見出し画像

刈谷メソッド_28「褒めること、リスペクトすること」

 今回「リスペクト」についてと「褒める」について、どっちを先に書こうか迷ったのですが、一緒に語ってしまおうと思います。
 どちらも似たような行為ですね。要は相手を認め、感謝するということです。リスペクトは尊敬・尊重の意味が強いので、目上の方や他社の方に対する態度や気持ちであり、褒めるはまあ、年下のスタッフや、社外の方に対する態度や気持ちであり、通常目上の方に使うことはないでしょう。

 ところで余談になりますが、刈谷は褒めるのが得意ではないんですね。理由を考えてみるに、やはり教育による影響かなという気がしています。
 わたしは小学校の通知表はオール5が当たり前。勉強ができるのはもちろん、走れば速く、絵を描けば上手い。絵に描いたような田舎の神童でした。まあ、中学で進学校に進んでめちゃくちゃ鼻を折られるのですが、それはそれ。
 子供のころ、何をやらせてもずば抜けていたせいか、どんな成績を取ろうが、表彰状をもらってこようが、生徒会長に選ばれようが、一切親に褒められた記憶がないんですね。まあ、わたしが調子乗りなことを見抜いた親が、調子に乗らないように躾けたのだと思うのですが。
 わたし自身、どれも特に褒められるようなことではないと思っていたため、問題とも思わず過ごしていました。
 ですがそれでいざ大人になってみると、人の褒め方が分からないんですね。「その程度は出来て当然だろ」「この程度で褒めると、本当に素晴らしい成果を残したときどう褒めるんだ?」といった感じで、上手く褒められない。これは本当に困りますね。

 もちろんいまは意識して、なるべく褒めるようにしているのですが、ちょっと意識が弱まると褒める回数が減ってしまったりして、染みついた躾というのは恐ろしいものです。みなさんもお子さんがおられるなら、ちょっとしたことでどんどん褒めてあげると良いと思います。
 なにせ褒めるのはタダですし(笑)、褒められて嫌な気持ちになる人は少ないですからね。嫌味は別ですよ。

 冒頭から話が脱線しましたが、つまり人を「褒める」ことは非常に重要だと思います。
 褒められると、分かりやすくやる気が起こります。やる気が物事のエンジン(ガソリンか?)になるので、これは重要です。
 スタッフを率いるポジションになったら当然重要ですが、そうでなかったとしても、社外の方との仕事など、積極的に褒めるべきだと思います。
 別にウソをついたり、過剰に褒めちぎる必要はありません。そういうのはすぐ分かるので、、逆に相手も気分を害するものです。
 本当に良いと思っている成果を、「いつも」「さりげなく」褒められると良いと思います。

 ただ、わたしだけかもしれませんが、意識せずに相手を褒めるのが難しいときもあります。特に自分の心に余裕がないときですね。自分の心に余裕がない状態で他者を褒めるのは、相当難易度の高い行為に思えます。むしろスタッフを叱ることの方が多くなってしまう。
 仕事で追い込まれている場合など、当然スタッフの仕事にも問題がある状況が多いはずで、そうなると「褒めて伸ばす」みたいな話も成立しづらく。
「キミたち、緊張感が足りないんじゃないか」といった話が多くなってしまいがちです。

 もちろん、必要な場合は空気を締めることも重要ですが、その前に自分の精神状態がどうなっているかも確認しておいた方がいいでしょうね。
 フラストレーションをそのまま態度に出しているようでは、やはり精神が未熟と言われても仕方がありません。まあ、言うまでもなくわたしも精神が未熟な方なのですが。こうしたテキストが書ける程度には、頭では理解しているのですが、やはり実際の現場でとなると一息置くことができない。困ったものです。

 ともあれ。
 本当に苦しいときこそ、自分の心を見つめ、相手を褒める余裕を持ちたいものです。褒めることによって、周囲の雰囲気も良くなりますしね。


 リスペクトの場合は、より自分の心に内在させるものと言えるかもしれません。わざわざ「あなたをリスペクとしています」「尊敬しています」と言葉にすることは少ないでしょう。
 ただ、やはりそうした態度は伝わるものですから、常に相手をリスペクトする気持ちを持っていることが重要です。

 実のところ、「仕事の相手をリスペクトしよう」なんてのは、特別な話ではなくて、当たり前のことのはずです。ですが実際は、残念ながら当たり前でないことが多いですね。
 電話口では愛想よく喋っていたのに、電話を切った瞬間相手の悪口を言うといった態度などは、リスペクトとは程遠い。接客業などでも同じですね。
 もちろん、現実としてロクでもない相手はいますので(笑)、どんなことをされても笑顔で受け入れろなどと言っているわけではありません。また必要があれば、リスペクトする相手とでも意見をぶつけ合うべきです。
 それらは別問題ですので、全部一緒にして考えないようにしてください。

 シンプルに。

 良い仕事には、リスペクトの気持ちを持つ。

 それだけです。

 金儲けがすべてになってしまうと、リスペクトということが、意識から薄れがちです。往々にして、リスペクトから派生するものが「余分な経費」に見えることがあります。
 経費のスリム化を進める中で、そうした部分に手を付けた場合……。経営者や経理・財務はそうしたところを減らしたいと思うでしょうが、開発側から言わせると、そうした部分が商品のクオリティに与える影響は小さくないのです。

「数字で言うと何%悪化するのか」
「エビデンスはあるのか」

 なーんてことを言われても、「オレの感覚に決まってるだろ」としか言いようがないわけです(笑)。
 でも逆に言うと、そこが本当に分からないのかは、結構疑問なんですけどね。もちろん全部感情で経営をやっていたら、お話にならないのは分かります。ですが関わるスタッフ、作家さんに気持ちよく仕事をしていただけないと、良い商品にならないことも理解してもらえるとありがたいところです。もちろん全部感情で経営をやっていたら、お話にならないのは分かります。
「感覚で言われても困るので、『この人ならこれくらい』というのを出してほしい」と言いたい気持ちは分かります。でもそんなものは出せないのです。
 相手は人間ですから、「ここの経費を12%削ったら仕事のクオリティが8%低下するが、20%削ると低下は15%となる」なんてことは決まってないわけです。
 そこは担当者を信じていただくしかない。

 そして「担当者を信じてくれ」と言うには、結果を出すしかないわけです。結果が出せない人の感覚を、経営陣も信用することができない。

 ……リスペクトの話が変な所へ行ってしまった(笑)。
 でもただ相手を「リスペクトしよう」と言っても、それだけで世間を渡れないのは事実です。
 自分がお世話になっている方々、リスペクトする方々に、報酬という形でお礼を返すためには、「結果を出す」という責任が生じるわけです。

 だから仕事には緊張感がある。

 そういうことかなと思います。
 当然ながら、経営者や経理・財務の皆さんも、会社を成長させ、社員に幸せになってもらうために全力で取り組んでいます。
 そうした皆さんも含め、みんなに幸せになってもらうために、今日もまた頑張りましょうと、そう思える自分でありたいですね。


 いつも以上に話が取っ散らかった気もしますが(笑)、いい仕事をコンスタントにこなすには、褒めることとリスペクトすることが重要だというお話でした。

 分かっちゃいるけど難しいんですよね(笑)。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?