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コロナ、味覚障害、イースター

やい!!!COVID-19!!!
この前はよくもやってくれたな!おかげでひどい目にあったぞ!!!

お前の顔なんか二度と見たくないから、金輪際私の前に姿を現さないでくれ!

嫌いっ!!!

というわけでコロナです。味覚障害ですってよ奥さん。いや参ったまいった。

そもそも私がコロナウィルスに罹ったのは今から約1ヶ月前のことで、今年の個人的な10大トピックに入る出来事だった。思い起こせば、6月11日あたりから嘔吐&発熱&体のだるさなんかの症状がいっぺんに出て、医師からは5日間の外出禁止期間を言い渡され、晴れて家の中で療養生活を送ることに。3日間くらいは咳やら高熱やらで寝込む羽目になりましたが、その後は案外スーっと熱が引いて身体が楽になったので、「治ったー!嬉しー!!!あと2日でティアキンクリアしたろ!」と浮かれていました。しかし、併発していた食べ物の味がほとんどわからなくなるという味覚・嗅覚障害については一向に治る気配を見せず、割と最近までは何を食べても熱と食感くらいしかわからん、という状態が続いておりました。現在はすっかり元の状態に戻り、味もちゃんとわかるようになったので、そのときの経験をつらつらと書いておこうかな、と思います。

はー、それにしても治って良かった……。

なお、コロナの症状は人それぞれで微妙に異なるため、必ずしも私と同じような生活や薬で味覚・嗅覚障害が治るわけではありません。あくまでこの文章は私自身の経験談ですので、もし同様の症状にある方がいましたら、医師の診断を受けるのが一番間違いないので、まずは病院へ行きましょう。また、この文章は読んだ人があまり重い気持ちにならないよう、割とゆるめのテンションで書いています。もし自身や身近な方に同じ症状の方がいる場合、それを茶化す意図はありませんが、閲覧には不向きと思われますのでご了承ください。注意はしたかんな!

6月11日(1日目)

朝起きると妙な寒気がして、やだなー、さむいなーと思い、体温を計ってみると37.4℃。この日の夜中に突然吐き気に襲われてトイレでげーげー吐いていたこともあり、「風邪かな……」とも思ったのですが、これまで私は風邪を引いてもほとんど体温が上がらない体質だったので、
「これってもしかしてコロナなのでは……?」
と、万が一の可能性を考えて、体力は有り余ってましたが、あまり無理しないで行動することにしました。さっさと病院に行きたかったのですが、この日は日曜日だったので、次の日行くことに。味覚・嗅覚についてはこの時点では問題なく、食欲もありましたし、それほど深刻にはなっていませんでした。

6月12日(2日目)
朝一で病院へ向かう。熱は昨日より上がり38.6℃。これまでの人生で経験してきた体温記録を軽く更新していてびっくりすると同時に不謹慎ながら少々テンションが上がりました。病院に着くと入り口でインターホンを鳴らし現状を説明。普通はそのまま院内に入れるのですが、私の場合は看護師さんが中から出てきてくれて裏口に案内されました。
「これ、HUNTER×HUNTERの1巻で見た裏メニューを頼むと奥の部屋に通されるやつみたい……!」
とか思いながら隔離室に着くと、そこは防護シートが入り口に掛けられた部屋になっており、しばらく部屋で待ってるように言われます。

何回読んでも面白い最高の漫画。

待機している間、渡された体温計で体温を計っていたのですが、なぜか36.4℃とど平熱で、なんかぜんぜん大した熱でも症状でもないのに、大げさに慌てて病院まで来たそそっかしい人と思われてないかな、なんてそわそわしていました。その後、小橋建太似の先生に診てもらい、診断結果は思っていた通りコロナ陽性。ほらやっぱり!嘘じゃないでしょ!と、それを言い渡されたときはなんだかホッとしてしまいました(ホッとすんな)。家に帰ると意外と疲れていたのかストンと眠りにつき、4時間くらい爆睡。その後、目を覚ましたあたりから咳の症状がどんどん強まっていき辛かったです(咳ってし過ぎると喉より腹に来ません?)。そしてこの頃から食べ物の味がほとんどわからなくっていることに気づくのでした。

6月13日~16日(3日目~6日)

この期間は自宅療養期間ということで、1日中家にいながら適当にあるもの食べて過ごしていたのですが、何を食べても「熱」と「食感」しかわからず、匂いを嗅いでもほぼわからない状態でした。
いやいや、鼻が詰まっているだけでしょ、と自分自身に言い聞かせていたので、確認のため試しにチーズを食べてみましたが、、、

???????????

