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刈谷メソッド_29「言い訳をしない」

 すでにいろいろなところで触れたかとは思いますが、今回は「言い訳をしない」ということについてまとめてみたいと思います。

 結論から言いますと、言い訳はしない方がいいです。
 シンプルですね。
 どこまでが言い訳で、どこまでが事実の報告かの見極めということはありますよね……という話が出そうですが、事実の報告はどこまでも淡々と行うべきで、「こういう状況だったからこういう結果になったのもやむを得ませんよね」という誘導があった時点で言い訳かなと思います。

 そして自分が報告すると、往々にして自分に有利な誘導は生じがちですので、報告もなるべく他人に任せた方がよいでしょう。もちろん他人の報告(見解)を聞くと、「それは違う!」と言いたくなる点が多々生じるものですが、それこそが「言い訳」になりますので、先方にこちらを陥れようという意図などがある場合は別ですが、原則ゴチャゴチャ言わない方がいいです。

 どうして言い訳をしない方が良いのでしょう。
 言い訳をすれば、現在生じている不利な状況を回避することができるかもしれません(他人になすり付けたり)。完全に回避することが難しくても、罪や罰を軽くすることはできそうです。
 証拠などが存在せず、自分なりの解釈で報告をしたとしても誰かに追及される恐れのないシチュエーションは、実のところ、それなりに存在します。
 ですので上司なども、特に深く追求せず、「それは仕方がなかったな。次からは一層注意するように」といった形で済ませてくれることがあります。
 そこで「ふい~、危なかった~。なんとか切り抜けたぜ~」と思うかもしれませんが……実際のところ、たとえ証拠があろうがなかろうが、「これは言い訳だな」というのは、人の上に立つポジションに据えられるようなキャリアの人は大体気付いています。
 そしてその言い訳を聞きながら、「ああ、残念だな」という印象を持ちます。少なくともわたしはそうです。

 言い訳をする人は、何が残念なのでしょう。
 それは「自分の過ちを見つめることができない心の弱さ」です。
 言い訳というのは、つまるところ自己の正当化であり、自己の保身です。
「わたしは悪くない」ということです。

「自分の過ちを見つめることができない」人は、成長がありません。なぜなら「自分は悪くない」からです。
 別の言い方をすると、プライドが高いということです。「優秀な自分が、よくわからない失敗の責任を押し付けられるなんて耐えられない」というわけですね。
 そうした人は、息を吸って吐くように、日常的に言い訳をします。
 そしてそうした人は残念ながら、ほとんど成長することがありません。……言い訳のバリエーションは増えるかもしれませんが。
 だから残念なのです。

 成長する人というのは、自己の問題点を正しく認識し、それを克服したいと努力する人です。
 実のところ、本当に自分に過失がないという状況も、ままあります。ゲリラ豪雨や電車の遅延、子供が熱を出した、親が入院したなどなど、「悪いのオレか?」と言いたくなるでしょう。まあ、ここにあげた例はさすがに言い訳と後ろ指指されることは少ないと思いますが、それでも少なくとも「悪い状況が生じた」事実は変わらないはずですので、ひとまず謝罪することが肝要かと思います。

 もちろん、なんでもかんでも謝罪しろという話ではありません。社外との交渉など、こちらが先に罪を認めてはいけないとか、そういう特殊なシチュエーションでまでバカ正直に謝る必要はありません。
 そういう特殊な状況の話をしているつもりはありません。
 あくまで社内において、ある程度のレベルで生じてしまう過失などで、ゴチャゴチャ言い訳をすべきではないということです。

 むしろ過ちを認め、「申し訳ありませんでした」と。「これこれこういうことが原因でこうした結果になったと分析しています」「今後こうしたことのないよう努めます」と言った方が、自分の問題点を把握し、改善に努めることができますし、上司も「なかなか見どころのあるやつだ」という受け取り方をします。少なくともわたしはそうです。

 そもそも、間違いを犯さない人などいないのです。
 ですのでどれだけ自分が気を付けていても、なんらかのトラブルには巻き込まれてしまう。そのとき言い訳をしてその場をやり過ごすことに努めるのか、それとも素直に過失を認め改善に努めるのか。それは長いスパンで見たときに、非常に大きな差となって現れます。

 ですので言い訳はしない方がいいのです。

 最後に、言うまでもないことですが、「他者に責任を押し付ける」タイプの言い訳は、言い訳の中でも特に罪深く、愚かな行為です。
 そういう人間は、いずれ誰からも信用されなくなります。
 信用されない人間が、社会で良い仕事ができるでしょうか。

 やはり仕事をするからには、質の良い仕事をして、お客さんにご満足いただき、より多くのお金を稼ぎ、幸せな生活を送りたいものです。


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