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歳入庁による納税者への監視(ヘリテージ財団の記事)

写真出展:Gerd AltmannによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/geralt-9301/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=646512

 2022年8月12日にヘリテージ財団は、歳入庁の増員予算案についての記事を発表した。内容は、バイデン政権の主張とは裏腹に、歳入庁の監視によって低所得者層が被害を受け、課税強化につながることを指摘するものである。
岸田政権のような官僚主導内閣の行きつく先をよく示した記事となっていると思われることから、参考として概要を紹介させていただく。

↓リンク先(Fact-Checking Team Biden on Who Those 87,000 New IRS Agents Would Audit)
https://www.heritage.org/budget-and-spending/commentary/fact-checking-team-biden-who-those-87000-new-irs-agents-would-audit

1.本記事の内容について
 ・バイデン政権は年収40万ドル未満の労働者には増税しないと公約していたが、議会調査室の試算によると、先日提案されたインフレ抑制法案が可決した場合、ほぼ全国民が造成されることになると見込まれている。
 ・先週の水曜日、イエレン財務長官はレティグ歳入庁長官に以下の声明を含んだ文書を送付した。「年収40万ドル以下の中小企業経営者や家庭に対して、新規採用職員や監査員を含む、新たな人的資源を投入して監査対象としてはならないという点に、特に留意願いたい。」更に上院に提出した文書では、「新しい人的資源は、中小企業や中間所得者層への監査を強化することを目的としたものではない。今回の定員増は、年収40万ドル以下の家庭への監査を強めないという財務省通達の規定に従ったものである。」としていた。
 ・8万7000人の増員により2040億ドルの歳入増が見込まれているが、これは年収40万ドル以下の納税者への監査を強化せずに可能となるのだろうか?2010年の歳入を鑑みるに、年収40万ドル以上の納税者の税収は99億ドルだったが、これは歳入庁が2031年度の歳入として見込んでいる353億ドルの28%に過ぎない。もし年収40万ドルの納税者への監査を30倍に強化しても、70億ドル程度の不足となる。
 ・ただ歳入庁の試算は、2014年から2019年にかけての年経済成長率を前提に、年収40万ドル以上の所得者の納税申告が98%増加することを想定したものである。ただこの試算は過大評価であり、高所得者層への監査を30%から40%監査強化しても税収は増加せず、むしろ低所得者層を標的としていると考えるべきである。
 ・年収100万ドル以上の納税者への監査強化に必要となるのは25,000名であるが、民主党の法案では87,000名の増員を要求している。増員分の57.3%の5万名弱が監査要員として割り当てられ、そのうち8.9%は企業監査に振り向けられている。この増員の結果、全体で796億ドルの増収のうち456億ドルの増収になると試算している。
 ・2021年の会計検査院の報告によると、会計年度2010年から2021年度における税収増は、年収20万ドル以下の納税者からの増収が大半を占めている。低所得者層への監査強化は財務省の文書においても明白であり、監査強化の対象となるのは南部の州に居住している黒人であると述べられている。監査強化が提唱されているのは現在の税制が複雑すぎるためであり、政府がなすべきことは税制を簡素化し、適正な納税額を容易に算定できるようにすることである。

2.本記事読後の感想
  バイデン政権は、やはり社会主義的政策がお好きなようだ。環境政策にしても財政政策にしても、悪い意味で大きな政府による管理を推進しており、エネルギー不足やインフレを加速させるといった悪政を敷いている。
  歳入庁の官僚は基本的には徴税人であり、一般の国民にとっては恐ろしいことこのうえない。たとえ正直に納税している人であっても痛くもない腹を探られるのは、いい気がしないだろう。官僚は欲深い所があり、組織の権益拡大のため調査の過程で取得した情報を悪用する可能性もある。官庁の権限が強化されるということは、国民の権利が弱体化することとほぼ同義であり、問題の解決にはならないということを強く認識しておくべきである。
  最後に、日本人の官僚に対する面妖な認識について正しておきたい。まず、官僚を特異な形で信頼してはならない。日本人は官僚に不信感があるようで変に信頼するところがあり、例えばメディアによる前川元文部科学省事務次官の重用などがその典型だろう。この方はそもそも天下りあっせんにより実質的にクビになった人であり、本来であれば憎むべき対象であって、政治家に立ち向かった気骨のある官僚でも何でもない。官僚は、その権限を用いて組織の利益の極大化を目指す人々の集まりであるということを認識するべきである。それは個人がいかに清廉であっても、組織的な仕組みや資本主義的な論理がそうさせるのであって、個々人の資質と混同してはならない。
 次に、官僚機構は基本的に国民を監視ないしは規制する組織であり、国民の生命財産を守るという使命は二の次であるということを認識するべきである。これは目的と手段が逆転するという、行政国家にありがちな傾向であり、官庁の権限を強化するほど規制が強まり、監視社会の様相を呈してくるということを理解しておく必要がある。
 日本人は厄介な問題があるとすぐに国に面倒事を押し付けようとするが、この結果は、中途半端で不徹底な監視と自由の侵害である。国民が少し協力するだけで多くの問題は安価に解決可能であることから、国民がもっと当事者意識を持って政治や行政に参画することが重要である。
 

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