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テキサス州のブラックアウトについて(ヘリテージ財団)

写真出展:Robson MachadoによるPixabayからの画像

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 ヘリテージ財団の2021年2月14日の記事で、テキサス州のブラックアウトについての記事が発表されていた。日本における今年1月の電気料金高騰の事例と類似した状況であったことから、電力市場を考える参考情報として紹介させていただく。

↓記事リンク先(The Misguided Attacks on Natural Gas)
https://www.heritage.org/coal-oil-natural-gas/report/the-misguided-attacks-natural-gas

1.テキサスブラックアウトの概要
  ・100年に1度の寒波で、電力及び暖房の需要が飛躍的に上昇した。
  ・約185か所の発電機の回路が切断されていた。各種設備の凍結及びガ                スの不足が主な要因だった。また、一部の発電所は定期点検のため停止して   いた。天然ガスは暖房に回され、結果として発電量が大幅に不足した。
  ・再生可能エネルギーは、停電の主要因ではない。テキサスの全力量の   割合は、風力及び太陽光発電19%、天然ガス53%、石炭19%、原子力8%である。このうち供給されなかった電力量のうち、約60%は天然ガス、石炭だった。
  ・テキサスの電力市場は最も自由化されている。容量市場(発電可能な電源に対して対価を払う)がなく、エネルギーオンリーマーケット方式となっており、予備力を含めて短期的に容量を調整する。
  ・テキサスの電力市場は、余剰電力を確保するインセンティブを与えるという点で欠点はあるが、寒波の中でも市場は閉鎖されることなく機能していた。結果として、州全体に及ぶブラックアウトには至らなかった。

2.日本にとっての教訓
  今回のテキサスの停電は市場原理の失敗例だと思われるかもしれない。 政府関係者や既得権益者が喜びそうな事例ではあるが、国営化してしまえば良いのかと言うと、事態はそう簡単ではない。テキサスの電力市場は世界でも最も自由化されているが、完全に市場は閉じられず、それでも短期間で復旧しており、100年に1度の寒波も何とか耐えたのである。無論、100パーセントでないことは確かであるが、急速なひっ迫に対応できなかっただけであり、電力を備蓄できない現在のシステムではどうあがいても対処できなかったと思われる。(1月の電力料高騰は、日本市場は需給と価格が見合わない形で価格が上昇しており、電力会社の余剰電力不足により、結果として市場価格が高騰したのである。こちらは市場の失敗と言えそうだ。)
  また、インフラの不備さえなければよいという議論も予想されるが、テキサスは緯度的には、九州の鹿児島市ぐらいの位置であるため、寒冷地仕様になっていないのはやむを得ない部分もあると思われる。全ての設備を寒冷地仕様にしてしまうと、かえって暑さに脆弱になったり、コスト高になる可能性もある。
  日本においても1月に寒波に伴う電力料金高騰する事例があり、本件に関して参考となる動画があった。全部で3本と長いものにはなるが、最高峰の議論がなされているため、合わせてみていただければと思う。(動画のリンク先は、最後に明示しておく)
  このような状況を受け、旧9電力体制の方がよかったのではないかと言う意見が出てくるかもしれないが、電力会社のレントシーカー体質のため、消費者に負担が付け回されてきたことを考えると、或る程度の市場原理の導入はやむを得ないと思われる。
  ただ日本においては、エネルギーは経済よりも、安全保障としての側面が非常に強いものであるという認識が必要である。資源が取れない日本にとって、エネルギーは当然のものではないことから、安易に市場原理による低価格路線を追求するのではなく、電力確保を担保する仕組みを組み込みつつ、適切に市場原理を導入するというバランスの良い体制を構築していくことが望ましい。

↓動画リンク(youtube)
 https://www.youtube.com/watch?v=eSgnW48fei0
 https://www.youtube.com/watch?v=lo-hoc6kMxI
 https://www.youtube.com/watch?v=F-PGtVXzWuY (16:30から1:21:50ごろまで)

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