欲求と液体に就て / shakainu

かろうじて人間である。
人間の姿を保持しているわたしは鳴く。欲する。
いつから言葉を発しているのだろう、大人になってからそんなことは気にも留めなくなった。
言葉に変換することさえも煩わしい、いつの間にか溜まり溜まった欲求は液体となってわたしから溢れる。

おなかがすいたら唾液が分泌されるように、ふとしたタイミングで、感情が溢れ出したら涙が。それは最早悲しいのかもわからない。
泣いて、鳴いて、言葉では表せぬ感情は誰に伝わることもなく、気の済むまでわたしから排出される。排泄行為である。

煙草をくぽくぽやっている。
たまに気持ちが悪くなる。美味いんだか身体が欲しているのかすらもう分からない。
ただただ火を点けくぽくぽ煙を生産する。

欲求が先か、行動が、行為が先か、そんなものに正しさはない。
快楽を得て、正解を探るのだ。

口にした水が排泄物になるのか潤滑のためのソレになるのか、決めるのは、わたしに触れる君だ。