積読のススメ(ハジメ)

 面白い話を聞いた。

「積読」は積んでいるだけで影響を及ぼす。

出典 ゆる言語学ラジオ 『名誉の殺人』も『コンテナ物語』も「出落ち本」【ミーム提案委員会】 #36 14:44~

  その話は、積読は発酵していつか読み時が来る、来ない本もあるかもしれないけれど、それは賞味期限の浅い本で、歴史的名著は時を超えて読まれるから良い、と続いた。

 すごい、と思った。頭がいい人ってこんな考えできるのだ、と。私は、本を買う時、読む覚悟が持てないと買えない。そのため、買わずに避けた本というのは結構ある。ただ、避けてしまってそのまま忘れているため、再び出会うことはなかなか無い。本も一期一会ということなのだろう。


 すごい、という思いには憧れの気持ちが詰まっている。
 私は、本を読む人に、頭のいい人に並々ならぬ憧れを持っている。田舎で学校があまり無い中で、中学受験をしていたため、自分より結構頭がいい人というのが身近にいた。言語のセンスや、何よりモノを知っているというのがとてもスマートに見えたのだ。格好いい言葉の言い回しなど見ると、真似したくなる。(最近は、”蓋し”がお気に入りだ。)なろう小説のようなネット小説はかなり読むのだが、なかなか身になるような本には食指が伸びない。私が変に文字を読む人なせいで、”マトモな読書家”やら知識人へのコンプレックスを尋常じゃなく拗らせているのだ。その歪んだコンプレックスが本に関わる言葉にバイアスをかけて、”すごい”という感情を生んだ。


 まあ、私のコンプレックスはどうでもいいのだけれど、”「積読」は積んでいるだけで影響を及ぼす。”って考え方は私の本との向き合い方をいい方向に変えてくれた。本は買ったら読まなきゃいけないという宗教染みた考えから脱却させてくれた。学生の頃はまだしも、今なら本を買いすぎて破産なんてしない。雑に買うというのも、読んでみてつまらないからやめるというのもいいだろう。

 丁度いいことにkindleのセールがやっていたこと、動画の中で”個人的インパクトファクターが高い本”という購買意欲が湧く本がたくさんあったことで、ポチポチと本を数冊買った。勿論、読むつもりではあるけれど強迫観念めいたものは無い。本と丁度いい距離感がここにあった。

 さて、今早速読んでいるものは、この動画で触れられていた、飲茶氏が書いた史上最強の哲学入門になる。バキ感がある哲学入門というものなのだが、なるほど考えが戦っているように書かれていて、かなり面白くて読みやすい。私の好きなエピクロスも後半にいて読み進めるのが楽しみだ。

 読書ってやっぱりいいものだ。1ページも開いてもいない楽しみもまだ積まれている。ワクワクできる。

 積読、ハジメます。

 



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