棒によって展開することを可能にし、個人の操作性を担保するために中棒に手元を取り付けた、片手で取り扱う道具」

傘(日傘)に関する重要な要素を取り出して定義付けをしてみるとかなり堅苦しい文章になってしまいましたが、あいまいにならないようにしながら実例を出さないようにすると、ここまで書き込む必要が出てきてしまいます。

同時に、簡単なはずの太陽光や雨の定義をなぜこんなにもややこしく考えるのは面倒なだけではないのかと思われる方も多いかと思いますが、ご安心ください。この定義に関しての補足説明をしていくことで傘(日傘)に対する理解が深まっていくという事をやっていく予定ですので、かえってすっきりすることになると思います。

また今は、定義という抽象概念だけで話をしていますが、現物の傘の話をする際にもこれらのことは役に立つでしょう。どのような傘が良いものでどのような傘が悪いものなのかは、定義がしっかりしていると、ごまかしが無くなりより分かりやすくなります。そして、より良い傘を創り出すことや、傘の悪い使い方の話を今後していく上でも、このことが土台となりますのでしっかり固めていきましょう。

というわけで、これから何回かにわたって、傘(日傘)の定義について詳しい話をしていければと思っておりますので、お付き合いいただければ幸いです。よろしくお願いします。

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