理念や使命を具体化してください
「経営者を育てるアドラーの教え」という岩井俊憲氏の本が最近致知出版社より上梓されました。この本に書かれていることは非常に共感できることが多いので、これからも度々ご紹介したいと思います。
さて、この本の中に「連結ピンの集団組織」というアメリカの組織学者レンシス・リッカードが唱えた古い経営理論のことが出ていました。これは、社長がトップにおり、そのつながりとして部長がおり、その下に部長が束ねている課長がつながっているというもので、会社というものは上から下まで連結ピンでつながっているということを示しているものです。
興味深いのは、この連結ピンの役割を果たしているものが「企業理念」やその会社の「ミッション」であるということです。つまり会社の中で社員同士をつなげるものこそが「企業理念」「ミッション」ということです。それゆえ、管理者(部長も課長も係長も)は自分の部門において、自社のミッションを実施するためにはどうしたらよいかということを具体的に考え組織の中に展開することで組織の一貫性を保つことが重要となります。
そこで、私の研修ではよく「あなたの会社の企業理念は何ですか」「会社のミッションや会社の目的は何ですか」と聞きますが、実はそれに答えられる企業は本当に少ないですし、答えられたとしても、具体的な行動に落とし込んでいる方もほとんどいません。
ある企業の部長研修では、企業理念の記憶は曖昧、そして何のためにこの会社が存在しているのかという目的を聞くと「利益を稼ぐため」という答えが返ってきました。もちろん、その会社にも立派な理念が掲げられています。
つまり、多くの企業で理念もミッションも形骸化が起きています。しかし、理念やミッションによるつながり(連結ピン)のない会社は、社員の結合力がなく、それぞれがバラバラに動く結果となってしまいます。
ご縁あって、この文章を読んでくださっている管理者の方々におかれましては、ぜひ理念・ミッションを今年はこう実行していくということを具体的に部下に示してください。それだけで組織は強くなっていきます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?