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#メンタルエッセイ48

時を駆ける

この歳になると色々な人とのお別れがあります。
同級生も旅立つ人がちらほらと、病気、事故、自殺。

マンションで暮らしていたとき、窓の外を見ているとなにかが落ちてきました。
すごい早さでした。布団が落ちてきたのかと思いましたが、大きな聞いたこともない音がしました。

バルコニーから下を見ると、マネキンみたいに人が倒れていました。
管理人に連絡をしました。

警察官が家族の安否確認をしながら亡くなった方の家を探していました。
八階から飛び下りたと聞きました。
人の噂も七十五日、なにもなかったように暮らしていました。

近所に区民農園がありました。
区民農園は賑わっていて、お花を育てる人、野菜を育てる人、北国の短い夏を楽しんでいました。

区民農園の真ん中の小高くなっている所が、皆さんの休憩所のようで笑い声が聞こえてきます。

小高い休憩所のあたりから、火柱が立って消防車、救急車が何台も集まっていました。

しばらくのあいだ花が手向けられていました。

区民農園は無くなり、区画整理が始まりました。あっという間に新築の家が建ち並び。
小高い休憩所があったあたりに、一本の柱が立てられ万国旗の旗が四方にたなびいていました。
若い家族連れが子供の手を引いて、新築の家を楽しそうに見学しています。

時の流れを感じながらも、これでいいんだと思いました。



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