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新入社員が入ってきます


新型コロナで大変な時期ですが、それでも会社には新入社員が入社してきます。(ただし、新入社員研修はコロナ自粛で吹っ飛んでいますけど・・・)

さて、いま「超訳易経 陽 乾為天」竹村亞希子著を読んでいます。この乾為天とはざっくり言うと「龍」が成長していく物語です。「龍」は現代風に言えばリーダーのことで、そこに付き従う「雲」は、リーダーに従って働く人々、いわゆるフォロワーを表しているそうです。

この「龍」の物語の始まりは「潜龍」というものから始まります。乾為天では、「龍」ははじめから力を発揮するわけでなく、「潜龍」から「見龍」、「乾惕(けんてき)」「躍龍」「飛龍」そして「亢龍」という6段階のプロセスを経て優れたリーダーに成長すると書かれています。

全てをここで説明する訳にはいきませんが、最初の段階である「潜龍」について竹村先生の本に基づき、少しご紹介すると、「潜龍」は地中深く潜んでいる龍であり、世の中にまだ認められていない龍です。今後リーダーに成長する可能性があっても、現状では、まだ、世間知らずで、知識も経験もない状態とのこと。ゆえに、この人は伸びるとも思われておらず、将来性に対しても疑問がいっぱいです。そして、「潜龍用うるなかれ」といって、その龍を用いて成果に結びつけようとするなと戒められているような存在です。

今回この物語をご紹介するのは、まさに「新入社員」こそが、この「潜龍」であると思うからです。「新入社員」は、当然ながら仕事に対する知識は何も持たずに入社してきます。そして、会社としてはまず挨拶の仕方、電話の受け方など、ビジネスパーソンとしての基礎をまずはしっかりと教えていきますよね。さらに、仕事の現場では、OJTとして、先輩社員が仕事のやり方を一つひとつ教え、だんだんとできる社員にしていくわけです。多分、数ヶ月もすると会社にも染まってきて、だんだんと仕事にも慣れてきて多少なりとも組織成果に貢献する存在になってくるでしょう。

ただ、竹村先生の説明では、この潜龍の時期は可能性に満ち満ちているときであるとともに、将来に向けた「志」を立てるときであるとのこと。そして、その志の実現に向けて、内面の力を養うために勉強や研究に没頭すべきときでもあると説かれています。

つまり、管理者としては、単に仕事で成果を出す戦力として育てるだけでなく、新入社員に対して、「どのような生き方をしていきたいのか」、「3~5年ぐらをかけてどのような成長を遂げていきたいのか」、「自分の仕事を通じてどこの誰にどのような貢献を果たしていきたいのか」、「人生をかけて遣りたいことは何か」そして「働くことの大切さと素晴らしさ」などをじっくりと考えてさせてあげてほしいと思うのです。

また、大切なことは、先輩社員を含め管理者の皆さんがその新入社員の憧れの存在、尊敬すべき存在になることです。

いまどきだけではないと思いますが、やはり会社を辞めることや仕事に魅力を感じない理由の一つに、上司や先輩社員の働く意欲や誇り、そして志の低さにあるのではないでしょうか。

部下は奴隷でもなければ歯車でも機械でもありません。新入社員は会社にとって宝のはずです。ぜひ「潜龍」としてじっくりと構え、良き志を育てていくよう育成してほしいと思います。

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