なーんも、わからん。

いまならくさやでもシュールストレミングでも余裕でいけそう。

それくらい味がわかりませんでした。
例えばずっと鼻を塞いだ状態で何かを食べているような感じでしょうか。
ただそれ以上に、高熱でくらくらするし、一向に止まらない咳のせいで喉だけでなく脇腹まで痛くなってくるし、寒気や頭痛もありの、しんどい症状フルコースって感じだったので、味覚や嗅覚については「まあ、そのうち治るべ」くらいの意識でさほど心配していませんでした。
しかし、4日目くらいからは熱も引き、身体は徐々に楽になってきたにも関わらず一向に味も匂いもわからない状態が続いていたので、味覚・嗅覚障害が併発している確信を持ち、少しずつどんよりした気持ちに。ちなみにこの自宅療養期間中は観たかったクトゥルフ神話に関連する映画を見たり、ゼルダの新作『ティアーズ・オブ・キングダム』を遊んだりといつも以上に趣味に没頭しており、そういった面では非常に充実していました。

また、ある程度体力が回復すると家の中を掃除したり、昔の手紙や資料の整理することに時間を使っていたのですが、その時何年か前にラクガキ用に使っていたスケッチブックが見つかり、中を見ると大量に描かれたハゲで渋い雰囲気のおっさんの絵が。あー、確かこのころ『宗像教授伝奇考』っていう伝奇や民族伝承を扱った漫画にハマってたんだよな~、なんて懐かしい気分になりつつ白い紙いっぱいに描かれたハゲのおっさんを眺めていると、このころの自分はいったいなにを目指してたんだ…?大丈夫か…?と我がことながら少々心配な気持ちにもなりました(恥ずかしいので掲載はしませんが、代わりに元の漫画の表紙を載せておきます)。

ハゲで渋いおっさんが主人公の漫画。

6月17日~23日(7日目~13日目)

自宅療養の期間が終わり、身体は回復してすっかり元気に。Twitterで復帰の報告をしたらたくさんいいねやコメントを貰えてとてもありがたかったです。でも相変わらず味覚・嗅覚障害は続いており、何を食べてもさっぱり味がわからない状態が続いていました。正直結構不安な気持ちになっていて、
「これ、いつまで続くんだろう……。本当に治るのかな……。もう大好きなお刺身もチキンカレーもアイスもネギラーメンも楽しめなくなるってこと……?この先どう生きたらいいのかわからないよ監督……」
と悲しい気持ちに。とりあえずさっさと病院で診てもらった方がいいなと思い、近隣の耳鼻咽喉科を探したのですが、タイミングの悪いことにどこも休診中。仕方なく一週間待って診てもらうこととなりました。不安な気持ちを和らげたくて、やめときゃいいのにインターネットで同様の症状になった人のことを検索し、「2年経っても治らない」だとか「原因も治療法も不明のまま」なんていうソース不明の記事を見て余計にへこんでおりました。

食欲もあまり無く、普段より食べる量は少なめになり、買い物の量と比例するように私の体重も減っていきました。
この頃の食べている感覚を説明すると、普通にわかるはずの匂いや味を9割くらいカットした状態で口に放り込んでいる感じです。不味いかどうかも分からない変な状態でしたが、それでもいま食べているものが自分好みかどうかはなんとなくわかる気がしたのです。
いわば「味の記憶」で食べているとでも言えばいいのでしょうか。

やだ~~~!「美味しい」がわからないのやだよ~~~~~!!!

つらい~~~~!
つらいよ~~~~~~!!!

