メーン州の住民投票により、水力発電送電網事業が否決された(CFACTの記事)
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2021年11月16日にCFACTは、メーン州での住民投票による、水力発電送電網事業の否決に関する記事を発表した。内容は、水力発電事業のための巨大な送電網事業が州の豊かな森林を破壊するものであるとして却下されたことを受け、再生可能エネルギーの推進に関する見通しを概観するものである。COP26の不愉快なプロパガンダが蔓延しており、再生可能エネルギーの推進に拍車がかかろうとしているが、民主主義国家では住民の意思決定が無ければ国策であっても停止されることが示されたのである。今後の日本にとっても勇気を与えてくれる内容であることから、参考として本記事の概要について紹介させていただく。
↓リンク先(Maine voters reject “renewable-energy” power line through North Woods)
https://www.cfact.org/2021/11/16/maine-voters-reject-renewable-energy-power-line-through-north-woods/
1.本記事の内容について
・11月2日にメーン州において、ケベックからマサチューセッツまで1200メガワットの電力を供給する水力発電用の145マイルに及ぶ電線の敷設について住民投票を実施したが、その結果、本事業は却下されることになった。本事業は9億5000万ドルの大規模なものであり、すでに100基もの鉄塔が建立されていたが、住民はクリーンエネルギーの割合を40%に低減することとし、本事業を停止することに決定したのである。
・アヴァングリッド社は、メーン州最高裁にただちに提訴した。同社のディケンソンCEOは、「この住民投票は正統な契約を破棄するものであり、司法及び行政の決定を無視している。本差し止めは、化石燃料を用いた発電事業者の財政的利益を損なうからといって遡及してルールを変更するものであり、容認できない。」と述べている。本件については賛成派・反対派が入り乱れ、多数派工作で1億ドルもの資金が動いたとされている。
・メーン州の住民が本事業を却下した主な理由は、北の森林地帯が巨大な電線と鉄塔により破壊されることを嫌ったためである。この巨大な電線網はマサチューセッツ州の住民にしか利益がないのである。本事業は、2017年にニューハンプシャー州で同様の事業が住民の反対で停止された際に提案されたものである。水力発電は通常の再生可能エネルギーのように不安定ではないが、それでもなお電線網により送電される必要があるのである。
・風力及び太陽光発電所は、住宅地やビジネス街から遠く離れた場所に設置される。このため、電線路が長大になり、住民から反対される傾向にある。今度のインフラ予算ではEVステーションに75億ドルが計上されており、更なる電力が必要になると見込まれている。たった2本の電線路ですら反対されているわけであり、今後も多くの反対に見舞われることになるだろう。
・再生可能エネルギーに大きく依存しているイギリスとドイツは、これから冬を迎えようとしているが、エネルギー価格が大きく高騰しており、電力不足になることが見込まれている。このことに伴い、他のヨーロッパ諸国とともにロシアから天然ガスを輸入して賄おうとしているが、アメリカもOPECプラスに石油の増産を懇願するというおかしな状況に陥っている。
2.本記事読後の感想
再生可能エネルギー推進の行きつく先が良く分かる内容ではないだろうか。自然を大切にしようとする環境派は、なぜ多くの樹木を伐採するような再生可能エネルギー発電を推進しようとするのだろうか。発電設備は巨大になり、送電網も大量に必要になると言うことは、資源をそれだけ使用するということに外ならない。面積が広くなるということは、それだけ自然破壊を伴うということにもなる。発電効率を考えてもバックアップ電源が必要であり、結局は化石燃料の発電所を無くすことなどできないわけであり、再生可能エネルギーの推進派の欺瞞と言わざるを得ない。
この記事からわかることは住民が賢明であれば、再生可能エネルギーの不当な推進を食い止めることができるということだ。環境派のプロパガンダに負けず、国民もしっかりと情報を把握し、強かに振る舞うべきである。
また昨今の原油価格の上昇は、再生可能エネルギーの流れを変える良いきっかけになるだろう。ただ残念ながら、岸田政権には構想がないようであり、エネルギーの分散やガソリン価格の高騰への対処などが全くできていない。石油揮発税のトリガー条項の発動にも慎重姿勢であり、状況の深刻さを理解していないかのようだ。COP26でリップサービスをするだけではせっかくの予算をむしり取られるだけで何も残らない。アメリカやヨーロッパの自滅を見習う必要はなく、ここでうまく立ち回っていただきたいものである。
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