再開・再会 / 諍井寄人

さよなら、と書き捨てた、
首筋を切る風、みたいな、
筆跡で。
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 伝えるなんていらない、文字を、
 切りつけるだけ、
 そして傷は黒ずむだけ。
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何年経っても瘡蓋、
毟れば聞こえるさよなら、
新鮮な血を噴く、
まだここにわたしが居た。
ノートの平原から、
閉じた空をずっと見ていた。
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 もう風は微温いだろうか、
 執り直したペンでなにを書くのか、
 それでも。
 切れ、切られるべきを見て。
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 |  与えられた言葉に、
 |  当て嵌めた心に、
 |  させられる自死とか、
 |  死にきれるかよ。
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 伝えるなんていらない、
 言葉にはしない、文字を、
 切りつけるだけ、
 意味は知られず、意義は見出されず、
 ノートへ身を投げ、遥か死後、
 わたしなど忘れた空を、開いてくれる朝が、
 訪れるまで、さよなら。
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       首筋を切る風、みたいな。