アレンジ語り 1 〜共通編〜

はじめに

この記事は、

  • who: 53期(執筆時G年)Ba・元ヘドアレが、

  • whom: 専ら近い代の暇な先輩/後輩/同輩に向けて、

  • when: 卒演から2か月ほど経過した春休み→G年5月、忘れないうちに、

  • why: ずっと書こうと思って書いてなかったので、

  • how: 現実逃避を兼ねて暇な時間(暇ではない)に記憶をたどりながら雑に、

  • what: アレンジマニュアルにあるような「アレンジの進め方」や、自分の各コンサートアレンジについての自分語りを、

する記事になる予定です。ダラダラと書くだけなので資料的あるいは読み物的価値は全く担保されておりません。

基本的にはこんな記事、リンクを知ってる身内しかアクセスしないと思っていますが、もしそれ以外の人がここに流れ着いた場合、何の話か分からないかとは思いますがそれでもよければお読みください。

1. アレンジする曲


ここからはアレンジマニュアルにある(?)やつになぞらえて構成する。

私がアレンジする(した)曲の選定について。

まず、選曲って以下の2つのパターンがあると思う。

  1. この曲いいなあ!→リドでやろう!

  2. 曲出したいな!→この曲にしよう!

私の場合、コンサート曲に関しては1の経緯で決まったのは'19リサイタル「さらざんまい」のみで、残りの6曲(没含め8曲)については2の経緯だったように思う。もちろん、綺麗に切り分けられるわけではないけどね。

ちなみに、ライブ曲を含めると1もかなりある。

2のパターンの場合、基本的にかなりの数の候補を出しては切り、出しては切り、を脳内で繰り返して、最終的に切れなったやつを出している。

最初に何も考えずに出す候補は、私の好きな曲 全般だ。悔しいけど認めざるを得ないことに、私の聴く曲は極めて偏っているので、概ねその出自はこの辺。

  1. ディズニー作品(映画、パークミュージック)

  2. 舞浜でBGMとして使われている(ような)曲

  3. アニメ・ゲーム

  4. ネット文化に近い何か

  5. 数少ない私が知ってるJ-POPやら何やら

2. 選考基準

重要なのはそこからどう選んでいくか。私の選曲で一貫して(なるべく)満たすようにしている軸がある。それは、リドにとってその曲を演奏する意義があり、その曲にとってリドに演奏される意義があること、だ。

例えば「さらざんまい」で言えば、

  • リドにとっての意義:和風もラテンも比較的変わり種、被らなそう(音楽ジャンル的にも出自的にも)、知らない人が多いだろうけど分かりやすい曲調のはず

  • 曲にとっての意義:極めて新しい曲なので演奏例自体が少ない、特に劇中歌・サントラの例は稀

こんな感じ。

前者については、ジャンル的に珍しいとかが分かりやすいが、全てが全て新しい/珍しい必要はないので、究極的には好みとセンス。
とか言いつつ、私の選曲傾向的に、結局ほとんど全てのコンサート曲が王道ではないジャンルと言えるような。

後者については「新しい」「タイムリー」があればとりあえず一発クリア認定。演奏例・アレンジ例が少ないとかも強い。
新しかったのは「さらざんまい」で、選曲期間中はまだアニメが放送中だったため、リドのコンサートでできる範囲だとかなり最速に近い。「Olympic Fanfare and Theme」「ファンタズミック!」「スプラッシュマウンテンメドレー」は「タイムリー」だった。それぞれ東京五輪(なお延期)、ショー終了年、米ディズニーの動向を見て。

軸としてはこんな感じで、その上で、以下のようなことを満たしているほど最終候補に残る。

  • 概ね演奏可能そう

  • リドでの演奏例が無い(なるべくライブなども見る)

  • リドの編成に近すぎない(※)

  • 長すぎない

  • 自分のコンサート曲同士でバランスが取れる

  • 近い曲を出しそうな人、その曲について自分より詳しそうな人がリド内にいない

  • 何かしら新規性を出せる

  • その時在籍しているメンバーの得意不得意に合致しそう

  • 合奏する楽しみがある

特に※に関しては、リドの特殊な編成を活かす選曲をするアレンジャーも多い中、逆張りしている経験的に気をつけている部分だ。

3. 使う道具

(ここまで2月、ここから5月)
私がアレンジに使っていた道具は以下。

  1. MuseScore (2→3)

  2. 原曲音源

  3. YouTube

  4. イヤホン

  5. キーボード(入力には使わない)

  6. Audacity(音声編集ソフト)

  7. 参考文献(?)

