ICTのサプライチェーンに関する大統領令の是非(CSCの記事)
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サイバー空間ソラリウム委員会が2021年3月18日に、「アメリカのサプライチェーン」と題する大統領令についての記事を紹介していた。情報通信技術の物資調達などに関する指示書という位置づけであるが、今後の情報通信技術の方向性に影響があると考えられることから、その一部をご紹介したい。
↓リンク先(What the Biden Administration Gets Right and Wrong on ICT in the New Supply Chain Executive Order)
https://www.lawfareblog.com/what-biden-administration-gets-right-and-wrong-ict-new-supply-chain-executive-order
1.大統領令の内容について
・情報技術(ICT)、バッテリー、レアアース、薬品の4つの重要分野のサプライチェーンについての指令を出した。サプライチェーンの関する政策を統一的戦略の基に統合することを宣言している。
・大統領令は、ICT以外の分野を関連させてより包括的な戦略としている点は評価できる。その他、事実確認・情報収集体制を強化し、アメリカ国内の生産能力を検証するという部分も正しい。しかし、省庁間や民間部門との連携、組織作りなどの事項が説明されておらず、この点においては不十分である。
・主導する省庁は商務省がふさわしい。ただ、商務省にはインテリジェンス権限がないことから、合衆国法典第50編の権限を付与すべきである。
・最新鋭の半導体工場の建設には1兆ドルが必要となるなど、コストが大きいことから、アメリカ単体での対処は困難である。同盟国や友好国をも取り込んで、コストと利益を共有することが必要である。
・中国は政府が民間企業を全面的に支援していることから、現在の世界市場は通常の競争環境ではなくなっている。アメリカ国内の開発・貿易組織の権限を見直し、民間企業を支援するべきである。
2.本記事についての感想
バイデン政権は、大統領令を乱発しているということで批判を浴びているが、ICTに関するサプライチェーンについては、おおむね良いもののようだ。(筆者が民主党側の人物であることには注意が必要であるが。)
日本は、個別的な資源に着目しがちであるが、サプライチェーンは多岐にわたっており、物資単体で評価してはならない。よく石油や半導体の話はするものの、工業製品全般にわたっての話はほとんど出てこない。政策金融やADBなどを活用して国内外に広くサプライチェーンを構築する戦略を策定するべきである。経済産業省に任せると失敗する可能性が高いことから、NSC経済班などに期待したい。
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