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戸越銀座 の たてもの動物

1 この作品について

「たてもの動物の絵を見てしまった人は、元の建物を見ても、もう、へんてこな動物(たてもの動物)にしか見えなくなる」という魔法を戸越銀座にいらした皆さんにかけてみようという実験的な作品です。
人間は、見たものを一度何かだと認識してしまうと、簡単にはその認識が変えられなくなります。このことを使って、戸越銀座の建物を動物だと思っていただき、その動物が登場する物語を新しい戸越銀座の世界観にできるとしたら、この戸越銀座商店街に幾重にも重なる世界観が出現することになります。
みなさん、西の魔女の魔法に積極的にかかって、私たちの世界に足を踏み入れてみませんか?

2 作品の世界観について

食べ歩きの人で賑わう戸越銀座商店街はちょうど西から東に直線を引いたような道沿いにお店が並んでいます。ですから、太陽が商店街の西の端に沈む時には、すべての影が東に向かい長く伸びて行きます。逢魔が時とはこんな時ではないでしょうか。逢魔が時には不思議なことが起こっているはずです。あなたはたまたまその場にいたと想像してみてください。沈む夕陽の中に、きっと西の魔女の姿が見えることでしょう。
目と耳を凝らすと、商店街の建物たちの望みを聞いて、その時だけではありますが、好きな動物にして動けるように魔法をかけてあげている様子が見れるはずです。
現在18本の街路灯に建物たちの望みで「たてもの動物」に変化した時の姿とそれにまつわる物語を展示しております。その街路灯からたてもの動物と元のお店を見比べられるようにもしてあります。作品には基本的に西から順に番号が振ってあり。その順番に物語は進みます。0番は表紙です。「たてもの動物」はGoogle Map のMyMap上からも作品をご覧いただけます。https://bit.ly/45acGJB

さらに、Google Earth で見てみると作品の動物と建物を続けて見れますので、さらに見やすくなります。
スマホの場合は横にしてみる方が見やすいようです。
https://earth.google.com/web/@35.61559045,139.71499884,29.34721088a,556.02138396d,35y,-0.00000292h,0.55976732t,359.99999658r/data=MigKJgokCiAxZm9NSG9BUnVqWmlRRXRtVGpGWDdpMGxXaU1GWFpPNCACOgMKATA?authuser=0

3 何故このようなことをはじめたのか

「日本では再開発によって商店街などの街並みが失われやすい」ということはみなさん肌で感じられていると思います。戸越銀座商店街のように、東西に真っ直ぐ伸び、しかもアーケードもなく、建物の個性がそのまま街の個性になっている商店街がはとても貴重だと私どもは考えております。
しかも、食べ歩きなど楽しい遊びを各お店が協力しして、遊びと楽しさを演出できる日本では稀有な商店街だと思います。これは、一つの戸越銀座商店街の文化だと思うのです。ただ、この素敵な文化がいつまでも残るのかというと、日本中が再開発の波に飲み込まれている現状を見ると、難しいかもしれないと思うのです。
そこで、今ある戸越銀座商店街の文化をさらに強いものにするために、街としての統一的な世界観をもしも作りだすことができ、その世界観の中で食べ歩きなどをして遊ぶことがが好きだという人がさらに増えたとしたら、その街の世界観が作り出す雰囲気を大切にする文化も生まれると思うのです。今あるこの楽しい商店街の街並みや雰囲気を大切にする気持ちが生まれれば、結果として雰囲気を作り出していた昔からある建物が単に古いというだけで壊されることは少なくなり、この街の雰囲気に合わない建物も作られにくくなるのではないかという考えております。
食べ歩きなどで遊べる街の楽しい雰囲気を物語としての世界観としても作り出し強固なものにする試みなのです。

東西にまっすぐに伸び、その両脇に隙間なく並ぶ個性的なお店。特にアーケードがないということがとても大切ですし、トランスを上に上げた関係で、街路灯の柱が太く小学生の絵を飾ったりもできるという点も街に文化をもたらすためには、大きな利点になります。やはり、商店街には子供達が集まることも大切で、街と子供の関係も大切だと考えています。今回の絵本は子供向きとは言えないものですが、もしも、街路灯絵本を展示する機会がありましたら、上下二段の大人向けと子供向けという街路灯2階建て絵本を作って見たいと考えております。

この作品は東京工芸大学芸術学部デザイン学科笠尾研究室による「商店街の立地や建物から感じられる世界観を物語と絵で作り出す実験的なアート作品の第一弾です。今後もこのように、商店街や大きな都市の公園などににあるものたちが作り出してきた魅力的な特徴を発見しそれらを深く洞察し、その上で楽しい物語創造し、その物語の世界観を皆さんに感じてもらえるような展示をしていきたいと考えております。

今後ともお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

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