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ロールス・ロイスが小型原子力発電所事業に乗り出す(BBCの記事)

写真出展:Markus DistelrathによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/distelapparath-2726923/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=4526561

 2021年11月9日にBBCは、ロールス・ロイスの小型原子力発電所事業の補助金受給に関する記事を発表した。内容は、小型原子力発電所を巡る現在の動きと今後の見込みについて概観するものである。COP26の脱炭素の動きの背景にこういった動きがあることがなかなか知られていないことから、参考として本記事の概要について紹介させていただく。

↓リンク先(Rolls-Royce gets funding to develop mini nuclear reactors)
https://www.bbc.com/news/business-59212983

1.本記事の内容について
 ・ロールス・ロイスは小型原子力発電所の建設事業を開始し、官民コンソーシアムから多額の補助金を受給することになり、民間からは1憶9500万ポンド、政府からは2憶1000万ポンドとなっている。本事業は、2050年までに4万人分の新規雇用を創出すると期待されている。本事業は、今後設計要件や環境審査などを経て、イギリス国内で展開するか否かが決定され、また生産拠点も決定される予定である。このことを受け、ろーるす・ロイスの株価は4.2%も上昇した。
 ・ロールス・ロイスの小型原子力発電所は、一般的なものと比較して10分の1の大きさであり、サッカーグランド2つ分で470メガワットアワーの発電が可能である。これは100万世帯に供給可能な電力量であり、風力発電機150基分の発電量に相当する。クワーテングビジネス・エネルギー・産業戦略大臣は、コストを削減し、クリーンな電力を供給し、化石燃料の使用量を削減し、エネルギーの自主独立を可能とすると述べ、この事業を歓迎している。
 ・従来型の原子力発電所は200億ポンドであるが、小型原子力発電所はたった20億ポンドしか要しないと見込まれている。もし認可されれば、イギリスでは16基の小型原子力発電所が誕生することになる。また工場で生産した部品だけで構成することが可能であることから、輸送コストも安価であり、早期に竣工することが期待される。
 ・しかし明るい話ばかりではない。小型原子力発電所に多額の資金が流れると、他のエネルギー技術に資金が回らなくなり、結果としてしわ寄せを受ける可能性があるという指摘がある。また再生可能エネルギーよりは高額であり、使用済み核燃料の処理についても合意されていないという意見も出ている。更に、試作機もまだ完成しておらず、2030年までの温室効果ガス排出削減には全く貢献しない。環境派からは、風力発電所、波力発電所、太陽光発電所を推進し、家庭のエネルギー消費を減らすことを優先するべきとしている。
 ・無論、イギリス政府は2050年までの実質排出ゼロの目標を達成することを目指してはいるが、同時に原子力技術の向上についても目標に入れている。産業界もこの動きを歓迎しており、安定的なエネルギー供給と経済の活性化を両立するものとしている。

2.本記事読後の感想
 イギリスのしたたかなところが良く分かる内容である。確かに若干過激に見えるぐらい温室効果ガス排出削減に邁進しているものの、国益を守る視点も同時に持ち合わせている。日本は体裁を整えたいのか、周囲の国々からの批判を恐れているのか、大真面目に温室効果ガス排出削減に邁進しており、代替案や腹案などなしに政策を進めようとしている。自動車産業は今後苦しい運営を強いられることが予想されることから、トヨタなどの企業が新たな事業を展開できるよう、成長戦略を策定して欲しい所であるが、果たして現在の政権はこういったことを考えてくれるだろうか。
また、温室効果ガス排出削減を取り巻く状況も深刻である。2030年までに温室効果ガス排出を46%削減するには、3つの政治決断が必要になり、1つは原発の再稼働、1つは火力発電所の廃止、もう1つは新技術開発への大幅な財政支出である。そのいずれについても決断せずに削減しようとすれば、経済を大幅に縮小し、生活の質を大幅に低減させる以外の道がない。ヨーロッパやアメリカの自滅に付き合う必要はなく、日本は自国の国益を最優先に考え、適切に対処するべきである。
  アメリカは現在の原油価格高騰に音を上げたのか、日本の備蓄石油にまで頼ろうとしている始末である。日本はこういった状況をしり目に原油産出国との関係強化に乗り出し、安定的な価格で原油を確保できるように努めるのが賢明である。ただ岸田政権はあまりにも動きが遅く、国内政策の給付金ですら現在の体たらくであり、全く期待することはできない。我々がなすべきことは、政権の遅々とした運営に対して不支持を突き付け、現実的なエネルギー政策を考えるよう圧力をかけることである。

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