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電気自動車優遇税制は縁故主義である(ヘリテージ財団の記事)

写真出展:Nerijus jakimavičiusによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/bixusas-18942131/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=5704430

 2021年10月22日にヘリテージ財団は、電気自動車優遇税制政策に関する記事を発表した。内容は、これまでの電気自動車優遇税制がうまく行っていないにも関わらず、3.5兆ドル予算がこの事態を更に悪化させることを示すものである。最近電気自動車の推進が叫ばれているが、その実態は非常にお寒いものであることが良く分かる内容になっている。COP26も近づいており、こういった有害な情報がマスコミから多数出てくることが予想されることから、その対策として記事の概要を紹介させていただく。

↓リンク先(Proposed Electric Vehicle Tax Credits Benefit Unions, Wealthy Individuals—Not Environment)
https://www.heritage.org/environment/commentary/proposed-electric-vehicle-tax-credits-benefit-unions-wealthy-individuals-not

1.本記事の内容について
 ・3.5兆ドル予算にて、環境を推進する政策が多数含まれており、財源は増税により賄われることになっている。バイデン政権及び議会は中間層以下には増税にならないと言い訳しているが、消費税などの形で消費者に転嫁されることから、実質的に国民全員が増税の対象になる。
 ・中でも電気自動車優遇税制は強烈な政策である。20万台以下しか販売していない自動車会社の電気自動車を購入する場合、最大で7500ドルの補助金を受けられることとなり、一見すると一般国民が電気自動車を購入しやすくなるように見える。ただ2019年の自動車販売台数のうち、電気自動車はたった2%しか占めておらず、一部の企業やカリフォルニアの富裕層に利益を供与するものになるだろう。
 ・カリフォルニアは2035年にガソリン車の販売を禁止する政策を発表していることから、電気自動車の台数が42%を占める州である。2018年から2022年にかけての電気自動車の補助金は75億ドルに上ると見込まれており、半分は企業が受領することになる。あとの半分は個人向けであるが、年収10万ドル以上の人が78%を占めると見込まれている。
 ・3.5兆ドル予算は、この傾向を更に加速させようとしている。下院民主党の案では、補助金を1万2500ドルまで増額しようとしており、減税や還元などにも活用できるようにしている。両院税制委員会の試算によると、160億ドルの税収減になるとしている。更にこの補助金はひも付きとなっており、500ドルはアメリカで生産されたバッテリーに使われなければならず、4500ドルはアメリカの自動車組合の労働者によりアメリカ国内で組み立てられたものに使われなければならないとしている。
 ・国内企業や労働者への優遇はアメリカのビジネスを支援するよい方法であるように見えるが、実際には電気自動車の価格が高騰し、組合に加入しようとしない労働者が差別されるだけに終わるだろう。自動車調査センターの試算によると、企業内組合があるビッグスリーの1時間当たりの賃金は、2023年には66ドルから72ドルであり、組合がない企業は平均52ドルとなっている。組合加入率が14%である一方、海外の自動車企業の方が多くのアメリカ人労働者を雇用している。しかもアメリカ企業の生産台数は25年間で半分以下になっているが、海外企業は同期間で82%も増加しており、国内企業を優遇してもうまく行きそうにない。
 ・また優遇対象となる車種も非常に限定的である。52種類の車が現在の電気自動車優遇制度の対象になると見込まれているが、3.5兆ドル予算において最大1万2500ドルの補助金を受けられるのはたった2種類である。しかもこの車種はバッテリーが炎上する危険性があるとして、同一の車庫内に駐車することを禁じられているものである。
 ・海外企業に対しても厳しい内容となっており、エネルギー要件や労働条件の厳格な適用により、4500ドルのコスト増となると見込まれている。これは高給で、労働者の自由を保護し、経済的な効果が高いビジネスを誘致しようとする州に不利に働くことになる。アメリカを発展させたものは自由と創意工夫であり、電気自動車を普及させたいのであれば、政府による統制ではなく、自由競争を促すべきである。

2.本記事読後の感想
  政府の産業政策の凶悪さがわかる記事である。最近経済安全保障ということで経済産業省などが前のめりになっているが、過度な政府の統制は有害である。税制優遇や補助金の拠出はいいが、政府や官僚が経営に介入することだけは避けなければならない。  
また、マスコミをはじめとしたくだらない情報発信にも注意が必要である。例えば、猪瀬氏が電気自動車に移行しない日本人を批判していたが、非常に近視眼的かつ不見識である。電気自動車に魅力があれば、スマートフォンのように自然に普及していくだろう。
  日本はエネルギーの純輸入国であり、原子力発電所を自主的に停止するなどして、自らエネルギー自給を脆弱化させている。このような状況でこれ以上電気に依存することの危険性を認識していれば、このような軽はずみは発言などできないはずである。
  日本にできることは、安易に流行りに乗るのではなく、経済的な利益を享受しつつ、エネルギー目標をのらりくらりとかわすことである。COP26を巡って、日本は石炭発電を削減するよう求められているようであるが、こういった圧力に屈してはならない。岸田政権が外交でうまく対処できるかというと全く期待できないが、産業界をはじめとして、国民は現在の環境政策に不満があるはずであり、政府を批判すると同時に、環境政策の見直しを積極的に応援することが重要になるだろう。

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