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刈谷メソッド_23「仕事は楽しく」

「番外編2」でも書きましたが、今回からは「刈谷の考える仕事そのものに対する姿勢」について語っていきたいと思います。
 当然ながら、内容は超私的な雑文であり、読まれる方にとって意味のあるものになるかは分かりません。

「じゃあいっそ書かなくてもいいのでは」という話ですが、それでもやはり、わたしがいろいろ書いてきたボドゲ制作法のスタンスについて、補完する役割を果たすことができるかもしれませんので、書いておこうと思います。
 ボドゲ制作はやはり、定型的なものではなく、ひとつひとつ本当にアプローチが異なるものだと思います。だからこそ楽しいとも言えるのですが、だからこそノウハウのようなものを明文化することは困難です。
 逆に言えば、ある程度システマチックに明文化できることには、本質は存在しにくいと言えるかもしれません。

 おっと、いきなり堅い雰囲気になってしまいました。リラックスしていきましょう。
 先にも書きましたように、これは雑文です。
 お時間のある方は、気楽に読んでみてください。


 まず最初にお伝えしたいテーマは、「仕事は楽しく」です。

 今回のテキストの結論は下記の通り。

・「仕事は楽しく」
・最初のうちは、少々しんどくても無理やり楽しんでみよう
・そのうち本当に楽しくなってきたらその仕事を続けよう!
・楽しくならないなら向いてないね。転職をオススメします

 ……以下は上記結論にたどり着くための補足と言いますか、下書きみたいなものです。お時間のある方はどうぞ。

「仕事は楽しく」といったことを言うと、「考え方が甘い」「仕事は楽しいだけではない」「仕事なんてほとんどは苦しみで、たまの達成感で幸せを得るのが精いっぱい」みたいな意見が出てきそうですが、まあなんでしょう。言葉を選んで言えば、
「そんなこと分かっとるわ(笑)」
 という感じでしょうか。

 仕事が楽しいだけでないことくらい、大谷選手も分かっとるわ。
 それでも大谷選手の「楽しそうなふるまい」が人々に感銘を与えているわけですよね。
 それを見て「あれだけ能力があれば楽しいだろうな」などと言う人は、大谷選手が今年大活躍する前、故障や手術で数年にわたり厳しい時間を過ごしていたことに思いを馳せるべきです。そこで心が折れてもおかしくなかったわけですが、彼は強靭な精神力ですべてを受け入れ、投手と野手の両方でメジャーレベルで活躍するという信念を貫き、自己を律し続けたからこそいまの活躍があるわけです。

 わたしが言いたい「仕事は楽しく」というのは、そうした大谷選手の考えに近いメンタルで仕事に臨んでほしいということです。

 こう書くと今度は「誰もがそんな強靭なメンタルを持っているわけではない」「結局社畜論か」という声が聞こえてきそうです。大谷選手は例として挙げるには偉大すぎたかもしれませんね(笑)。

 ただやはり、仕事が楽しくないと、それこそストレスでまいってしまうと思うのです。
 ウソでも「仕事が楽しい」と思えなければ、人生が苦痛に満ちたものにならないでしょうか。少なくともわたしは、「仕事が楽しい」と思えない人生を送ることを考えるだけでゾッとします。

 刈谷個人の話で言えば、ただお金がほしいだけならボードゲームの編集という仕事は選ばなかったはずです。世の中にはもっと稼げる仕事がいろいろ存在します。それでもボードゲームの編集という仕事を選んだことを後悔したことはありません。「仕事が楽しい」からです。

 わたし自身が幸せなので、わたしの部署で働く方も、全員「仕事が楽しい」と思ってもらいたいと考えています。
 最初は右も左も分かりませんから、楽しいも楽しくないも分からないかもしれません。ですが無理やりにでも「楽しさ」を探してみてほしいのです。
 ちょっと無理してみて、全然楽しく思えないなら、今の仕事が向いていないのだと思います。もちろん決め付けるのも危険ですし、「最低3年やってから判断しろ」という話も聞きますが、3年というのは人生においてなかなか重要な時間ですからね。
 自分が楽しく思える要素のない仕事を続けても苦痛なだけな気がしますので、辞めた方が良いと思います。

