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刈谷メソッド_26「社内で意見が対立した際の対処法」

 さて今回は予告通り、「社内で意見が対立した際の対処法」について語ってみたいと思います。とはいえ、シチュエーションが千差万別すぎてとても一言で語ることはできないのですが。

 一応おさらいをしておきますと、そもそも「そうした状況を招きにくくする」ことが重要で、そのやり方はデール・カーネギーの『人を動かす』を読んでくれと(笑)。そういう話でした。

 そして社外の方々、特に開発仕事においては、基本的に相手をリスペクトして、相手が気持ちよく力をふるえる環境を構築し、よいパフォーマンスを発揮していただくことに注力すべきだと思います。

 ですが社内においては、そうした理屈で動いてもうまくいかないことがあります。
 どういうことかというと、互いに会社の成長のために動くのは前提として、その際自分の部署にとって有利か不利かという状況が起こり得るからです。
 本当に良い会社であれば、スタッフ全員が会社にとって何が最適かを考え、思いをひとつに頑張るのかもしれませんが、社員が3人とかであればともかく、20人を超えればおそらくそうした話は現実には不可能です。

 実のところ、平社員であれば、社内で意見が対立することも少ないはずです。せいぜい上司との間で意見の相違が生まれる程度のものでしょう。
 ですがポジションが上がってくると、他部署のリーダーたちの動きが目に入ってくるものです。
 相手の素晴らしい面が目に入れば、それを取り入れ、なるべく早くそうした高みに到達すべく努力を重ねるだけです。
 しかし相手のアラが目につき、不満がつのると、ついつい「こうした方がいいんじゃないの」と口を出してしまいます。
 まあ、わざわざ本人に直接言いに行く人は少ないと思いますが、例えば会議とかで意見を求められた際など、「あの部署のこれは非効率なのでこう変えるべきではないでしょうか」といったことを口にするシチュエーションは出てきます。なにせ意見を求められているわけですから、「こうしたら良くなるのでは」といった意見を持っていて言わないのも、それはそれで褒められた態度ではありません。

 ただそうするとまあ、言われた方は愉快ではないわけですね。『人を動かす』にもそうした話がいろいろ書かれていますが。
 相手が「確かに指摘はもっともだ。すぐに改善しよう」と思ってくれればいいですが、たいていの場合「あの野郎、何も分かってないクセにふざけたことをぬかしやがって」「そう言うテメーの部署はどうなんだ」となって、別の会議で仕返しをされたりする。

 まあなんでしょう。著しく無駄な状況ですが、人生においてまま発生するので仕方がありません。
 これを読んでくださっている方にお伝えすると、まずみなさんがそうした心理に陥らないよう努めることをお勧めします。まあ、陥るんですけどね(笑)。実際にそうしたシチュエーションになると。頭にきて反論するか、バカと会議すんのは時間の無駄だわと半笑いで眺めるか。

 あなたが会社を辞める気であれば、そうした態度を取っても良いと思いますが、会社に残り続けるつもりがあるのであれば、それでもなお建設的な場所を目指すべく動かなくてはなりません。
 自分を否定されたとき、それを乗り越えて建設的な議論に戻すのは、相当ストレスのかかるアクションです。しかし結局のところ、人はそうしたところを見ていたりします。

 話が少し変わりますが、言い訳も良くないですね。
 言い訳も、人はよく見ています。すぐ分かるので言わない方がいい。
 逆に言えば、おかしい指摘をされてもなお建設的な議論に話を持っていける人も、当然ながらすぐ分かります。

「建設的な意見」と言ってもやや抽象的ですね。
 どういうものが建設的なのでしょうか。
 それは「成果につながる」ことです。
 割と当たり前の話ですね。
 ですが、その当たり前の話をしていない会議のなんと多いことか!

