「DIE WITH ZERO」を読んだ
概要
タイトルどおり、人生を豊かにするために、貯金ばかりするのではなくお金を使っていこう、という話。若いうちに頑張って貯める10万円より、その10万円を使って得た経験の方が、人生では大きな意味を持つ。資産を子どもに残すなら、遺産としてではなく子どもの人生の大事なときに生前贈与する方が良い。一定以上のお金は使いきれないので、思い出のために使ったり寄付をする方が有意義であるという話でした。
ただ、やたらめったらお金を使うことを推奨しているのではなく、ちゃんと意味のある使い方をしよう、という前提です。書かれている内容は資産運用の一部を「経験を得ること」に置き換えたような内容で、そこまで大きな発見や価値観の変動はありませんでした。ただ、今のこの時代、個人の幸せの定義は「たくさんの思い出を得る」ことになるのか?というところが個人的には気になるところでした。文中では「幸せな人生」=「たくさんの経験・思い出」という方程式で説明されており、わたしの中で筆者に言い返せるような幸せの定義は今のところありません。なので、たくさんの思い出があることが幸せな人生なのかもしれないと思いつつ、そうやって言い切って良いのかどうかがまだ引っかかっています。
一方、今まではどちらかというと「家」を中心にした価値観や、その価値観を踏まえた振る舞いが幸せを定義していたはずはずです。その前提だと、必ずしも死ぬまでにお金を使い切るのは良いことではなく(酒飲みのおじさんが家の資産を使い果たして云々、という昔話のような)、でもいまこの本の内容がしっくり来ることを考えると、知らず知らずのうちに時代の価値観というものは変わっているのでしょう。
なお、女性のキャリアプランのような話はあまり考慮されていないので、出産とか子育てにしっかり向き合いたい場合は、そのあたりの考え方を別でインストールする必要がありそうです。
新しく知ったこと
まだ独身で会社員をやっている身としては、老後に入院でもして莫大なお金がかかることが貯金をしている一つの理由でもありました。文中では、必ずしもそういった事態に陥るわけではなく、かかったとしても個人で貯金した額で支払える金額でなく結局政府に頼ることになるという事実が紹介されており(政府に頼れるんですね?!)、かつ、そもそも死に瀕した最期の数日をそういった延命治療で生き存えたいのか?という問いかけがありました。なんとなくの不安でお金を置いていたけれど、情報さえあれば貯めておかなくても良いお金はあるようです。そして、わたし自身は人生最期に植物人間になってまで生きたいわけじゃないなという考え方なので、最期を見越して貯金をしてもあんまり意味がないな、と冷静になるきっかけになりました。
「タイムバケット」ワークをやってみた
やりたいことには賞味期限がある、それを意識してやりたいことを経験していくために、「タイムバケット」というワークが紹介されていました。簡単にいうと、①やりたいことのリストを作る②人生を10年スパンで区切って、どのくらいの時期に取り組むか決める、という2段階のワークです。
秋ごろにやりたいことを100個リストにしたので、やりたいことはその内容をベースに考えました。
時間軸にそれらをプロットしてみたところ、45歳の枠までにやりたいことがおさまってしまい衝撃を受けました。わたしの人生、老後にやりたいことが見えていない…!親戚くらいしかそのくらいの年代の人を知らない、という知識不足なことももちろんありますが、それにしても自分自身、もうちょっとビジョン的なものを持っていると思っていた。川下り的なキャリアを歩んでいる自覚はあるものの、ご隠居になったらやりたいことくらい想像しても良いだろう。年末年始のお休みの間に考えたいテーマが生まれました。
ちなみに、大学生の頃「いつか人生でやりたい」と思っていたのに賞味期限が過ぎてしまった経験は「夏フェスに行く」ことです。もうアーティストもだんだん分からなくなってくるし、日中屋外で人ごみに紛れて音楽を聴く元気がない…大人な夏フェスに早めに行って、人生の実績解除したい。
こんな人にオススメ
・切り詰めるほどではないけど、未来のことを考えてとりあえず貯金している人
・何かに挑戦したいなとモヤモヤ思っているけれど踏み切れない人
・近々、大きめの買い物をするか悩んでいる人
関連しそうな本
①お金は寝かせて増やしなさい
とはいえ貯金0は心許ないので、資産運用の簡単な考え方は分かるとよさそう(わたしも詳しくないですが)ちなみに、筆者は天然ガスのトレーダーとして財を成した人で、使いきれないくらいお金を持っていそうです。羨ましい!
②暇と退屈の倫理学
お金の良い使い方は、「暇と退屈の倫理学」でいう「浪費」に近そうです。
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