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インフレ対策法案はグリーンニューディールでしかない(ヘリテージ財団の記事)

写真出展:Gerd AltmannによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/geralt-9301/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=7139834

 2022年7月29日にヘリテージ財団は、先日発表されたインフレ対策法案に関する記事を発表した。内容は、本法案がインフレ対策の名の下に再生可能エネルギーの推進を目論んでいる実態を明らかにし、インフレ対策にならないことを端的に指摘するものである。
 インフレ対策としてFRBによる利上げやバイデン政権の対策が取りざたされており、いかにもインフレが終息しそうなような報道を見かけるが、現在のインフレは政府の失政が招いたものであり、今後も改善しそうにないことが良く分かる内容となっている。
今後の経済状況を見通すうえで参考になると考えられることから、本記事の概要を紹介させていただく。

↓リンク先(Inflation Reduction Act—or Radical Green New Deal?)
https://www.heritage.org/energy-economics/commentary/inflation-reduction-act-or-radical-green-new-deal

1.本記事の内容について
 ・先週水曜日に上院民主党が公表したいわゆる「インフレ対策法案」は、その名に反してインフレに何の効果もないものである。もし可決されれば、エネルギー価格は上昇し、エネルギー安全保障が損なわれ、それでいて環境の改善につながらない。更に悪質なことに、石炭が産出されるような西バージニア州などの経済を著しく悪化させる内容にもなっている。
 ・エネルギーと気候変動対策の章では、補助金が3690億ドルも計上されており、ワシントン側が情実主義で配分できる内容になっている。主要なものについては以下の通り。
  再生可能エネルギー 300億
  施設 300億ドル
  断熱型の建具(ドア、窓) 10年間の補助金
  輸送関係 数百億ドルの補助金
  これ以外にも優遇税制、規制も列挙されており、ガスや石油などのエネルギー価格を規制しつつ、風力は太陽光などの不安定なエネルギー源を優遇しようとしている。
 ・本法案は、エネルギー市場の動向を見誤っている。すでに十分な競争性が確保されている分野に優遇税制を適用しようとしているだけでなく、労働時間や最低賃金の規制を強めようとしている。この内容は、バイデン大統領は、環境ビジネスにより多くの高賃金の雇用が創出された、という発言と合致していない。
 ・再生可能エネルギー産業はすでに高賃金であり、本法案は必要がない状態である。結局のところ、ワシントンや官僚の情実主義を促進するのみであり、個人や職業選択の自由を左翼的政策で抑制するのみである。
 ・更に、本法案によりエネルギー安全保障も脅かされる。アメリカは自由競争の基にエネルギー産業を発展させてきたのであり、このことにより消費者の適正価格が維持されてきたのである。もし政府の規制がなければ、アメリカは自立可能なエネルギー大国となれるだけの水準にまでなったのである。
 ・再生可能エネルギーについても同様であり、適正な市場競争により価格が低下し、新しいイノベーションが創出され、エネルギーの選択肢増加に貢献している。しかし本法案は政府による産業介入政策であり、これは歴史的に成功したためしがない。政府の補助金が振り向けられることで投資環境が大きく変化し、アメリカ人にとって価値ある投資先が後回しにされてしまう。このことにより化石燃料の価格が上昇し、再生可能エネルギーを求めざるを得なくなるわけだが、政府の介入がなければ、このような変化は生じ得ない。風力と太陽光発電は、数十年も税金から補助金を受けているが、いまだ主流のエネルギーにはなっておらず、補助金が無ければ成立しないのである。
 ・石油精製所の生産量が大幅に低下しているのは、市場原理ではなく政府の規制である。精製の際にエタノールを使用するよう義務づけられてから、触媒の選択肢が狭まったことが要因である。このような状況下では化石燃料系産業の投資が鈍り、将来の生産量が低下していくことが予想される。結果として石油派生製品の価格が上昇し、インフレはさらに加速することになるだろう。
 ・エネルギー情報局の分析によると、2030年までに二酸化炭素排出量を44%削減すると、年平均で120万人の雇用が喪失し、最大では年780万人になると見込まれている。経済的損失は7.7兆ドル、4人家族の収入は8.7万ドル減少し、家庭の電気量は23%増大するのである。
 ・西バージニア州は、特に深刻な損害を被るだろう。アメリカ国内第二位の石炭産出量を誇り、発電量の88%が石炭火力であることから、本法案による損失は計り知れない。地球を救うためのやむを得ないコストであると正当化する向きもあるが、国連のIPCCは、地球温暖化予測を下げており、地球温暖化の危機すら怪しい状況でこのような理由付けはできないだろう。
 ・本法案の言う通りに化石燃料を削減しても、地球温暖化にはほとんど影響がない。(アメリカ大気研究センターのモデルによると、2100年までに0.2℃しか低下しない。)本法案は情実主義を促進し、極左的政策で自由を抑制し、経済に打撃を与え、エネルギーの選択肢を狭めるだけである。

2.本記事読後の感想
  インフレが話題になって久しいが、近いうちに改善される見通しはない。ウクライナ戦争により石油やガスが不足気味になっていること、食料輸出が安定しないこと、過度な財政政策により生産を上回る消費を喚起していることなどを考慮すると、アメリカのインフレは収まることはないだろう。
  経済成長率マイナスの日本にとって、アメリカの状況はある意味では羨ましい状況であるが、このあおりを受けるのも日本である。岸田政権がするべき政策は、エネルギー輸入先の分散、再稼働対象原発の増加、ガソリン税などのトリガー条項発動などであるが、いずれの政策も採用していない。このため、日本では生活必需品の価格高騰が今後も続くと見込まれる。また補正予算もどれぐらいの規模で組むのかが不明であるが、日本の景気をよくするための動きもあまり見られない。
  以上のことから今後の経済の見通しはかなり暗いと言えるだろう。アメリカのインフレ対策法案による巨額財政支出により、インフレはますます加速する見通しである。もしこの状況を予見して有効に対処し得ないのであれば、日本経済は再度デフレに陥ることだろう。

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