白 / 象徴

静けさはまるで寒さだった
それは空間が考えているかのように。
ときおり、人や動物ともつかぬ形態が出現する
僕の心が踊れば、その粘土は犬となって共に踊り、
僕が雨にしゃがみ込めば、それは優しい街灯となった。
だけど虚しいのはなぜ?

長く 長く 風を待っていた
なんてからっぽな空だろう
見上げた空の色、砕けて降り注ぐ
泣きそうな顔をしているのはどうして?

僕は僕。それ以外の僕がいたらきっと幽霊だ。僕は何にもなりたいと思わない。
このからっぽな街だから僕がうまれてきた。そこには野良犬だっていない。
幽霊は街を巡るよ。からっぽな夜を巡るんだ。

まぶたが凍る時間、スミレ色の感覚を数えよう
裁縫機械の上に立つ北極星は美しい
数歩先には半開きの霧雨があって、そこで僕は眠りたい
現実家の詩人は言葉を焼いて暖をとるだろう
ことば は 黒い 黒い
蒸汽船の貨物は沈黙する黄色
空は青色でありますように。
"夜"は空腹だ。"夜"は不眠だ。
回れ 回れ
雨の速度で
夜があなたを喰い尽くしてしまわないように

末端に立って見えた
まっさらな街
それはからっぽな僕自身。
僕は世界に戸惑っている。
まだ見たことがない
まだ触れたことがない
まだなにもしらない
世界
を進んでゆくしかない
かたちないものを信じるために

長く 長く 風を待っていた
なんて高い空なんだろう
両目に散った無数の青色
そよぐ心に
疑いもなく
次の瞬間は到来する


風が吹けばいいのに
風が吹けばいいのに