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非現実的な電気自動車推進(CFACTの記事)

写真出展:FranckinJapanによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/franckinjapan-2774010/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=1986440

 2022年9月24日にCFACTは、アメリカの電気自動車推進政策に関する記事を発表した。内容は、先日可決したインフレ抑制法の電気自動車推進政策を批判し、非現実的な電気自動車政策の現状を指摘するものである。
電気自動車の推進に関しては何度も記事にしてきたが、エネルギー危機やサプライチェーンの脆弱性などが取りざたされているにも関わらず未だに推進されようとしているのは、もはやあきれるしかない。今後の環境政策やエネルギー政策を見通す参考として、本記事の概要を紹介させていただく。

↓リンク先(Push against hydrocarbon cars shows contempt for rural America and the developing world)
https://www.cfact.org/2022/09/24/push-against-oil-cars-shows-contempt-for-rural-america-and-the-developing-world/

1.本記事の内容について
 ・2008年のリーマンショック時に政府に救済された巨大自動車企業は、今やアメリカ国民を裏切ろうとしている。温室効果ガス排出削減により、電気自動車の生産を推進し、多くの地域の雇用を切り捨てようとしている。
 ・与党民主党は電気自動車を普及させるため、富裕層、政治団体、レンタカー企業、政府部門などに多額の税金を投入しようとしている。一方で自動車企業は自動車に必要な部品を削減するため、地域のディーラーを削減し、エタノールや自動車部品の生産企業を切り捨てようとしている。全米自動車協会は、自動車の所有は個人の選択であるとのたまっているが、政府によりその選択肢が奪われようとしているのを黙認している。
 ・最近可決されたインフレ抑制法は、2023年1月から2032年12月までの間、電気自動車の購入者に最大7,500ドル、中古車の場合は4,000ドルの補助金を支援することとしている。(ただ、バッテリーの更新については対象外となっている。)
  これら補助金はアメリカ国内で「組み立てられた」ものに限られており、所得制限や上限がある。この優遇措置によりアメリカ中西部のエタノール生産事業者が大打撃を受け、その損失に伴う補償は何一つない。
 ・フォードはディーラーに対し、職業訓練、チャージスタンドの整備、工場やデジタル販売網の整備などに取り組まない限り、電気自動車販売を許可しないとしているが、ロビイストにディーラー経由での販売を規制する州法を改正させようとしており、ディーラー切りに動いていることは明白である。
 ・フォードはオンライン販売を100%にしようとしており、長年販売に貢献してきたディーラーは修理以外の業務を奪われることになる。また在庫ゼロも目標として掲げており、ディーラーもこの動きに巻き込まれることになる。もしそうなれば修理のための部品到着を待たねばならず、代車などのコストも負担しなければならなくなる。これはガソリン車の所有者も同じであり、このままでは電気自動車以外は存在することができなくなる。
 ・GMも同様であり、電気自動車に必要な投資ができないディーラーに買収を呼びかけ、応じたディーラーのみシボレーを販売できるようにしている。クライスラーは2028年に全車種を電気自動車にする目標を掲げており、日本の自動車企業も今後10年で電気自動車化を大きく推進しようとしている。
 ・こういった電気自動車への移行の動きは、地方のアメリカ人にとって全く利益をもたらさない。特に農家は古いピックアップトラックを利用しており、買い物に行くのにも数マイルも走らなくてはならない。ハリケーンや地震などにより、電気自動車ステーションに必要な電力が断絶してしまう可能性もある。これは電力網が十分に整備されていない発展途上国の人々にとっても同様であり、十分なインフラが無ければ、アフリカ諸国は自動車を所有することができなくなるのである。
 ・オバマ政権から始まった石炭との戦争を引き継ぎ、バイデン政権はアメリカのエネルギー産業を破壊しつつ、エネルギーを海外依存にさせ、特に中国のEVバッテリーや太陽光発電パネル、風力発電タービンなどを普及させようとしている。
 ・これだけの大変革にも関わらず、電気自動車を巡る議論はなされていない。もし電気自動車が素晴らしいものであるなら、なぜ義務化や規制が必要なのだろうか。カナダのトラックドライバーが、政府のCOVID-19のロックダウンに抗議した事件は記憶に新しいが、もし2億台の内燃自動車の所有者の一部が電気自動車政策に抗議した場合、どのような状況になるだろう?

2.本記事読後の感想
  今回の記事はこれまでの主張を繰り返すようなものとはなっているが、ウクライナ戦争でエネルギー危機が叫ばれる中で、いまだにこういった非現実的な政策が推進されていることについて注意喚起する意味で取り上げさせていただいた。
  左翼政権は非現実的な政策を推進するのに躍起になっているが、結果として自身を苦しめていることを理解していないようだ。エネルギー価格の高騰はもちろんウクライナ戦争による所が大きいが、アメリカがエネルギー生産を抑制していることも認識しておく必要がある。EUも風力や太陽光発電を推進することにより電気料金が高騰し、エネルギー危機に陥っている。非現実的な政策の帰結なのであるが、ただ残念なことに解決できるのはアメリカだけであり、このアメリカをどうにかしなければならない。
  日本は非現実的な政策にお付き合いせず、独自路線を歩めばいいと思っているが、岸田政権にはこういった立ち回りは期待できそうにない。インフレ抑制法案のおかげで電気自動車の分野で中国を排除することができるとする向きもあるが、私はそれほど期待していない。リチウムやコバルトの中国の生産量それ自体は少ないが、南米の鉱山の採掘権を買い取り、更にリチウムの処理工場の多くは中国に存在しているという事実を見逃している。日本がこういった状況を見越して対応してくれればとは思うが、頼るれる人材がいそうにない。エネルギー危機は今後もしばらく続くものと考え、個々人で節約に努めるなど、できることをしていくしかない。しばらくは忍従の時期である。

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