 ですので他者からの指摘も、「確かに一理あるな」と思えば、「参考になります」と言って取り入れてみればいいわけですね。
 逆に「ワケ分かんねーな」と思っても、「参考になります」と言って取り入れなければいい。
「ふざけるな、お前のところは出来てんのか!」と言っても、まるで建設的ではないわけです。

 ですのでまあ、まずは社内で対立するシチュエーションが発生しないよう努め、相手に攻撃的な意見を言われた際も、なるべく建設的な議論に戻す努力をすると良いと思います。


 ただまあ、ポジションがさらに上がっていくと、さらにめんどくさいシチュエーションも増えてきます(笑)。
 自分が折れると、部署の他のメンバーに不利益が出る場合などですね。
 分かりやすい例を挙げますと、企画を通す通さないといった会議などです。
 そこで出る否定的な意見に対し、「参考になります」「検討してみます」ばかりですと、いつまで経っても企画は通りません。まあもちろん、否定的な意見が出なくなるまで改良し続けるというのもひとつの手段ではありますが、一度や二度ならともかく、そんな改良を繰り返していると、大体途中で何がやりたかったのか分からなくなり、誰も望んでいない不幸な商品が出来あがります。恐ろしいのは、それで責任を取らなくてはならないのは開発側で、否定的な意見を言った者たちは何の責任も取らないことですね。「オレの意見を理解できなかったアイツらのレベルが低いのが悪い」といった理解なのでしょう。そうした連中も哀れですが(彼らも最終的にロクな結果を残せないはず)、不幸な商品を開発してしまう開発者はさらに哀れです。

 ですのでやはり、戦うべきときは戦わなくてはならない。

 そのとき、「お前は間違っている!」といった感じで感情的に反発するのが最悪の対応ですね。
 まあ、これはだいたい上のポジションの者が下のポジションの者に取りがちなアクションで、逆はなかなかないので(やるとしたら会社を辞めるときとかでしょう)、あなたが上のポジションになったときに、こうした態度を取らないよう気を付けましょう。

 相手の論理にこちらも論理で返すことができて、互いに論理的に結論に向かえるなら、それは非常に素晴らしいですね。会議たるもの、そうありたいものです。

 ですがまあ、世の中大体そんなことはありません。
 あとまあ、5人で会議していて4人まで論理的に会話していても、1人おかしい人が混じっていると、訳の分からない流れになったりもします(往々にして、一番訳の分からない人が一番立場が強かったりします)。
 まあ、つまらない答えになりますが、立場の強い人に訳の分からん否定をされた場合、頭を下げるのがもっとも手っ取り早いでしょう。「○○さんのご意見ももっともですが、今回は何とかこちらの方向で進めさせていただけませんでしょうか」という感じですね。
 イラっとしても何もいい結果につながりません。

 それからやはり、その人がどういう意図でそうした意見を持っているかを探ることでしょう。
 アホな意見に対し、「アホかコイツ」と思っていては、結局なんら建設的な話になりません。またそうした態度はだいたい表に出てきて、相手や周囲にも伝わります。そうするとあなたに対する周囲の評価も下がるわけです。
 しかも「アホかコイツ」と思った相手は、だいたい別の会議でも「アホかコイツ」と思う意見を口にするので、さらにあなたの評価が下がる機会が増えてしまいます。
 やはり「コイツ何でこんなアホなこと言ってるんだ?」と、理解しようとする態度が重要です。
 直接聞いてみてもいいでしょう。間違っても「何をおっしゃっているのか理解できませんので、もう少し分かりやすく言っていただけませんか」といった態度を取らないよう注意してください(笑)。
 あくまで「その発想はわたしにはありませんでした」「そのアイデアで、どういう結果に到達することをイメージされていますか」といった聞き方をすべきでしょう。
 とにかく建設的に。

 会社(もしくはその部署)に悪意を持っていない限り、相手も悪い結果を出そうと思って言っているわけではないはずですので、相手の考えを理解しようとする態度は重要だと思います。
 会社や部署に悪意を持っている相手なら……そいつを会社から追い出すか、自分で会社を辞めるかしましょう(笑)。


 我ながらめんどくさいテーマに触れてしまいましたが、結論としては、「建設的に!」ということですかね。
 なんだか自分自身に言い聞かせるような話になってしまいました(笑)。
 わたし自身、ここに書いたようなことができていませんので、自分のテキストでわが身を反省しながら、今後も精進したいと思います。


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