3.1 MuseScore

言わずもがな。高1冬から使っている。間違っても音を作るソフトではない。

2018年12月にMuseScore3がリリースされ、当初バグが多かったこともあり、リドでは'20サマコン(20年2〜4月がアレンジ期間)あたりから使用者が出始め、'21サマコンでは完全に3に移行した形になる。

'20リサイタルも3使用者が圧倒的多数だったが、環境などにより使えない場合もあり、私も最後まで移行を渋った1人。深刻な処理落ちが発生しており使えたものではなかったのだが、ある時初期化したら動いたので'20リサイタル『ファンタズミック!』の途中から移行している。

この記事を書いている今まさに3→4の移行期間よね。

3.2 原曲音源

私はかなり原曲崇拝が強い方なんじゃないかと思う。細かい採譜のミスが許せない性質(だっる)。嫌いになるまで聴き込んで、終盤久々に聴き返してやっぱいいなあオイ!ってなるまでがいつもの流れ。

3.3 YouTube

とりあえず世に存在するアレンジ・カバーなどはなるべく聴き漁る。

私は性格が悪いので他人の採譜ミスや解釈違いアレンジに内心めちゃくちゃ文句をつける癖があり、YouTubeにあるアレンジをそのまま流用しよう!とはならないことの方が多い(『ウィンドガーデン』は別)。

ただこの他人のカバーを聴いて叩くというのが個人的にはかなりアレンジの助けになっていて、これをやるほど「その曲の中で譲れない要素は何なのか」「どこは弄れる部分でどこは弄れない部分なのか」等の解像度が上がる気がする。あと単純に採譜の助けにもなる(無限択の問題を正誤判定の2択問題に落とし込める)。

あと逸れるけど原曲音源がYouTubeに公式で上がってる場合、YouTubeで再生するのが割と便利(5秒送り/戻し、再生速度変更とかをショートカットで打てるので)

3.4 イヤホン

物には拘ってないのでどこから来たのかもよく分からん安い有線イヤホンを使っている。

とにかくPCやスマホの貧弱なスピーカでは低音が全く聴こえないので何でもいいのでイヤホンを使う。そして爆音で聴く(多分かなり耳の寿命をすり減らした。最近気をつけてる)。

ある程度音量を上げないとベースやドラムや細かいオブリガートは聴こえないので、ベース聴こえません!て人は一回音量をMAXにしてみてほしい。安全は保障できないけど。

オーディオ分配器(ないしインタフェイス)があるとキーボードとPCの音を両方聴いたりできて便利。

アレンジ作業中はあまり使わないけどAirpods proを持ってるので移動中とかはこれで聴いている。あとさすがに音がいいので、行き詰ったらたまにこれで聴いたり。あとカーステレオが意外とよかったり?

3.5 キーボード(電子ピアノ)

家に元々あったYAMAHA NP-11。
https://jp.yamaha.com/products/musical_instruments/keyboards/piaggero/np-11/index.html
MIDI出力もできるけどリドでのアレンジに使ったことは多分無い(当時はそういう使い方知らなかった気が……)。音取り、フレーズ・コード確認用。私は基本的に鍵盤で物を考えてるので必須。

入力用に小型のMIDIキーボードも買っていたのだけど、これもあまり使ったことは無い。携帯性はあるのと、和音の入力は確かに楽なんだけど、ショートカットキーでの入力にあまりに慣れすぎてあまり優位性がなかったというか。

3.6 Audacity(音声編集ソフト)

採譜の補助(と、原曲音源の編集)。
ど~~~しても聴き取れないところを、そこだけ0.5倍速でループ再生させたりLR分けたりセンター抽出したりEQかけたり……とかいじくり倒して何とか聴き取るとき用。それで解決した例はあんまりないが無くはない(e.g. 『ファンタズミック!』の『夢はひそかに』の部分のStrings和音)。
https://www.audacityteam.org/

ちなみにリドラーにちょこちょこ使われている(?)アプリ「ハヤえもん」は一応入れてはみたけどあまり使わなかった。単純に音源をiPhoneに移すのが面倒だった(よく考えたらWin版もあるよな)のと、そこまでパートごとに抽出できる感が無かったのと、負けた気がするので嫌だったのかなと思う。実際自分で聴いた方が早いレベルな気はした。
http://hayaemon.jp/

あとAIがパート抽出してくれるLALAL.AIというサービスがあって、リドじゃないところで使ってみたことがある。確かにすごい上手く抽出できてるように聴こえる。が、推測の域を出ないけど、例えば「実際にはギターが入ってない音源を入力しても、ギターがいるとしたらここ、という波形の切り抜き方をしている」ような気がする。私の聴覚 vs AI、ファイッ
https://www.lalal.ai/ja/

3.7 参考文献(?)

