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放流
皆様、ごきげんよう。富士見です。
天気もいいので、適当なことを述べたのち、絶好の放流日和である本日に、書きかけの稚魚を解き放ちたいと思います。いつか遡上するのでしょう。せっかくなので、各個体に簡単な解説も付けます。
【個体管理ナンバー︰20240514】
昨晩のことであるが、友人Aが友人Bにとあることでキレていたことから始まった《プチ喧嘩》に巻き込まれた。友人Aは以前、良からぬ事を言っていたため喧嘩は妥当であるとも思うが、諫めても私に対しては逆ギレしかしなかったので、もう知らないことにした。寝た。
朝、友人Aから謝罪の申し入れがあった。過去にも何度かこのようなことがあり、その地点で友人Aは「謝れば無条件で許されるべきである」と言う思想を持っていることが私に露見している。
私は、受け入れるべきだろうか。
【個体解説】
一番若い稚魚であり、一番パワフルであり、もう死にかけである。
「富士見はどうせ精神が子供だから〜」という解釈は、半分正解で半分不正解である。
【個体管理ナンバー︰20231200】
ココ最近のことだ。
私は狂乱と錯綜にその身を蝕まれて、ひとくいオオカミに付け狙われていることに気づいたのだ。赤いとろみのある液体を口から垂らしながら、念仏を唱えるように何かを呟くソレは常に私の六時方向距離十五メートルを保っているのだ。個室にいる時ですらヤツは透視をしてピッタリくっついてくる。自転車に乗れば時速二十キロで追いかけ、 寝ている時も例外ではなかった。夢の中で遊園地に行こうが、誰かと淫らであろうが、巨大ゴキブリに食べられていようが関係がない。
私がソレをひとくいオオカミだと断定したのはつい先程のことであった。断定できた理由は、姿の全容を見た際に絵本・小説などありとあらゆる書籍媒体で見たことのあるそれはおぞましい姿をしていたからである。つまるところ、命名権は自動的に私に移ったのだ。その発見に気づいた時には私は空車のタクシーに飛び乗ろうかとも思ったが、福井県某断崖絶壁に向かうにはまだ早く、部屋に放置されているCD、書類、キーホルダーなどの処分が済んでいないことをすんでで思い出した。
三日前のことであるが、私は猫の死体を発見した。美しくもはらわたがチラつく元生命は巨大な有機分子の塊でしかなくなっていた。きっとあのオオカミがその大きな牙で猫の脳天目掛けて出した攻撃を躱しきらず、当たったのであろう。普段なら死体など素手で触らないが、その時は触ったのだ。血が先程まで沸騰していたかのように熱く、毛はサラリと人撫でで抜け落ち、綿毛のようなものが舞っていた。猫はぬいぐるみだったのだ。
さて、これはきっと私の幻覚・異常ニューロンが見せた幻であるか、私の分身体に違いないと前置きするが、ヤツに唯一狙われない条件があったのに気づいた。以下に箇条書き、メモとして遺す。
〘条件〙
・23時~4時
・雨上がりの路上
・8℃~18℃
・小説を持って歩く
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【個体解説】
個体管理ナンバーの下2桁は不明で、尚且つ冗長である。もし、20240514がタナトスならば、こいつはエロスだ。構えよう。
【個体管理ナンバー︰20230000】
前略
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いつの間にか過去と未来が同期され、パラレルワールドに飛ばされたかのように理論を振りかざしたり、そもそも過去改変すら起こっている中で議論をするのは不可能であり、これを私は「遡及クソ論法」と呼んでいる。
ところが存外にも、このワザを使ってくるオトナは大量に存在する。そういう人間とやり取りをする時は、録音なり捺印を貰うといいだろう。日常までも掌握されていない場合はひとまず何とかなる。日常を掌握されている私のような人間は、決して謝らない上に、後出しジャンケンしかしないこのような下衆に悩まされ泣き寝入りするしかないのだろうか。
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後略
【個体解説】
完全に情報なし。
【個体管理ナンバー︰20230600】
![](https://assets.st-note.com/img/1715647910600-Zqxp4nX3fN.jpg?width=800)
【個体解説】
短く、稚拙である。「ゴミ」という言葉は、このような文章を罵るためだけに存在する。
【個体管理ナンバー︰20231205】
私は嘘をつくのが苦手なのかもしれない。
質疑を受け、面と向かって問われると必ず本当のことを言ってしまう。本当のことというのは、私が感じた言葉そのものである。
それが相手を傷つける言葉であれど、言葉の重みなど総じて無視し、TPOも弁えず、平然と言う。
…嘘である。
いつも言った後に気づく。
「あぁ、言ってしまった。今すぐ過去に戻って自分を殺すか言わない決意を固めるかすべきだ…」
その言葉が如何に非情で、無知で、暴力的で、相手を考えてないか理解できていない。学習できていない。
言った後に言われた本人を案じ、私が言ったのにも関わらず、私自身も勝手に傷つき、嘔吐感に見舞われることがある。自分で蒔いた種なのに。
【個体解説】
通称、「GERO魚」であることはわかりやすいだろう。ゲーがハーになれば、ヒーローになれることにまだ気づけていなかった。
【個体管理ナンバー︰44244444】
__午後6時を少し過ぎた頃である。某原町通りを私と友人の二人で歩いていた。人生の区切りにダ・カーポを書き入れ、ただ街を征く私共は、とある喫茶店の前まで来たのだった。幾度となく中に入ろうとしたが、そのたびに様々な理由で断念していた因縁の喫茶店だ。『今日は最後の日なので、甘いものを食べて解散しよう!』などと小一時間前に豫め約束していた私共は、その喫茶店を見るやいなや全てを思い出し、一回目の最後に甘味を取るべく、会話を何も交わすこと無くに中へと吸い込まれた。
入って直ぐ、煙草の匂いが鼻裏をツンと突き、次に珈琲の香ばしい焙煎の香りに包み込まれた。目前には、所謂「レトロ」と呼称されるチープさを内包したソファーと中身だけ最新の焙煎機、謎にウェイトレス姿の年増の店員。総てが噓であり、総てが本物だった。
【個体解説】
特殊個体である。いつものごとく、文章が文章を成していないが。
以上。
いつか大きくなって戻っておいでよ。
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