dinii が NestJS のスポンサーになりました
こんにちは!dinii の karszawa です。本日は、先日より dinii が開始した NestJS という OSS への寄付(スポンサー)について説明したいと思います。
https://opencollective.com/nest
dinii という会社について
dinii は、飲食店の営業・運営を支える All in One SaaS を開発するスタートアップです。設立は 2018 年で、昨年シリーズ A の資金調達を行ったという規模感の会社です。直近では採用が加速しており、約50名ほどのメンバーを抱えるような規模になってきています。
自分たちのサービスの売上によって成長しているというよりは、投資家の方々から頂いたお金によってビジネスを拡大させているステージにいるということをご理解ください。
dinii の技術スタック
dinii では、7名のフルタイムエンジニアと3名の業務委託(副業)のエンジニアで、合計で10個ものアプリ・システムを開発しています。それらのアプリはほぼすべて TypeScript + React という構成で開発されており、在籍するエンジニアも全員が TypeScript と React のプロフェッショナルです。
具体的な技術構成としては下記の図の通りで、クライアントは Next.js と React Native + Expo でサーバーは NestJS や TypeORM などのフレームワーク・ライブラリを使用しています。
プロダクトごとの技術スタックの図。ここには載っていないプロダクトも TS + React で開発されています。
更に詳しい dinii の技術戦略についてこちらの記事ご参照ください 💁
寄付への経緯
上述の通り dinii は飲食のインフラとして飲食店の営業を支えていますが、その dinii のシステムは Node.js の重厚なエコシステムに支えられています。
そんな dinii にとって超重要な Node.js のエコシステムに対して、実は dinii は一切の利益を還元していません。React の Facebook にも Next.js の Vercel にも TypeScript の Microsoft にも一切の対価も支払っていないのです。よしんば Facebook, Vercel, Microsoft は dinii より遥かに規模の大きい会社なのでまあ良し(良いのか?)としても、dinii が使っている技術はそれだけではありません。
具体的にはサーバーサイドの NestJS, TypeORM やツール周りの Prettier, ESLint は dinii でも非常に重要な OSS ですが、それらはインターネット上で集まった有志によって開発されており、それらに対して dinii は一切何の対価も支払っていません。一方的に利用するだけのフリーライド状態になってしまっています。
最近では OSS の開発者が開発を継続できないといったメッセージを発信していたり、OSS に悪意のあるコードが混入してしまったりといった事件が発生しています。もし OSS 開発者にそれを阻止するのに十分なインセンティブがあればそういった出来事は防げたかもしれません。
以上のような道義的責任、事業継続に対するリスク管理という観点から dinii では OSS に対する寄付を開始することにしました。
OSS のエコシステムをサステナブルなものにしていくという論点では N Inc. さんのこちらの記事を非常に参考にさせていただきました。この場を借りて感謝申し上げます。
具体的なプロセス
OSS への支援を開始することになったとはいえ、dinii は未だシリーズ A のスタートアップで、資金的には潤沢と言えません。また、そもそも dinii のお金は投資家のお金なのでどうしても ROI を求められがちです。
そういった背景から、シリーズ A の現段階では大々的な寄付は実施せず、シリーズ B 以降に前述の目的に加え「採用広報のためのブランディング」として寄付を実施していくのが良さそうという結論に至りました。
つまり、現段階の寄付は「次回資金調達以降の動きを迅速にするための実験」が目的ということになります。
具体的には次の手順でその結論に至り、寄付を開始しました。
提案書の作成
事例調査(会社の規模ごとの寄付の金額感)
手法(どのサービスを使うとか支払い方法・勘定項目が何とか)
効果(将来的にはこういう効果がありそうなので小さめに実験したいという説明)
支援対象候補の列挙
経営会議での共有・議論
シリーズ A の現段階での目的は「実験」として、金額のインパクトは重要視しないことに決めました
全社への目的の共有
会社の財布からお金を出すので、投資家はもちろん社内の理解も重要です
Open Collective を通した寄付の実施
クレジットカード払いで良かったので簡単でした
今後は資金調達の状況や、エンジニアコミュニティからの受け取られ方次第で寄付先や金額を増やしていくという流れになります。動きがあり次第、継続して共有させていただきたいと思っていますので、ぜひ応援して頂ければと思います。
まとめ
以上が dinii にて OSS への寄付を始めてみた経緯と今後の展望になります。
以下の LINE さんとサイボウズさんの記事は社内向けの OSS への寄付の説明に利用させていただきました。おかげさまで非エンジニアのメンバーも OSS への理解を容易に深めることができたようです。前述の N Inc. さんに加え、この場を借りて感謝申し上げます。
もし、この記事を読んで「この企業の活動はイケてる!」と思われたのであれば、積極的に SNS 等でシェアして頂けるとありがたいです。dinii の社内でも「ブランディングの効果が高い → もっと大規模に寄付を実施していこう」という流れになりますし、その動きを見た別の企業も寄付を開始して、結果として OSS エコシステムが健全に成長していく…、ということになるかもしれません。なったら良いな…。
以上
最後はいつものリンクです。
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