俺は谷川俊太郎じゃなかった / 脳死チャット

ある日目覚めると
俺は谷川俊太郎じゃなかった
教科書に詩が載るわけでもないし
詩集が何十年も売れ続けるわけでもなかった
年表に名前が載るわけでもなかった


俺は谷川俊太郎じゃなかった
ネットで詩を書いて
たまに雑誌に投稿して
狭い世界で評価されることが嬉しい
チヤホヤされることが大好きな
クソガキだった


詩なんか書いて何になるんだろう
詩人と名乗る人間は死人と同じだ
シジン 
空腹に負けるぐらいの肩書で
俺は谷川俊太郎じゃなかった


詩を書くことは
自己から遠ざかることだ
視線から逃れられない詩は
他者のマリオネットで
俺は谷川俊太郎じゃなかった
他者が一瞬だけ 特別になれる歌を歌って
つづめていえば おれはそれだけ


自分が詩を書く理由を内観すると
承認欲求とか自己顕示欲とか
クソダサい言葉しか浮かばなかった
俺は
大真面目に
クソダサかった


みんなに認められたかっただけなのに…
現代詩を研究して
ニヒリスティックで(適当に死とか羊水とか言っとけばいい)
多少宗教的で(適当に祈りとか言っとけばいい)
透明っぽい詩を書いても
俺は谷川俊太郎じゃなかった
学校で、何者かになれって言われたから
何者かになるように頑張ったのに
できたのは、自己と疎隔された
それっぽい言葉の羅列と
チープな感情
俺は谷川俊太郎じゃなかった
早く大物詩人になって
みんなからチヤホヤされてえなあ
おれ死にてえのかなあ