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寧辺核施設の熱映像分析(CSISの記事)

写真出展:OpenClipart-VectorsによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/openclipart-vectors-30363/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=1294385

 CSISは2021年12月8日に、寧辺核施設の熱映像分析に関する記事を発表した。内容は、9月から11月までの熱映像などの衛星画像から、核施設の稼働状況を分析するものである。最近おとなしい北朝鮮に関する貴重なニュースであることから、その概要を紹介させていただく。

↓リンク先(Thermal Imagery Analysis of Yongbyon)
https://beyondparallel.csis.org/thermal-imagery-analysis-of-yongbyon/

1.記事の内容について
  ・5メガワット級の実験型軽水炉である寧辺核施設について、NASAのASTER、ランドサット7、ランドサット8により、熱映像分析を実施した。今回は、2021年9月から11月までの映像を取得し、年初に実施した施設についての分析を更新した。

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   2021年12月4日現在の寧辺核施設周辺画像(著作権は、2021年Maxar Technologies)

・熱映像から明確になったことは、軽水炉が稼働しているということである。過去数か月にわたって、軽水炉からの排水、蒸気タービン・発電室からの蒸気が、衛星画像に映っていた。熱画像により、軽水炉からの排水は、冷却システムからの温水であることが判明した。

・9月12日と11月16日の映像においても、類似のパターンで九龍江に軽水炉から排水を流していることがわかった。排水後に水温が最大4℃上昇しており、排水口の周辺が最も高温になっている。

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NASA ASTERによる、2021年9月12日夜間の熱映像。核施設近辺の水温が高温になっていることがわかる。(基本的なイメージ画像の著作権は、2021年Maxar Technologies)

 上の画像は22時30分現在のものであり、河川と冷えた地面との温度差が明確になっている。10月23日の映像は10時頃のものであり、この日は寒かったことから、核施設周辺の水温とその他の部分の温度差が明確になっている。11月16日の映像も10時ごろのものであるが、10月のものと同様のパターンを示している。

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NASA ランドスタット7による、2021年10月23日日中の熱映像。核施設からの排水により、水温が高温になっている箇所が強調されている。(基本的なイメージ画像の著作権は、2021年Maxar Technologies)

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NASA ランドスタット8による、2021年11月16日日中の熱映像。核施設からの排水により、水温が高温になっている箇所が強調されている。(基本的なイメージ画像の著作権は、2021年Maxar Technologies)

 放射線化学研究所の稼働状況については、熱映像だけでは判断が困難である。研究所及び関連施設の屋根は暗いままであり、比較的隔離された場所にあることから、発生した熱が周囲から冷却されている可能性もある。ただ、より伝統的なカラー画像との組み合わせで見た場合、大きく稼働していないとい込まれる。

2.記事読後の感想について
  最近話題にならなくなった、北朝鮮の核施設の稼働状況についてのニュースである。本施設の原子炉は、年間5.5 - 8.5 kg程度のプルトニウム生産が可能であり、1年に1個程度のプルトニウム原爆を生産することができる。
最近の北朝鮮は、政情不安定化により、どうにも外に目を向ける余裕がないようであり、コロナなどでもそれなりに打撃を受けているようで、散発的なミサイル発射やサイバー攻撃ぐらいしか目立ったものがない。
 北朝鮮がおとなしいのはいいことだが、目立たないことを利用してこういった悪質な行為に及んでいる可能性についても考慮しておく必要があるだろう。政府はまもとな北朝鮮情報を入手できていないようで、こういったものの分析についても科学的な部分以外の、人的な部分はほとんど手付かずということを聞いている。先に発射されたミサイルの数を誤った件などもあり、若干不安な面があることから、地理的な優位性を活かして、こういった分析に裏付けを与えるよう、情報収集能力を強化するべきであろう。
 北朝鮮の核に関して最も大きな問題は、核兵器を他国やテロ組織に販売することである。こういったことが発生すると、核抑止体制が不安定化し、軍拡競争が激化する可能性もある。その他、防衛に大きく資源を奪われる恐れもあり、地域だけの問題ではなくなるということも考慮に入れておくべきだろう。
 どのような状況においても、北朝鮮がおとなしいからと言って、何もしていないわけではない。日本ができることは防衛力を高め、抑止力を増強することである。岸田政権のような、弱腰で物事が定めらない情けない状況を一刻も早く打破していかなくてはならない。
  
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