DJ karyang エッセイ『セックスと昼寝』Chapter 45「デジタルDJの可能性」

自分はデジタルでもアナログでも両方で回せるから得していると思ってます。
やっぱりそれぞれの特性がありますから。レコードになっていない素晴らしい曲もそれこそ山のようにあるわけだし。

で、先日新しいミックス音源をアップしましたが、これはデジタルプレイで、しかも完全なノンストップミックス。これはアナログでもできなくはないけれど、厳密にやるのはなかなか難しい。
でもね、今回のミックスに関して僕はSpotifyの音源だけで、しかもiPhoneのアプリを使って作っているのです。
つまり特殊な条件下ではなく、誰でもができる範囲で作っている…つまり物理的には僕と同じミックスは誰にでも作れるんです。
そこで思うのは、デジタルでDJしている人は もっとデジタルの特性を生かしたDJをするべきだと。
そしてそれが選盤やテクニックだけでないDJとしての「個性」になるんじゃないかって考えているんですよ、僕は。先程同じようにできると言いましたが、同じ条件でもその人の考え方やセンスで絶対に同じものにはならないんです。そこが腕の見せ所だと思うし、これを使わない手はないだろうと思っているのですが、周りを見渡してみると それを最大限に生かしたDJをしているところをほとんど見た事がないというのが実情です。

で、僕がこだわって続けてきたのがBPM127のノンストップミックスの作成です。
これはいい訓練だと思っていて、うまくミックスすればダンスミュージックでないものだって踊れるようにもできる。
以前 仲間内で指定されたPerfumeの音源を必ず使って各々短いミックスを作るというコンペをやった事があるのですが、こういう事は常日頃から意識してやっていた方がいい。いわば訓練ですよ。自分の腕を磨く。

それを極めたおかげで、今ではアナログでもピッチを合わせたミックスをある程度はできるようになりました。
僕はよく「闇練」というワードを使っていますが(笑)、意識してやらないと絶対に上手くならないですよ、DJは。よほどのミュージックラヴァーや絶対音感を持っている人、もしくはハードディガーなら話は別ですが。

実は今年の頭ぐらいにもうDJをやめようかなと思った事がありました。別にスランプとかではなくて、普通にやっていてつまらなくなってきちゃった。でも僕はストイックに訓練を重ねる事でそれを乗り越える事ができました。要は「自信」が僕を救ってくれたと。
もし僕がやっている事に「こんなのDJじゃねぇ」って言う人が仮にいたとしても「じゃあお前にこれができるか?」と言い返せますからね、自信があれば。何かひとつでも抜きん出た個性を発揮できるものがあったらそれでいいんだと思います。何も卑下する必要なんてないし。

それとちょっと話が変わりますが、最近僕がイベントを打たなくなってしまって心配している人もいるかと思いますが、その間 僕は修行に専念していました。まぁこういった事はご縁なんかも関わる事なので、今は「機が熟す」のを待っている状態です。焦らず急がず。
その時にまた藤沢の仲間たちなんかと一緒にできたらいいなとは思っていますが、でも一番の理想は各々が様々な場所で修行を積んで、どこか現場でバッタリご一緒するなんていう機会があったらそれがベストだとは思っていますけど。

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