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ベトナムの石炭回帰(CFACTの記事)

写真出展:AngelaによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/hangela-2450118/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=1626368

 2022年10月23日にCFACTは、ベトナムの石炭輸入量増加政策に関する記事を発表した。内容は、ベトナム産業貿易省が発表した今後13年間に渡る石炭輸入量増加計画を巡る状況及び化石燃料使用の解説である。
 中国やインドが石炭増産に乗り出しているという記事を発表したが、ついに中堅国も政策を転換し始めたと言ってもいいだろう。今後の環境政策やエネルギー政策を見通す参考として、本記事の概要を紹介させていただく。

↓リンク先(Vietnam’s U-Turn on coal reflects inevitable energy reality)
https://www.cfact.org/2022/10/23/vietnams-u-turn-on-coal-reflects-inevitable-energy-reality/

1.本記事の内容について
 ・パリ条約に署名して以来、ベトナムは化石燃料を削減するため様々な政策を行ってきた。しかし先月になって、今後13年間に渡って石炭輸入を増加させると発表した。産業貿易省の文書によると、2025年から2035年にかけて毎年の石炭輸入量を8300万トンまで増加させる計画となっている。
 ・ベトナムの石炭発電量は増加し続けており、発電に利用される石炭の量は、2011年2780万トン、2015年3877万トン、2021年5352万トンに達している。発電意外でもセメントや製鉄、化学産業などの成長に伴い石炭需要が高まることが予想されており、2030年までに1億2500万から1億2700万トンに達すると見込まれている。
 ・途上国は、化石燃料使用量を増加させることなく経済成長することはできない。石炭や石油などの化石燃料は潤沢であり、安定したエネルギー供給源である。対して太陽光や風力は、日照時間や風向風速の不安定性により、大規模な人口が必要とするエネルギーを支えることはできない。反化石燃料に伴うエネルギーの不足は、貧困に苦しむ発展途上国にとって深刻な問題なのである。
 ・ベトナムの経済成長率と石炭使用料は正の相関がみられる。2011年から2021年にかけて石炭使用量は2倍になったが、これは安定的な経済成長(2019年までは5.5%から7.15%の間)と正比例の関係にある。相関関係は因果関係ではないものの、ベトナムはこのことを理解しており、経済成長を支えるのは石炭以外にないと考えての政策転換なのだろう。
 ・世界銀行の経済評価においても、2022年には7.5%成長になると見込まれており、今後同水準の成長率を維持する必要があるとすると、化石燃料使用量を増加させ続けなくてはならない。ベトナムの事例は、世界中に見られるもののほんの一部に過ぎない。ロシアからガスが輸入できなくなったEUは、石炭に回帰しており、中国やインドは石炭増産を発表している。南米やアフリカ諸国も今後数年間で、石油やガスを増産することを計画している。世界の化石燃料使用量は、今後も増加し続けるだろう。

2.本記事読後の感想
  エネルギー価格の高騰が取りざたされているが、石炭などの化石燃料は相変わらず人気である。使用量もロックダウンなどの経済抑制政策がなければ、再生エネルギーの流れに関係なく増加し続けることだろう。
  真の意味で国益を追求する国々は、化石燃料の使用量を増加させており、中国やインドはその代表国であるが、ベトナムのような中堅国もこの流れに乗っている。EU諸国も表向きは再生エネルギーを推進することとしているが、石炭や天然ガスの確保に奔走している。このような中で現実的な政策を取っていないのは、アメリカと日本ぐらいである。
  特に日本は新しいエネルギー政策を発表しておらず、統一教会のような下らない問題に時間を浪費している。物価高対策にしてもエネルギー企業への支援金を継続するのみで、抜本的な対策を取ろうとはしていない。アジア諸国でも天然ガス増産が可能な国もあることから、こういった国々に長期契約を持ちかけるなど、取れる手段はあるはずである。冬を迎えつつある日本にとって、エネルギー政策は待ったなしである。岸田政権の無能ぶりを放置してはならない。

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