 自分の事しか話せませんので刈谷個人のことを話しますが、わたしはやはり何と言ってもゲームが好きです。
 そして恐らく一般的ではないことに、ルールブックを書くのがたまらなく好きです。新しいルールブックを書くことを想像すると、興奮で震えます。病気か(笑)。
 なのでルールブックを編集する作業も大好きです。分かりにくかった箇所をスッキリ分かりやすく編集できた際のカタルシスは、なかなか他に代えがたいものがあります。
 イラストやグラフィックを見るのも好きですから、イラストレーターさんやグラフィックデザイナーさんとひとつの目標について語り合い、彼らのアウトプットを見させていただくのも非常に心躍る時間です。
 もちろんゲームデザイナーさんの新しいアイデアに触れるのも楽しい時間ですし、そうしたアイデアをブラッシュアップしていく時間も非常に楽しいものです。
 そうした素晴らしい要素を自分の手元でまとめることができるのですから、これは非常にやりがいのあることです。
 そうしたみなさんの成果の結晶が印刷会社に渡り、商品として完成し、お客さんに届き、お客さんが遊んでくださって「楽しい」など発信してくださった日には、しみじみ喜びをかみしめるわけです。

 驚いた!
 どこを切っても楽しいしかない!

 もちろん現実はそんなことはありません(笑)。
 経営陣からの指示は、ときに理不尽に思えます(もちろん、経営陣にはそう指示しなくてはならない理由があるわけですが)。
 クリエイターの皆さんや社内スタッフとの人間関係が上手くいかないことだってあります。
 スケジュールや費用の面で不満がつのることもあります。
 中間管理職になれば会社に対して定期的に提出する資料などの作成もあり、「ワシは書類が作りたいんじゃない! ゲームが作りたいんじゃ!」など思うこともあります。
 印刷会社が印刷をミスれば刷り直しでスケジュールは遅延し、関係各所に謝罪する必要も出ます。
 あげく商品が売れなければ会社からの信用は下落し、地位も給与も増えません。

 それでもなお、やはり「仕事は楽しい」。

 最初にも書きましたが、これはメンタルの問題だと思います。
 ネガティブな面にスポットを当て、そこばかり見ていれば、誰だって気持ちは沈みます。仕事が楽しいなど思えるはずもありません。
 ですが逆にポジティブな面にスポットを当て、そこを重点的に見ていれば、「落ち込むこともあるけれど、わたしは元気です」(by糸井重里)というメンタルに持っていけるはずです。

 逆に言えば、そこに持っていかなくてはならない。
 持っていけないなら、やはりその仕事は向いていないと言わざるを得ない。

 もちろん、人生はシンプルではありません。
 やりたくてたまらない仕事であっても、相手に断られればその仕事に就くことはできません。
 嫌でたまらない仕事でも、生活費を稼ぐためには続けざるを得ないという状況もあるでしょう。

 やりたくてたまらない仕事に就こうとチャレンジを続け、失敗し続けていると、そのうちに心が折れ、世の中が嫌になり、他人の成功や失敗に対して冷笑的になったりします。
 お金のために嫌でたまらない仕事を続けていれば、そのうち心を病んでしまうでしょう。

 救いはないのか!?
 やはり少々嫌な仕事でも、もっと嫌な仕事をしないですむよう、自分を騙しながら働くしかないのか。
「仕事なんて基本辛いものだよ」と受け入れ、プライベートに喜びを見つけるしかないのか。

 繰り返しになりますが、わたし自身はわたしの事しか語れませんので、刈谷個人の意見を語りますと、

「それでもやはり楽しいと思える仕事を探せ」

 ということになります。
 やはり、仕事が楽しいと人生も充実します。
 そして最初から自分の望む通りに人生を楽しめる人も、そういないはずです。いろいろ挫折して、苦しんで、泣いて、吐いて、そうする中で楽しみを見つけるのだと思います。
 なので最初はよく分からなくても、無理やりでも「楽しい」を探すことをお勧めします。「楽しい」が見つからなければ、その仕事を続けてもメリットがないかもしれません。そのときはさっさと辞めて、新しい楽しさを探しに行きましょう。取り返しがつかなくなるまでメンタルが疲弊してからでは遅いですし、結局のところ周囲にも迷惑です。

「そんなことを言われても、誰もが刈谷のようにメンタルが強いわけではない」

 という意見もあるでしょう。
 まあ、おそらくわたしはメンタルは強い方なんだろうなという自覚もありますし。
 ただわたしも心が傷つくことは多々あります。どんなひどい目にあっても大丈夫なわけではありません。ただ、ストレスに耐える技術や、回避する技術、回復する技術がある程度身に付いているということはあるかもしれません。
 そういうわたしなりのストレスコントロール法について、次回は語ってみたいと思います。


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