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自室のエアコン

3年ほど前のことだったか、エアコンから変な音が聞こえるようになった。

わたしの部屋。
PCを置いたデスクもあるけれど、ちいさなスピネットがあるので、防音室になっている。建て替えてるときに、ありがたくもそのような仕様にしてもらった。
引っ越して以来、エアコンは春夏は除湿を欠かさず、冬は暖房にせず、という使い方になっている。
そんなわけで、年中ひんやりした部屋になり、貯蔵庫のように使われることが多く――いや、今はほぼ部屋の目的がそちらメインになっているようなきがしなくもない。

さて、それまでもごくたまにエアコン掃除などもしていたのだが、どうも調子がおかしくなってきたとうっすら感じるようになってきたのが3年ほど前から。
PC作業をしていると、気になる。
そうして気になる頻度が増えていった。
はじめは「あれ?気のせい?」程度だったのだが――そのうち、気のせいではないなと覚悟させられる。

たしかに、パツン、パツン、という音が鳴っているのだ。

しばらく耳を澄ましてみる。
パツン、パツン、パツンと聞こえたかと思うと、しばらくするとやむ。

フラップが何かにひっかかっているのかな~?と思ったが、規則的でもない。
音のリズムが不規則で、しかも途中で、変な音が入る。

パツン、パツン。。。。プッ。

プッ、は何かがどこかに当たったような音。なにかが落ちたのか?としばらく床の上を凝視する。
パツン、、、、パツン、パツン、、、、、プッ。

あ。
ちらりと光るなにかが落ちてきたような……?

目を凝らしてみてみる。

ん?氷の粒?!

まさかと思いつつ、フラップを眺める。見ている間には何も起きない。音だけ――と思ったら!!!!

あ!
たしかに!!!
氷の粒が飛んできている!!

この話をすると、なかなか信じてもらえないのだが――ほんとに氷の粒だったのだ。

壁紙に水滴が伝ったあとが目立つようになり、さすがにカビが生じてきてはマズイ……となった。
いや、壁紙は重症な気がする。気がする、というレベルではない。張り替えないとダメだなあ、と憂鬱になる。
そもそもこうなる前にちゃんと対応すればいいのに、と言われてしまいそうだけど。
うーーーーん、ほんとうにしようのないものぐさ太郎なわたし。

結局、うちのひとの知り合いに工事を頼み、交換することになった。リビングのもあわせて。
壁紙はそっくり同じものものないし、全部張り替えるとなったらそれは引っ越し並みの大事になってしまう(物が多すぎて)。
なので、切り替わりが生じてもかまわないと伝えて、部分的に張り替えしてもらい、エアコン新品を設置していただいた。

しかし。
部屋の大きさに見合わない大きなエアコンだ。

しかもフラップを下げたままにすると部屋のドアの開閉ができなくなるので、要注意と言われる。
ドアを閉めてフラップを下げたりしたら、部屋を出るときに戻すのを忘れないように、と。
あららら、それならスイング機能は絶対に使わないぞと心に決める。

大きさに見合って――なのだろう、威力がすごい。
夏はリビングのエアコンを動かす必要はない。防音室のドアを開けておけば、しっかり冷えてくれる。
むしろ寒いくらいなので、ドアをちょいちょい開け閉めして調整する。ありがたいことに、フラップを下げることに思い至ることがない。

そういうわけで、この日以来、我が家は夏になると寒くなった。
おかげさまで今年も冷夏である。

ちなみに冬は暖房稼働なしで、単純に底冷えするので、部屋に滞在する時間が短くなる。

こんなことを経ている今、まだ部屋の片隅にあるスピネットはなにを感じるのだろう。いや、もちろん感情があるわけではないが――本来はスピネットが主役であった。
夏も冬も、それなりに食品保存に貢献してくれるのはありがたい場所ではあるが、ただただ申し訳なく思う。
きょうこそは少し鍵盤に触れてみようと思いつつ、なかなかそこまでたどり着かないでいる。
調律もさぼっている。

いや。
そんなことではいけない。
冷夏のあいだに、少し整理をして部屋らしく整えていかなければ。
今年こそは。

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