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南シナ海における中国とフィリピンの対峙(ヘリテージ財団の記事)

写真出展:Julius SilverによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/julius_silver-4371822/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=3021072

 ヘリテージ財団は2021年6月8日に、南シナ海でのフィリピンと中国との争いとその地政学的意味についての記事を発表した。南シナ海や尖閣諸島問題については最近報道されていないが、事態は緊迫の度を増しており、より毅然とした対応が求められるようになっている。今後の参考のため、概要を紹介させていただく。

↓リンク先(Why This Dispute in South China Sea Matters to America)https://www.heritage.org/asia/commentary/why-dispute-south-china-sea-matters-america

1.本記事の内容について
  ・2021年3月にフィリピンの排他的経済水域にあるウィツン礁に、中国の民兵船舶及び漁船220隻が大挙して押し寄せる事件が発生した。フィリピンは直ちに戦闘機を派遣し、船をけん制した。その後外交的応酬などの対応を行い、対抗措置として新たな法律を制定し、3月1日から5月25日まで13隻の軍艦を延べ57回にわたって派遣した。過去10ケ月でたった数回しか軍艦を派遣していないことを考えると、これは異例の対応である。
  ・南シナ海は世界の貿易船の3分の1が航行する地域であるだけでなく、良好な漁場でもあり、かつ、石油などの天然資源も豊富である。このため、中国はひるむことなく船舶を派遣し続け、グレーゾーン戦略で軍事行動なくして戦略目標を達成しようとしている。
  ・中国を食い止めるためには、航行の自由作戦を継続するしかないが、この作戦は2月から行われていない。もはやアメリカ単独では対処しきれないため、南シナ海周辺国家による連携した対応が必要になる。

2.本記事読後の感想
  4月に、フィリピン外相が過激な発言をしたことで話題となった事件の続報である。南シナ海については、航行の自由作戦にて対応してきており、一度落ち着いたように見えたが、やはり中国は油断ならない。バイデン政権の軍軽視の姿勢も見据え、確実に領土を拡張する野心を見せている。事態は極度に緊迫化しており、本記事で指摘されているように、アメリカ単独では対処しきれず、南シナ海周辺国家による連携が必要になっている。
日本もそれなりの対応はしているが、不十分である。G7や日豪2プラス2の会談などで中国批判をしているが、中国は強く反発しており、より強く対応してくる可能性が高い。この点フィリピンは努力しており、ぎりぎりのところで食い止めていると言えるが、それ以外の国々は全く頼りにならない。
ただ、単純に軍を派遣すればよいということではない。中国は漁船、民兵、海警局の船を派遣してきており、人民解放軍は出てきていない。もし強い対応として軍を派遣してしまえば、相互減速により、中国は軍を派遣する大義名分を得ることになる。保守系論者でまれに海洋自衛隊を派遣するべきと言う発言をする人がいるが、こういった人々が一番危険な人間である。わざわざ中国の術中にはまりにいくだけであり、実際にはスパイやデュープスと変わらない。
今日本がすべきことは、海保を増強することである。令和3年度予算は補正予算を除くと2,200億円程度、国民一人当たりたった2,000円弱である。これだけの金額で海の安全を守れるはずもないことは明らかであり、中国の海警局と対峙できる規模にしていかなくてはならない。
  言葉や外交はもはや役には立たない。政府には補正予算でも構わないため、予算の増額だけでも実現していただきたい。

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