あるとすれば、市販のバンドスコアやピアノ譜、その他書籍。
コンサート曲に限ると、『Seyana.』のベース譜(ネットで誰かが採譜したやつ)、『ファンタズミック!』冒頭の『魔法使いの弟子』の部分の原譜(元がクラシック)と、エディット・バージョンのピアノ譜……くらいか。
プライドが高いので、お金が無いので、Mなので、採譜自体を楽しんでいるので楽譜を探すことはあまりない。

それと別で、参考になるかな~と思って買った本があるので一応紹介。ボイシングなど多少は参考になったかなと思う。リドのコンサートアレンジで即使える知識って感じは無いのでそこまでおすすめってこともないかな。古いし。[編曲と作曲法 モダン・アレンジング・テクニック](https://www.amazon.co.jp/%E7%B7%A8%E6%9B%B2%E3%81%A8%E4%BD%9C%E6%9B%B2%E6%B3%95-%E3%83%A2%E3%83%80%E3%83%B3%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%86%E3%82%AF%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%AF-Gordon-Delamont/dp/4754930568)

あとアレンジに際して読んだわけじゃなくて、姉のおさがりを中学~高校のときに読んだというだけだけど、楽典の基礎は読んだ。


4. アレンジの流れ

基本的な流れは以下。

  • ひたすら聴きこむ

  • 大まかなアレンジのイメージを立てる

  • 出すか決める

  • 選曲会議

  • おおまかに採譜

  • 肉付けと詳細な採譜を並行して進める

  • 浄書・レイアウト

  • 練習開始後、初心者譜作成や様子を見て修正の検討

4.1 ひたすら聴きこむ

移動時間などを活用し、ひたすら原曲を聴き込む。この時点の目標は、メロディとおおまかなコード・ベース・ドラム(リズム)を聴き取ること、いくつの音がしているか(パート数)を数え上げること。

1周目はベースに注目(注耳?)して聴いたら、2周目はドラム、3周目はギター……とそれぞれのパートごとに分解して聴くようにする。目立つ音を聴き終わったら、今度はすでに存在していることが分かっている音を脳内で引き算する意識で聴き、まだ存在に気づいていない音が無いか探す。たいていまだ気づいていない音がある。何なら、アレンジ期間終盤とか、コンサート後に「この音気づかんかったー!」となることも珍しくない。

4.2 大まかなアレンジのイメージを立てる

原曲のどの音をどのパートに割り当てるか、歌物なら1番2番でどう変化をつけるか、ソロ・ソリ、原曲通りの構成でできないorメドレー等なら構成はどうするか。出たとこ勝負で選曲会議に出すと後悔するのでこの段階でなるべく具体的にイメージしておく(と言いつつそうそう上手くは行かないよねぇ)。
そこまでできたら出すか決め、会議に臨む。

4.3 おおまかに採譜

ベース、ドラム、コードの大まかな入力。とりあえずベースはルートの全音符/2分音符、ドラムはざっくりのビートの繰り返し、コードはMuseScoreのコード記号機能で鳴らしてくれるのでコード記号のみ入力、のような感じ。メロディも目印になるし取ってもよい。

原曲が小編成なら一度完全に採譜しきってからアレンジすることもあるし、大編成で面倒だったりする場合は大まかな採譜だけして本アレンジに入ることもある。『Seyana.』『アゲハ蝶』『Johnny B. Goode』が前者に近く、他は後者に近い。

4.4 肉付けと詳細採譜

1.4.3で後回しにした細かい採譜をしつつ、各楽器に割り振っていく。特にどこからやっていくという定石はあまりなく、気の向いたところ、譲れないところからという感じ。基本、融通が利かないところから始めると手詰まりになりにくい印象(e.g. 音域が広くて演奏できる楽器が限定されるメロディなど)

根気。

4.5 浄書・レイアウト

やったー! アレンジ終わったー!! の後に待ち受けているのがコレ。
こだわりが強いタイプの人間としては、始めるまではむしろちょっと楽しみまであるんだけど、始めると永遠に終わらなくて地獄。

MuseScore2にはテキストや記号同士がお互いに干渉しないよう避けて配置される機能がなかったため、最低限読める状態を作るまでが苦行だった(のでMuseScore3に移行した)。

こだわりを詰め込むだけの自己満作業といえばそうなのだが、楽譜情報の読みやすさは演奏しやすさ、ひいては最終的なコンサートの演奏レベルに直結したりしなかったりするので、実はかなり重要な作業だったりする……かも? 例えば臨時記号の扱いなど(それは浄書とは言わんか……)

あと余裕があれば、各パート譜ごとに、ちょこっとだけ3ページ目にはみだすのを直したり、譜めくりできるようページの境界に長休符を持ってきたりまですることもある。過保護かしら。

4.6 練習開始後

練習開始後も、楽譜が完全にアレンジャーの手を離れてはくれないもの……なのは私がアレンジ期間に綺麗に楽譜を作り切ってないからかもしれないが。

初心者譜は発注があれば受注生産。プレイヤーの技量や事情を鑑みて適宜修正を提案したり、構成表・座席表を作るときにアシ用譜面を作ったり。

5. まとめ

長々書かないでさっさと公開した方がいい。
3か月も寝かせるな。

気が向いたら追記・修正したい。けどそれより優先で、各曲の話を書きたい。書くとは言っていない。

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