なんて思いながら、いつまでこの状態が続くのか、そもそも本当に治るのかわからない状況は、人生の楽しみを半分くらい奪われた感覚になっていました。やだ〜~。

6月24日(14日目)

相変わらず何を食べても味はほぼわからず、利点と言えばトイレに入っても全く匂いを感じないことくらいだな~、なんて思いながら過ごし、ようやく診察の日です。耳鼻咽喉科に着くとだいぶ混んでいて、先週までコロナに罹っていたこともあり、入り口で待機することに。30分くらい待っていたら医師の先生の元へ呼ばれました。先生はめがねをかけた薄毛の方でちょっと鶴瓶師匠に似ている方でした。鼻と口の中を診てもらうと「あー、鼻の奥の方が炎症を起こしてますねえ」とのことで、さらに「まあ、うちの病院来て治らなかった人はいないから安心していいよう!」と言われすごくホッとしました。
この症状にある人の多くはコロナウイルスによって鼻や喉の器官に炎症を起こし、さらにビタミンB12が不足してしまったせいで味がわからなくなるそうです。なのでビタミンB12を補給する薬と、炎症を抑える点滴薬を処方してもらいました。

余談ですがこの鶴瓶師匠似の先生がいる病院は、この約一ヶ月後に理由は謎のまま突然閉院したので行ったのはこれ1度きりとなりました。いや、治ったからいいけどさ、一体何があった。

さらば鶴瓶師匠。

6月25日~28日(15日目~18日目)

鶴瓶似の先生に聞いたところ、味覚障害になったとしても、早い人で1週間、遅い人でも2ヶ月くらいで自然治癒することがほとんどだそうです。私の場合は2週間経ってもあまり良くなっていないので人よりちょっと回復は遅い方なんだろうなと思いつつ、早く直したいので毎日ちゃんと処方薬を飲んで過ごしておりました。
餃子、ミートソースパスタ、納豆、ジャックダニエルなどなど、比較的匂いが強めのものを食べてもほぼ味がわからなかったのですが、よく匂いを嗅げば少しは香りはする、という所まで来ます。

6月29日〜6月30日(19日〜20日目)

そういえば間食をぜんぜんしていないことに気づく。コンビニでアイスとかお菓子を買うことが無くなりました。だって味がわかんないんだもん。おかげで体脂肪率はコロナになる前より1.5%ほど減少。これは喜んでいいことですよね?

7月1日~2日(21~22日目)

味が“薄い“と感じるくらいに回復。薬の効果なのか、時間とともにこれくらいは治るものだったのか定かではないですが、なんにせよだいぶ香りがわかるようになりました。同時にトイレに入ったとき「なんか臭うな……」と思うことも度々あり、それがちょっと嬉しいという変わった事態に。

7月3日(23日目)

お刺身が好物なのですが、海鮮系って中々味がわかりづらく、旨味を味わえないよー、としょんぼりしていましたが、ここら辺でこれも大分わかるようになった気がします。気持ち的にもどんどん元気になり、「わかる、わかるぞ~!」と毎食テンションが上がっていました。

7月4日~10日(24日目~30日目)

日ごとに回復していっているようで、ご飯を食べることが再び楽しみになりました。二週間分もらっていた薬はすべて使い切りましたが、後は鶴瓶師匠に言われた通り、自然治癒に任せて問題ないでしょう。

7月11日~(31日目~)

これ以降はあまり劇的な変化はなく、少しずつ時間をかけて元通りになっていきました。街を歩いていると、植物の匂いや、ラーメン屋の匂い、通りすがり人の香水の匂いなどがわかるように。嗅覚ってすげー!

そういえば友人と飲みに行く機会があったのですが、その友人もつい最近コロナウイルスに罹り、私と全く同様に味覚・嗅覚障害になっていたそうです。お互いすでにほぼ完治していたので、「味が分からないと《味の記憶》で食べるよね〜」とか「治ってきたか確認するために食べ物の匂いを嗅ぐ習慣が付いちゃったよね〜」なんて話をして盛り上がりました。

7月19日(復活の日)

これを書いている現在は、味覚も嗅覚もすっかり治りました。後遺症が発症して30日目以降の変化は微々たるもので、それでも徐々に徐々に元の状態へと近づき、1ヶ月以上経ったいま、自信をもって元の状態に戻ったと言えます。
別にただ病気になって、それが治ったという話なので教訓めいたことなど何もないです。ただやはり、今回のことで健康であることのありがたみはつくづく実感しました。
味がわかるって本当に幸せなことです。
いや、そもそも食べること自体は好きなのですが、あまりにも身近になっていたその習慣が突然機能しなくなるって、思った以上に精神的なダメージがでかいな、とも思いました。

さて、今日は何を食べようかな。


おしまい。

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