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日本株の今後を機関投資家に聞いてみました

はじめに

 先日、知人の紹介で機関投資家の方に意見をお伺いする機会がございました。主に国内株式の展望についてお伺いしてみましたので、個人的なメモも含め情報を共有させていただけたらと思います。

 個人的にお伺いしたお話ですので、相手方の詳しい情報は差し控えさせていただきます。信憑性の担保が出来ず大変恐縮ではございますがご容赦頂けると幸いです。

 本記事は情報の共有を目的としており、投資活動の勧誘や特定銘柄への推奨等を行うものでは一切ございません。投資判断はご自身の判断と責任において実施いただくようお願いいたします。


為替動向と日本株の環境について

米ドル/円

筆者
 ドル/円は4月に1ドル160円まで円安が進行した後、為替介入等の影響もあり直近は155円前後で推移しています。
 今後、年内に米国のFRBは少なくとも1回の利下げ、日銀は1回の利上げが想定されていますが、今後為替はどの様に変化すると思われるでしょうか。

相手方
 金融政策見直しの時期にもよると思いますが、1ドル145円前後まで円高が進行していくというコンセンサスが大半です。各企業も145円前後の為替見通しが多いと思います。

筆者
 直近の日本株は円安の影響もあり大型株優位の環境が続いています。この環境は今後も続いていくのでしょうか。

相手方
 日本株の売買は約7割が海外投資家であり、彼らは流動性があり時価総額の大きい銘柄を売買することが多いです。国内の機関投資家も大型株へ資金を入れる割合が大きいので、主にTOPIX、特に日経225銘柄優位の構造は変わり辛いのではないかと思います。


日経平均株価

筆者
 日経平均は3月に4万円の節目に到達しましたが、現在は調整局面となっています。まだ上値余地はあると見てよいのでしょうか。

相手方
 各証券会社などのコンセンサスでは4万3000円前後が平均になっています。コンセンサスを4万6000円としている証券会社もありますので、全体感としてはまだ割安な領域にあると思います。日経平均のPERを見ても特別割高感は感じません。

筆者
 中小型株、特にグロース銘柄は厳しい展開が続いています。日銀が利上げを行うことによる影響はどのようにお考えでしょうか。

相手方
 一般に金利が上昇する局面では特にグロース銘柄にとっては厳しい環境となることが多いです。しかし既に株価が大幅に調整していること、また日銀が政策スタンスを明確に示す(利上げを行う)ことで不透明感が払しょくされるトリガーとなり、反転の局面となる可能性は十分あると思います。

筆者
 実際に利上げが行われることで機関投資家がグロース銘柄を買いやすい環境となる、ということでしょうか。確かに円高基調へ変化することによって内需系の銘柄が多いグロース市場にとっては追い風のように感じます。

相手方
 その通りです。運用会社は政策の不透明感を嫌います。
 そのため現状のような(利上げするのかしないのか)どっちつかずの状況というよりは、潔く利上げを発表することで買いが入りやすい環境になる可能性は十分あると思われます。


機関投資家はどの様な銘柄を好みますか

筆者
 先ほど海外の機関投資家は流動性があり時価総額の大きい銘柄を買ってくるとのお話がございました。具体的にはどの様な銘柄が物色の対象になり続けるのでしょうか。

相手方
 基本的には日経225に採用されている銘柄への資金流入が大きくなります。TOPIXの銘柄は時価総額の小さい会社もあるため、プライム市場だから流入がたくさんあるという状況にはなり辛いと思われます。
 具体的な判断基準として、海外投資家は時価総額が高くROEの高い企業を好む傾向にあります。日本株だとROE8%が基準となっていることが多く、国内ファンドもROEを重視しています。

筆者
 ROEを重視すると、大型株に限らず中小型株、特にグロース銘柄はROEが高い銘柄もあります。国内のファンドマネージャーさんもROEを重視されているということは、指標の側面においても資金が流入する傾向にあると考えて良いのでしょうか。

相手方
 その通りです。今は厳しい環境にある中小型株ですが、再評価されるタイミングは必ず来ると思います。


グロース市場で酷い目に遭ってます

グロース250指数

筆者
 私はグロース市場に上場する銘柄にも投資しているのですが、最近は酷い下落局面に直面しています。先ほどグロース銘柄にも希望はあるのかなという意見を伺いましたが、改めて忖度無しのご意見だとぶっちゃけどう思われますか。

相手方
 グロース市場でも収益性のある、いわゆる質の良い銘柄であれば再評価されるタイミングは必ずあるという認識です。現在は外部環境により全体的に下げてしまっていますが、すぐに現金が必要といった場面で無いのであればホールドされることを個人的にはお勧めします。

筆者
 確かに直近の株価動向を見ると底入れ感のある銘柄も増えてきた印象です。ポジショントークかもしれませんが、ノーポジションであれば新規に買いたいくなる銘柄も多い印象です。

相手方
 そうですね、ここ2年ほどグロース市場は調整の展開が続いてきました。今後3年~5年程度の目線で見たときに、今の様な低い水準ではなくなるんじゃないかという印象ですね。


機関投資家の空売りがかなり増えているのですが

筆者
 私が投資しているグロース市場の銘柄は機関投資家の空売りがすごく増えています。機関投資家が空売りをするのは個人を狙っているのか、それとも相場環境の不安定さを理由としているのでしょうか。

相手方
 具体的にそのヘッジファンドがどのような理由で空売りを仕掛けているかは分かりませんが、グロース市場はファンド経由の継続的な買いが入らないためヘッジファンド側で株価を動かしやすい側面はあると思います。

筆者
 グロース市場からプライム市場へ移行することが濃厚な銘柄があります。プライム市場へ移行することで今までのような空売りを仕掛けづらくなるといった可能性はあるのでしょうか。

相手方
 プライム市場へ行くことで、割合としては小さくても年金ファンドなどの継続的な買い入れが入ってきます。またアクティブファンドなどの買い入れも期待できるので、従来のような空売りによる仕掛けがやり辛くなるという印象です。
 やはりプライム市場へ移行するという価値は大きいので、間違いなくプラスに働くと思います。


最後に

 バリュー株優位な現況において、グロース銘柄なんてやめた方がいいですよ的な意見も覚悟しましたが、案外ポジティブな見方として捉えていらっしゃる印象でした。
 引き続き大型株に優位性がある状況は変わらないものの、中小型株やグロース銘柄においてもチャンスは多くあるのではないかという意見をプロの方から聞くことが出来たのは大きな収穫であったのと思います。

 今後どのような展開になるのかは分かりませんが、相場環境的には良い材料もあるよねというスタンスで中長期の目線で取り組んでいきたいと思います。
 最後までお読み取りいただきありがとうございました。



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